宮沢洋一の発言 (経済産業委員会)
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○国務大臣(宮沢洋一君) 第百八十九回国会における経済産業委員会の御審議に先立ちまして、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取組につきまして、経済産業大臣、産業競争力担当大臣、原子力経済被害担当大臣、内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)として所信を申し述べます。
初めに、福島の復興と福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、経済産業省が担うべき最も重要な課題です。
東日本大震災から四年の月日が経過しました。昨年十月に川内村の避難指示が解除され、三月一日には常磐道が全線開通するなど、復興の動きは着実に進展しています。ふるさとに戻りたいと考えている住民の方々の帰還が一日でも早く実現できるよう、引き続き、関係省庁とも協力しながら、福島の復興再生に全力で取り組んでいきます。
被災した施設設備の復旧や、新規の企業立地と雇用創出を着実に進めてまいります。内堀福島県知事を始めとする地元の方々の思いに応え、ロボット関連産業の集積や再生可能エネルギーの利活用など、福島県浜通りにおける新たな産業の基盤を構築してまいります。イノベーション・コースト構想については、昨年十二月に国、福島県、地元市町村などから成る推進会議を設置し、その実現に向けて取組を進めてまいります。
福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、国が前面に立って取り組みます。昨年十二月には四号機の燃料取り出しが完了いたしました。リスクの最小化と可能な限り速やかな廃炉の両立に向けて、現在中長期ロードマップの改訂作業を進めておりますが、地元関係者への丁寧な情報提供を行いつつ、安全かつ着実に対策を進めてまいります。
第二に、経済の好循環の実現と成長戦略の着実な推進です。
安倍政権が発足してからほぼ二年三か月が経過し、経済の好循環は確実に動き始めています。昨年の賃上げ率は、連合の集計によれば二・〇七%と過去十五年で最高となりました。設備投資も、平成二十五年度の国民経済計算では前年度から四・九%増加し、また、日銀短観十二月調査によれば平成二十六年度も更なる増加が見込まれています。
この好循環を一過性のものとせず、日本経済を本格的な成長軌道に乗せることが経済産業省の使命です。企業収益の増加が賃上げにつながり、それが消費を拡大し、更に企業収益が増加するという経済の好循環の二巡目を実現し、景気回復の温かい風を全国に届けていきます。
法人税改革については、まず来年度から実効税率を二・五一%引き下げ、数年で二〇%台を実現します。大胆な法人税改革により立地競争力を高めるとともに、国内設備投資の増加などの前向きな動きをしっかり後押ししていきます。積極的な外国企業誘致などを通じた内なる国際化や、産業の変革の担い手となるベンチャー企業の創出、コーポレートガバナンスの強化などにより、企業の稼ぐ力を高めてまいります。加えて、引き続き原材料価格の適正な転嫁や賃上げの要請に取り組みます。
また、中長期的な成長を実現する観点から、オープンイノベーションの促進や、公的研究機関の橋渡し機能の強化、戦略的な標準化の推進などに取り組むとともに、知的財産の適切な保護及び活用を図ります。このため、今国会において、発明の奨励に向けた職務発明制度の見直しなどを行うための特許法等の一部を改正する法律案、営業秘密保護強化のための不正競争防止法の一部を改正する法律案をそれぞれ提出いたしました。
世界では、ロボット開発競争の激化に加え、ビッグデータ、人工知能など急速な技術革新が進んでいます。生産・流通・販売、健康などの幅広い分野において新たな競争環境を生み出す大変革が始まっています。我が国の産業、経済がこうしたイノベーションの動きを積極的に取り込み、成長につなげていくことを全力で支援します。
成長著しい新興国を含む海外市場の獲得も重要です。TPPの早期妥結に向け全力を尽くすとともに、本年が合意の目標年である日EU・EPAを始め、RCEP、日中韓FTAなど、八つの経済連携交渉を積極的に推進します。また、ITA拡大交渉などの多国間、複数国間の取組を進めます。
また、我が国の先進的な環境エネルギー技術などを生かしたインフラシステム輸出を推進するとともに、これを支える貿易保険制度をより効率的、効果的に運営するため、貿易保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。
第三に、アベノミクスの成果を全国津々浦々に届けていくに当たっては、地域を支える中小企業・小規模事業者の成長を強力に後押ししていくことが不可欠です。今国会に、官公需法及び中小企業地域資源活用促進法の改正を含む中小企業需要創生法案を提出いたしました。創業後間もない中小企業の官公需への参入を促進するとともに、地域資源を活用したふるさと名物の開発や販路開拓に取り組む事業者を支援してまいります。
中小企業・小規模事業者の持続的な発展には、後継者への事業の承継が円滑になされることが必要です。昨今の経営者の高齢化や親族外承継の増加などに対応した中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案を提出いたします。
また、中小企業金融の観点からは、危機時の安定的な資金供給に万全を期すことで企業の潜在的な成長力を引き出すことが重要です。このため、商工中金に、当分の間、危機対応業務の実施を義務付けることとします。また、中小企業と同様に事業を行い、地域の経済や雇用を担うNPO法人を中小企業信用保険の対象とすることとします。こうした措置を定めた株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を提出いたしました。
我が国のこれからの成長を支え、地域を活性化させていく主役は、優れた技術とノウハウを有する中堅・中小企業です。それぞれの特色を生かしつつ、新たな研究開発や新分野への挑戦を促すために、これまでの成功例や失敗例を分析し、成長戦略の見える化を図るなど、支援の充実を図ってまいります。
第四に、責任あるエネルギー政策を推進してまいります。
あらゆる面で優れた単一のエネルギー源は存在しないことから、安全性を前提とした上で、安定供給、コスト低減、温暖化対策のいわゆる3EプラスSを基本としたエネルギーの需給構造を実現していくことが必要です。そのための柱であるエネルギーミックスについては、本年一月より検討を開始し、各エネルギー源の特性を十分に考慮しつつ、現実的かつバランスの取れたものをできるだけ速やかに取りまとめていきたいと考えています。
また、今国会は改革断行国会であり、エネルギー分野での改革も確実に実行していきます。低廉で安定的な電力供給を実現すべく、三段階の電力システム改革の総仕上げを行うとともに、ガスや熱供給の分野の改革も一体的に進めることで、縦割りのエネルギー市場の垣根を取り払い、我が国の成長をリードするエネルギー産業を創出してまいります。あわせて、自由化される市場の監視などを適切に実施するため、経済産業省に新たに電力・ガス取引監視等委員会を創設いたします。これらを実現するため、今国会に電気事業法等の一部を改正する等の法律案を提出いたしました。
徹底した省エネルギーの推進や、再生可能エネルギーの最大限の導入を強力に進めるとともに、燃料電池自動車や電気自動車の普及拡大、メタンハイドレートの開発推進、資源外交を通じた石油、天然ガスなどの権益の獲得や供給源の多角化などに幅広く取り組みます。
原子力発電については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、長期的に依存度を低減させていくのが政府の方針です。原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し、原発の再稼働を進めてまいります。
高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は、国が前面に立って取り組むことが必要な国家的課題です。特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づく基本方針を速やかに改定してまいります。
以上申し述べましたとおり、経済産業行政は多くの課題に直面しておりますが、これらに挑戦していくことは新たな成長の可能性を切り開くことでもあります。二〇二〇年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催されますが、この機会を捉え、観光とクールジャパンの連携、外国人が滞在しやすい環境の整備、水素社会を始めとする最先端エネルギーシステムの実現など、経済産業省としても積極的に取組を進めてまいります。
国民各層の幅広い御意見をしっかりとお伺いしながら、経済産業大臣として全身全霊で職務に取り組んでまいります。
吉川委員長を始め理事、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。