尾崎裕の発言 (経済産業委員会)
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○参考人(尾崎裕君) ありがとうございます。
日本熱供給事業協会及び日本ガス協会の尾崎でございます。
本日は、説明の機会をいただき、誠にありがとうございます。また、平素より私どもの事業運営について御協力、御理解を賜り、厚くお礼を申し上げます。
本日は、熱供給及びガスのシステム改革について、お手元の資料に基づき、意見を述べさせていただきます。
まずは、三ページを御覧ください。
熱供給事業について御説明をいたします。
熱供給事業とは、一か所で水を加熱又は冷却し、温水、冷水、蒸気として導管を通じて複数の建物に供給する事業であります。まとめて製造、供給するため、省エネ、省スペース等のメリットがございます。
次に、四ページを御覧ください。
熱供給事業は全国各地で行われており、現在、七十六社、百三十七地区でございます。地区別では、関東、近畿、中部、特に東京、大阪、名古屋等の需要密度の高い地区に集積しています。供給面積は国土の〇・〇一%、事業者規模は平均で資本金八億円、従業員十七名と小さく、周辺エリア一帯に供給するというよりは、地点型のビジネスであると言えます。
事業主体としては、ガス、電力などのエネルギー事業者や不動産会社、鉄道会社、自治体などが参画しています。原燃料の多くは都市ガス、電力ですが、清掃工場の廃熱や河川水、コージェネ廃熱など、未利用エネルギーも一三%程度活用されています。
次の五ページは、熱供給導入の効用について記載しております。
個別熱源システムと比較して、約一〇%の省エネや省CO2に貢献いたします。未利用エネルギーを活用できれば、その効果は倍増します。また、お客様先の熱源機が不要なために、省スペースや景観の向上にも寄与いたします。さらに、地域防災への貢献が可能なサイトもございます。
次に、六ページを御覧ください。
六ページでは、改正法案に対する意見を述べさせていただきます。
まず、今回の法改正については賛同いたします。また、事業者としては引き続き安定的なサービス提供に努めていく所存でございます。加えて、多様なサービスの提供を通じて、一層の顧客サービス向上を目指してまいる所存でございます。
一方、更なる熱供給事業の推進政策の追加的な措置、例えば各地の都市開発における熱供給を推奨する制度などを期待しております。
このような事業者の努力と推進政策等の御支援により、熱供給事業の更なる発展を通じて、省エネ、省CO2やレジリエンスに配慮した町づくりへの貢献など、社会的要請にもしっかりと応えてまいりたいと存じます。
熱供給事業については以上でございます。
続いて、都市ガス事業について述べさせていただきます。
一ページ飛ばして、八ページを御覧ください。
まずは、都市ガス事業の概要から説明いたします。法案審議に当たり、都市ガス固有の状況を御理解いただきたいと思いますので、他のエネルギーとも比較しながら説明をさせていただきます。
まず、都市ガス事業とは、導管によりガスを供給する事業であります。したがって、需要が多く、導管の利用効率が高い都市部から普及が進んでいます。地図の着色部分が都市ガスの供給区域ですが、その面積は国土の六%弱にすぎません。お客様件数は二千九百万件です。ボンベでガスを供給するLPガスよりやや多く、電力の半分程度でございます。また、電力会社は十社ですが、都市ガスは全国で二百七社存在します。全国のガス販売量の四分の三を大手四社が占めており、ほとんどのガス事業者は中小規模の事業者です。
続いて、九ページを御覧ください。
左の図は、主な都市ガス導管の整備状況を示しています。
ガス事業は、原料の大半を海外のLNGに依存しています。したがって、ガス導管は、海岸部のLNG受入れ基地を起点に、需要拡大に応じて延伸されてきました。日本の場合、大都市と大都市の間は需要密度が低く、かつ導管コストも高額となるため、必ずしも導管整備が進んでいません。都市間を結ぶ導管網を充実させるには、導管整備とガス需要の拡大を一体的に進めることが不可欠です。
十ページを御覧ください。
ここでは、都市ガスの利用拡大の歴史を説明させていただきます。
百四十年前、横浜のガス灯から始まったガス事業は、電気や石油、LPガスとの激しい競争の中で、照明から厨房、給湯、暖房へと、また、家庭用から商業用、工業用へと用途を拡大してきました。特に一九七〇年代以降は、天然ガスへの転換とともに、ガス事業者が主体となって機器の開発や需要の開拓を進めてまいりました。ボイラーや空調、天然ガス自動車、コージェネレーション等へ用途が広がり、工業用を中心に販売量も大幅に増加しました。
次に、十一ページを御覧ください。
このページは、都市ガスのエネルギーとしての特徴を記載しております。
主原料である天然ガスは、安定供給と安全性、経済効率性、環境適合性の全てに優れ、いわゆる3EプラスSをバランスよく実現できるエネルギーと考えております。
十二ページを御覧ください。
ここでは、私どもが二〇一一年に公表しました二〇三〇年ビジョンを記載しております。
電気、熱、輸送など、天然ガスはまだまだ普及の可能性があり、3EプラスSの実現に大いに寄与できるものと考えています。特にコージェネレーションは、発電と廃熱利用を同時に行うため、省エネルギー性が高く、電力需給安定やCO2の削減等に大いに貢献できると考えています。
十三ページを御覧ください。
ここからは、競争状況について御説明をいたします。
ガス事業は、電力に先駆け、二十年前から段階的に自由化を行ってまいりました。現在では、年間使用量十万立方メートル以上、販売量ベースで六割のお客様が自由化されています。
引き続き、十四ページを御覧ください。
このグラフは、都市ガス市場における新規参入の状況を示しております。青色が都市ガスの新規参入シェアですが、現在一二%に達しています。新規参入者のうち特に電力会社などは、LNGや基地を保有しているためガス事業への参入が比較的容易で、強力なライバルであります。
次いで、十五ページを御覧ください。
ここでは、都市ガスの保安制度を説明します。
日本では、ガス事業者がお客様資産であるガス管や消費機器まで保安責任を担っており、欧米よりも高い保安水準を保っています。現在は、お客様設備の保安を担う小売部門と、ガス導管や緊急時の保安を担う導管部門が一体となって保安に当たっております。全面自由化後も保安水準を維持するには、小売事業者と導管事業者の密接な連携が重要です。日頃から情報連携、共同訓練などを通じ、切れ目のない保安体制を維持することが望ましいと考えております。
次いで、十六ページを御覧ください。
災害時においては、両者の一体的な連携が特に重要であります。地震は休日、夜間に発生することも多く、必ずしもルールどおりに災害体制が構築できるとは限りません。現在、地震発生時は、小売、導管、スタッフなどが本来の仕事とは関わらず、経験と知識を生かして臨機応変に対応しています。このとき、導管部門の経験ある社員が特に力を発揮します。法的分離により人事異動や兼職に制限が掛かると経験者の適切な配置が難しくなりますので、十分配慮いただきたいと思います。
次に、十七ページを御覧ください。
このページは、総合エネルギー企業の取組について記載しております。
ガス事業者は、従来の都市ガス供給に加え、エネルギーマネジメントやエネルギー融通、制御を行うスマートコミュニティーなど、熱と電力の最適なソリューションへと事業フィールドを拡大しています。全面自由化後は、更に電力事業への参入や生活サービス等を通じて地域に根差した総合エネルギー企業へと進化してまいります。
次のページからは、法案についての私どもの考え方を記載しております。
十八ページを御覧ください。
まず、小売全面自由化については積極的に対応してまいりたいと考えます。また、先ほどの総合エネルギー企業の取組も加速してまいります。
次に、導管部門の法的分離については、調達、導管投資、災害対応等の点で懸念がありますが、今後は、懸念の解消に向け、円滑な事業運営に支障を来さない行為規制の検討や検証規定と責務規定を確実に実施していただきたいと思います。さらに、改革の重要な目的である天然ガス利用拡大については、各事業者が利用拡大に取り組む仕組みや需要と一体での導管整備について議論を進める必要があると考えます。
十九ページを御覧ください。
最後に、こうした点を踏まえ、私どもの課題認識を述べさせていただきます。
最も重要と考えているのは、天然ガスの利用拡大であります。天然ガスは、先ほども述べたとおり、3EプラスSをバランスよく実現できるエネルギーであり、目下のエネルギー制約を克服する最も有力な選択肢と考えます。天然ガスの利用拡大のためにコージェネレーションや燃料電池、産業用等の普及拡大が重要であることは、エネルギー基本計画や先日の長期エネルギー需給見通しにも記載されたところです。
これまで我が国のガス事業は、需要が導管の建設を促し、技術が需要開拓を促進するというサイクルの下で発展してきました。今後、小売事業者と導管事業者に分かれ、それぞれが部分最適を追求したとしても、天然ガスの利用拡大を支えるサイクルの維持、すなわち全体最適が重要であり、そのための方策が必要だと考えます。
二十ページを御覧ください。
このページは、法的分離についての意見です。
一つ目は、行為規制についてであります。ガス事業では、災害対応や供給オペレーションや導管投資等において、導管部門と小売、製造部門が密接に連携しています。特に保安については、両部門が一体となって高い水準を維持してまいりました。行為規制の検討に当たっては、公平な競争を阻害しないことを前提に、安定供給や事業運営の効率を損なわないよう最大限配慮していただきたいと思います。
二つ目は、検証規定についてです。ガス市場は現在でも新規参入が一二%まで進んでいますが、新規参入が一層進展した場合、保安に対する懸念が残るような場合、こういう場合は、あらゆる可能性を排除せず必要な措置を講じていただきたいと考えます。
二十一ページを御覧ください。
このページは、全面自由化に向けた準備についてです。
小売全面自由化は、公布から二年六か月以内に施行するとされています。この期間に制度の詳細を詰め、その後、情報システム対応も行わなければなりません。制度設計については、ガスは電気に比べ二年遅れてのスタートとなります。法案成立後は、一体的な改革の実現に向け、まずは早急に制度設計に取り組んでまいりたいと思います。一方、ガスの場合、保安制度についても十分かつ慎重な検討が求められます。拙速な対応となり、お客様に御迷惑をお掛けしないよう、情報システム対応を含めた十分な準備期間の確保についても御配慮いただくよう、お願いいたします。
最後になりますが、私ども既存ガス事業者は、今回の法改正で都市ガス事業がどのように変化しようとも、安定供給、保安の確保に全力で取り組んでまいります。
私からの説明は以上です。どうもありがとうございました。