柿沢未途の発言 (本会議)

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○柿沢未途君 安倍総理の訪米報告について御質問いたします。(拍手)
 日米関係は、世界において最も重要な二国間関係である、そして、それは他に例を見ない。かつてのマンスフィールド大使の言葉を再確認する総理訪米となりました。
 オバマ大統領との共同記者会見、そして、連邦議会における安倍総理のスピーチ、いろいろと内外のコメントはあるでしょうが、しかし、戦後七十年、アジアと世界のパワーバランスが大きく変動するこの時代の局面の中、日米両国が互いを不動の同盟国であると再確認できたことの意義は、私たちの立場からも、まずは率直に認めるべきものと思います。
 その上で、質問をさせていただきます。
 今回、日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインが十八年ぶりに改定をされました。安倍総理は、これを歴史的文書と呼びました。私もそうだと思います。
 安保法制に関して、よく切れ目のないと表現をされますが、日米同盟のグローバルな性質を強調して、米軍、自衛隊が共同して、事態対処のために世界的な規模で切れ目なく行動する、つまり、このガイドラインに基づけば自衛隊が地球の裏側まで出ていける、こんな書きぶりとなっているからであります。
 これまでのガイドラインとそれを受けた周辺事態法では、日米安保条約の効果的な運用に寄与するとの目的が明記をされ、したがって、日米安保条約六条の極東が基本的な適用範囲とみなされてきました。これを裏づけるように、小渕総理は、一九九九年の国会答弁で、中東、インド洋、ましてや地球の裏側は考えられないと説明をされておられます。
 日米防衛協力の地理的限定について一線を引いたかつての小渕総理の答弁を引き継ぐのかどうか。
 そして、専守防衛を国是としてきた日本の防衛、安全保障のあり方と、今回のガイドラインとの整合性について、安倍総理の御所見をお伺いします。
 加えて、日本以外の国に対する武力攻撃への対処の項目では、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、国民の生命財産、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態、つまり、いわゆる新三要件を満たせば、自国に対する武力攻撃がなくても自衛隊の武力行使を可能とする文言が書かれております。
 さらに、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態、いわゆる重要影響事態、そして、アジア太平洋及びこれを超えた地域の平和と安全のための国際的な活動における協力においては、日本政府と自衛隊が後方支援を担い得るものとされています。
 ガイドラインの英文を見ますと、この後方支援はロジスティクスサポートとなっており、安全保障の世界では、一般的に、これは兵たんと訳される言葉であると思います。
 兵たんという言葉を日本の辞書でひもとくと、軍事装備の調達、補給、整備、修理及び人員、装備の輸送、展開、管理運用の総合的な軍事業務とされており、つまり、直接の戦闘行為を除くほとんどの軍事業務をカバーする用語であります。ガイドラインの「後方支援」も括弧書きで、補給、整備、輸送、施設及び衛生を含むが、これに限らないと書かれており、兵たんと同じ意味に見えます。後方支援と兵たんに違いがあるのかないのか、お伺いいたします。
 戦史家のマーチン・ファン・クレフェルトは、戦争という仕事の十分の九までは兵たんだと語っております。そして、敵の兵たん線を絶つのは戦争勝利の要諦だと言われます。つまり、活動領域は後方であったとしても、兵たん業務に当たっている部隊は、直接の攻撃対象として狙われる可能性が高いのです。そして、そのロジスティクスに自衛隊を派遣すると今回のガイドラインには書いてあるのであります。
 自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加することは決してないと安倍総理は繰り返しておられますが、ほとんど戦地に出すのと変わらないような危険かつ重大な任務をアメリカに対して約束してしまっているのではありませんか。
 私は、一概にそれが悪いと言うつもりはありません。それ相応の覚悟を持つ必要があると言いたいのです。
 同盟国であるアメリカを初め、他の国々と責任を分かち合いながら、平和と安全のために求められる協力や貢献を果たすのが、避けるべきでない日本の役割となるときもあるでしょう。となれば、派遣されることになる自衛隊も、みずからの命の危険を伴うリスク、海外の任地において武器使用に及び、他国民を殺傷するような選択をとらざるを得ない場面に直面するリスクも今までより高まるでしょう。また、自国が攻撃されてもいないのに自衛隊を派遣すれば、それにより相手国から敵国とみなされて、日本国内を含め攻撃を受ける、そうしたリスクも高まるでしょう。
 それらのリスクを認めた上で、しかし、日本と世界のために必要なのが今回の安保法制だと真っ正面から説くべきなのではないでしょうか。安倍総理にその覚悟をお聞きしておきたいと思います。
 国内世論の十分な理解と後押しのない中で、自国の軍隊や部隊を海外に派遣するのは、派遣された軍隊や部隊を不幸にし、目的達成をも危うくする。ベトナム戦争でもイラク戦争でも見られた歴史の教訓であると思います。
 その意味で、自衛隊を今までより積極的に海外に派遣できる法的基盤をつくり上げる今回の安保法制を成立させるに当たっては、国民の幅広い理解と支持を取りつけることが欠かせません。国民の多数の理解や支持の得られていない中で、時間が来たからといって、国会での審議を打ち切って、与党単独で採決が行われるようなことがあってはならないと思います。見解をお伺いいたします。
 自国の国会で法案審議する前に、ガイドラインを日米間で合意をして、事実上、安保法制の中身を後に引けない形で確定してしまう。順序が逆だと言わざるを得ません。しかも、この夏までに成立と、期限まで切ってしまいました。
 安倍総理は、国内で何度も言ってきたみずからの決意をアメリカで語ったまでだと説明していますけれども、だとすると、今後の国会の審議状況いかんによっては、この夏までの期限は絶対的なものではないという認識でよろしいですね。アメリカとの関係においてもそれでよいのかどうか、お伺いをいたします。
 アメリカのいわゆるリバランスに徹頭徹尾の支持を表明されましたが、沖縄の普天間基地の辺野古移設問題をめぐっては、日本政府と移設反対を掲げる沖縄県の翁長知事との間で法的措置の応酬が繰り広げられて、極めて険悪な状況となっています。私たちの多くが日米安保協力を考える際に依拠してきた識者の一人であるハーバード大学のジョセフ・ナイ教授までが、個人的見解としつつも、沖縄の人々の支持が得られないならば、辺野古移設を再検討しなければならないと口にするようになりました。
 普天間基地返還合意をなし遂げた橋本龍太郎総理がそうであったように、総理みずからが沖縄に出向き、知事とも県民とも膝詰めで話し合って、解決策を見出していくべきと考えます。
 安倍総理御自身の早期の沖縄訪問についてお伺いをいたします。
 今回の日米首脳会談の影の主役と評されてきたのが中国です。経済的にも軍事的にも中国が台頭し、アジアと世界にとっていよいよ存在感を増している中、中国が国際社会のルールにのっとった責任あるステークホルダーとして行動するよう促し、二国間関係を含めてどのように関係を構築していくのかは、日米共通の課題であります。
 この日米両国が、中国主導で設立されるAIIB、アジアインフラ投資銀行に参加しない二国となりました。日米が運営の中心を担っているADB、アジア開発銀行について、新興国の発言権が小さい、融資枠も百三十六億ドルと、八千億ドルになると言われるアジアのインフラ需要に比べて小さいといった不満が、中国をAIIB設立に向かわせたとも言われます。
 競争的共存でAIIBのガバナンス改革を促していくためにも、日米両国が協調してADBの存在感が増すような体制強化を進めていく必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 また、中国は、チベット、ウイグルにおける民族弾圧、ノーベル平和賞受賞者劉暁波氏初め民主活動家の不当拘禁、警察当局による拷問等、国際社会では受け入れられない自由や人権の抑圧の問題を数多く抱えております。
 安倍総理の連邦議会スピーチにあるように、法の支配、人権、そして自由をたっとぶ、価値観をともにする民主主義大国である日米両国が、中国のこうした問題について是正を積極的に働きかけていくべきと考えますが、見解をお伺いして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

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発言者: 柿沢未途

speaker_id: 15936

日付: 2015-05-15

院: 衆議院

会議名: 本会議