山尾志桜里の発言 (本会議)

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○山尾志桜里君 民主党の山尾志桜里です。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、本修正案に賛成の討論をいたします。(拍手)
 皆さんは、法の女神テミスの像を見たことがあるでしょうか。この女神は、それぞれの手にてんびんと剣を持っています。てんびんは公正、正義を、剣は力をあらわします。力なき正義は無力だが、正義なき力は暴力である、力に正義で歯どめをかけるのが法である、この理念を体現する女神です。
 今回の刑訴法改正議論は、郵便不正事件など一連の冤罪事件を根絶するという決意からスタートしています。冤罪被害者にとって、捜査権力はまさに正義なき力であり、それは暴力であるからです。
 しかし、提出された政府原案には、取り調べの録音、録画により冤罪をなくす正義の法制化と同時に、捜査機関に新たな力を付与する傍受の拡大や司法取引の導入をもが盛り込まれていました。
 いかにこの力に正義で歯どめをかけるか、この観点から、修正された内容につき、賛成の理由を述べます。
 第一に、取り調べの録音、録画です。
 今回、取り調べ全過程の録音、録画が初めて法制化されます。対象範囲は限定的であり、あくまで最初の一歩です。
 ところが、原案では、これが最後の一歩になるのではないか、はたまた後退するのではないか、今後の方向性は極めて曖昧でした。
 そこで、修正により、三年後には録音、録画の積極的な意義を前提に見直されることとし、決して後退することのないようにしていくという委員会最終日の上川大臣の答弁とあわせて、範囲拡大に方向づけられた修正の意義は大きいと評価します。
 第二に、通信傍受です。
 逮捕や捜索という他の強制捜査と大きく違う点は、傍受されている本人はそれを知らないということです。人間が痛みを感じるからこそ大けがを防ぐことができるように、人権も、制約に気づいて初めて違法な侵害を防ぐことができます。
 そこで、修正案では、傍受された本人に、その記録を閲覧、聴取できることや、不服申し立てできることが通知されることとしました。また、警察署内で傍受が行われる際には、当該捜査に無関係な職員が、全件、現場でその適正を指導することとなりました。
 これらの修正により、傍受の濫用を防ぐための一定の歯どめがかかったと考えます。
 第三に、司法取引です。
 原案では、自分の罪を軽くするため、うそをついて他人を犯罪に巻き込むリスクが非常に高いと懸念されました。
 そこで、修正案では、偶然留置場で知った他人の事件など、無関係な事件は事実上対象外とし、取引、協議の過程に例外なく弁護人が加わり、その協議の概要などは、証拠開示に備えて記録、保管されることとしました。
 この修正によって、他人を巻き込む冤罪のリスクは一定程度低減したと考えます。
 第四に、証拠開示を含む検討条項です。
 修正案では、冤罪を根絶するため、再審請求における証拠開示などを今後検討することとし、また、傍受や司法取引についても三年後に見直すこととしました。
 以上が、修正の柱です。
 捜査機関の力の拡大に偏り過ぎていた原案に対し、冤罪をなくすという正義の要請に引き戻す修正ができたと評価して、民主党は賛成いたします。
 だからこそ、私たちは、責任を持って、これから録音、録画が本当に拡大されていくのか、傍受が人権を侵害していないか、司法取引が冤罪を引き起こしていないか、しっかりと確認をしていきます。
 加えて、審議のあり方について申し上げます。
 安保法案と同様、本法案も乱暴な一括の束ね法案であったことは、国民の意思を的確に反映させる立法府の責任を果たす上で、重大な支障があったことを強く非難します。
 その上で申し上げれば、このたびの審議は、四テーマに分けられ、一テーマごとに参考人質疑を中心に三日ずつかけるなど、丁寧に積み重ねていただきました。少なくとも、法務大臣はやじを飛ばすことはなく、法務委員長は強行で採決することもありませんでした。
 与党が数の力におごらず、野党が数の違いを諦めず、そうすれば、結論ありきの審議ではなく、結論を全員でつくり上げていく審議はできるのです。このことを実践していただいた各党、与野党問わず、議員の皆様、職員、関係者の皆さんに感謝いたします。
 そして、民主党は、これからも建設的な議論をリードし、力に正義で歯どめをかける役割を果たしていきます。
 最後に、警察、検察の現場で懸命に働いている皆さん、冤罪事件を根絶するために改正された歴史的なこの刑事訴訟法に基づいて、どうか、正義の力として国民に信頼されながらその重要な職務を全うしていただけるよう、心からお願いを申し上げます。
 私の賛成討論は以上です。(拍手)

発言情報

speech_id: 118905254X04220150807_021

発言者: 山尾志桜里

speaker_id: 12435

日付: 2015-08-07

院: 衆議院

会議名: 本会議