盛山正仁の発言 (本会議)
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○盛山正仁君 自由民主党の盛山正仁です。
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
我が国の刑事司法制度は、真相の解明を重視するとされるドイツ法の影響を強く受けた旧刑事訴訟法が大正時代に制定され、以後、数十年間の運用がなされました。
戦後の昭和二十三年になって、適正手続を重視するとされるアメリカ法の考え方を取り込んだ現行の刑事訴訟法が制定されましたが、その運用においては、事案の真相解明を望む事件関係者や一般国民の熱意を背景として、精密かつ詳細に事実を解明することが強く意識されてきました。
そのため、犯罪の捜査においては、事案の真相を最も知り得る立場にある被疑者の取り調べに力が注がれ、また、取り調べの結果として作成された詳細な供述調書は、公判での事実認定において極めて重要な証拠とされてきました。その結果、我が国の刑事司法は、諸外国に比べ、捜査、公判における取り調べ及び供述調書の比重が非常に高いことがその特徴として指摘されています。
従来、諸外国と比べて我が国は治安のよい国であると考えられてきました。そこには、現行の刑事司法制度とその運用が一定の寄与をしてきたと考えています。しかし、近時、犯罪情勢やこれを取り巻く社会情勢は大きく変化しています。これに対応するためには、刑事司法制度のあり方もより機能的なものへと変えていかなければなりません。
その際、まず考慮すべき事項は、刑事司法の目的は何かということであります。私は、適正手続の保障を全うしつつ、事案の真相を明らかにし、適切な処罰を実現すること、これが刑事司法の目的であり、まさに国民が刑事司法に求めていることであると考えています。
そこで、法務大臣にお尋ねします。
本法律案は、刑事司法の目的をどのように捉えて立案されたのでしょうか。
さて、現行の刑事訴訟法が制定されて以降、刑事司法制度の改正は比較的小規模なものにとどまっていました。しかし、約十年前の司法制度改革による裁判員制度等の導入、あるいは種々の具体的事件等を契機として、現在の刑事司法のあり方についての問題点が指摘されるようになってきました。
本法律案の趣旨は、現在の捜査、公判が取り調べ及び供述調書に過度に依存していることに根源的な問題があるとの認識のもと、そのような状況から脱却し、時代に即した刑事司法制度を構築することであるとされています。
そこで、法務大臣にお尋ねします。
現在の捜査、公判が取り調べ及び供述調書に過度に依存しているとされる状況の問題点、つまり、そのような状況から脱却しなければならない理由、そして、そのような状況から脱却するために本法律案が必要とされる理由について明確にしていただくことが重要であると考えます。
ところで、刑事司法手続は、犯罪事実の解明を行う警察、検察等の捜査機関、これに対する被疑者、被告人及び弁護人、さらには被害者や証人として関与し得る国民などのそれぞれの権利や利害が対立することは必然であると考えられます。そのため、刑事司法の分野は、制度を策定するに当たって、その権利利益の調整を図ることが非常に困難な分野となっています。
本法律案の具体的制度については、取り調べの録音、録画制度の創設、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度の創設、通信傍受の対象事件の拡大などが一般に注目されていますが、それらのみならず、被疑者国選弁護の対象事件の拡大、証拠開示制度の拡充など、被疑者、被告人の権利利益の保護に資するもの、さらには、被害者や証人となった国民の権利利益の保護に資するものなども一体として含まれており、全体として非常にバランスのとれた法律案となっております。
これら諸制度のうち、一部のみをピックアップして法整備を行うべきとの御意見もあるようです。しかし、私は、本法律案に掲げる諸制度について、これらを一体として法整備を行うことによって、取り調べ及び供述調書に過度に依存している状況を改善し、適正かつ機能的な刑事司法を構築できるという立案の趣旨に賛同しております。
一体として法整備を行うことこそ、刑事司法に携わる実務家や専門家のみならず、多くの一般の国民からも支持され得るものと私は考えておりますが、この点について、法務大臣の所見をお尋ねします。
次に、近時の我が国の犯罪情勢に目を向けますと、少子高齢化の進展、世帯規模の縮小、地域とのかかわりの希薄化といった社会構造の変化等により、犯罪抑止等に一定の機能を果たしてきたとされる社会システムの維持が困難となっている状況の中で、国民は、さまざまな犯罪の脅威に直面しています。
とりわけ、暴力、威力や詐欺的な手法により経済的利益を追求する組織的な犯罪は、健全な経済社会活動をゆがめるとともに、市民の平穏な生活を脅かしています。
例えば、振り込め詐欺を初めとする特殊詐欺は、平成二十六年の一日当たりの被害額が約一億五千万円に上っています。また、犯罪による子供、女性、高齢者の被害は特に深刻なものとなっています。
国民が安全で安心して暮らせる社会を実現することは、国家としての最重要課題の一つです。政府が策定した「世界一安全な日本」創造戦略においては、国民が安全で安心して暮らせる国であることを実感できる世界一安全な国日本をつくり上げることを目指すとされています。
本法律案は、近時の犯罪情勢に対応して、安全、安心な暮らしを実現し得るものとなっているのか、法務大臣にお尋ねします。
最後の質問です。
刑事司法は、いわば国民生活の基盤であり、その機能が十全なものとなるよう遅滞なく整備を進め、必要に応じて新たな制度や措置を取り入れていかなければなりません。今回の本法律案は時宜にかなったものであり、また内容においても、時代に即した刑事司法制度の構築を目指すものとなっていると考えております。
今回の法改正がもたらす刑事司法の将来像、つまり、本法改正の効果について法務大臣がどのように考えているかをお尋ねして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣上川陽子君登壇〕