水島朝穂の発言 (憲法審査会)

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○参考人(水島朝穂君) お説は拝聴いたしましたが、最後のところで、憲法についてどう考えるかということでございますが、ただ、その中でドイツのことにメンションされました。これは、私、ドイツ憲法を専門にしておりますけれども、ドイツの憲法改正を細かく見ていきますと、実は重要な基本権であるとか民主主義の基本的なところについては変えておりません。基本的に手続規定やEUに入るときとかでありまして、大規模改正は六八年のときの盗聴を可能にする十条改正、九八年のいわゆる室内に盗聴器を設置できる十三条の身体の自由の改正、これは違憲の基本法改正だという議論すらあるくらい、実は憲法改正への疑問という議論もあるくらいでありまして、これは実は憲法改正の限界をドイツ基本法七十九条三項は、人間の尊厳や民主制や法治国家、そういうものは変えちゃいけない。だから、この変えちゃいけないことを具体的に書いているわけですね。ですから、それに触れているという議論ですよね、盗聴とかそういうのができるのは。それから、フランスの憲法の八十九条五項には、共和制は変えられない、君主制に戻せないということ。イタリア憲法の百三十九条も、共和政体はこれは触れない。
 だから、憲法改正は何でもできるし、自分の思いや国柄や自分の思想や、そのときの国民のわっと盛り上がったムードで憲法に書き込むことは、実はそれぞれの憲法は慎重に避けている。避けているどころか、むしろ禁止しようとすることが普通である。だから改正手続が高い。死刑についてだって、フランスは最終的に憲法改正で死刑廃止したのは、やはりわっと法律に残しておけばそのときの政権が死刑を復活するからという思いがあった。
 いろんな意味で、権力が自ら自分を縛るというところに権力の自己抑制、自己拘束の発現があるのであって、是非、皆さん方、国家権力の重要な部分を担当されている方は、まさに今までの政治家たちの自分に対する抑制的な表現、例えば自由民主党の先輩政治家が非常に抑制的なことを言っておりますけど、私、是非、石橋湛山自由民主党第二代総裁、内閣総理大臣の岩波文庫の評論集を読んでいただきたい。湛山は、国を滅ぼすとはどういうのかと、それは軍備の拡張という国力を消耗する考え方だと。冷静に憲法を読み返すとき、私は日本がそのような悪路、悪い道、つまり軍備拡張で国力を消耗する道を踏んでいくことを忍び難いものを感ずると、こういうふうに言っていまして、先ほどの原稿の最後に持ってきています。
 つまり、自由民主党石橋湛山元総裁、総理という方であっても、戦争を体験した上で出てくる言葉というのは、やはり国民の共通体験の上にそれぞれの体験を憲法にやはり求めている。求めたとき慎重になる態度というのは、やはり自己に対する抑制、つまり、先ほど会長が見事におっしゃっていただきましたが、最も民主的と言われたあのワイマール憲法の比例代表制、完璧比例代表制、国会議員以外でも法律を作れる直接投票、それからいわゆる大統領の直接解散、それからプレビシット的な直接民主制、その中でヒトラーが生まれたんですよ。
 だから、民主主義を徹底し、民意を圧倒的に尊重するというやり方をやってもそうやって失敗したから、そこに変えちゃいけない条文を入れてみたりとかやるわけであって、権力者が自分は何でもできると思っちゃいけない。その逆を書いてあるのが憲法ですから、おっしゃる思いはよく、それぞれあると思いますけれども、それをどういう形に憲法に反映させるのかというところは、憲法は憲法なんだというこの議論を踏まえてやっていただければ幸いかなと思いまして、それぞれの自由な議論は決して私、さっきタブーという言葉がありましたが、九条をタブーという言い方はすごく非生産的で、私は一番、九条論で創造的な九条論、安全保障論やっているつもりで自分ではおりまして、自衛隊の解編論というのを実は昔やっていまして、サンダーバードに変えろというふうに言ったのは九二年でありまして、防衛省が二〇一三年、ポスターにサンダーバードを募集に使ってくれたんですね。
 ですから、その意味でいうと、私が言っていた自衛隊がもっと愛される方向というのは決して銃を撃つ方向じゃないんだよということは、決して私は、九条はゼロか一〇〇か、制限か授権か、あるいは自衛隊完全廃止か全面軍隊かじゃないという、いろんなことをこの議論の中でやるのが憲法であって、憲法は寡黙であるがゆえにそういう自由が自由にできるんですよ。だから、憲法に書き込まないこと、それが大事だということを申し上げたいと思います。
 失礼しました。

発言情報

speech_id: 118914183X00220150304_034

発言者: 水島朝穂

speaker_id: 18911

日付: 2015-03-04

院: 参議院

会議名: 憲法審査会