水島朝穂の発言 (憲法審査会)
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○参考人(水島朝穂君) ありがとうございました。
お手元に、岩波書店から出した、五十三ページからの緊急事態条項というのがございます。ですから、欠陥という議論を私、紹介しながら、沈黙を守っている、この日本国憲法の緊急事態法の書いてないことを沈黙と見るか欠陥と見るか。
私は、公法学研究の中で、公法学会での報告の中で、これはいわゆる沈黙や欠陥と見るべきではなくて、先ほど申し上げた形で、災害国の日本におけるそういうような事態に対応する憲法の方向と内容というのは、いわゆる憲法にないけれども基本的に法律で書いてあるというレベルではなくて、憲法は、先ほど申し上げたように、いろいろなものに対して過剰に、あるいは饒舌であってはいけない、寡黙であるべきだ。
国民の安全や原子力事故、いろんなものに対してもどんどん書き込むことによってやれるようにすべきだと、こういう議論があるんですけど、私はそれは、憲法というのは、そういう意味でいえば、そういう便利なデパートではなくて、その基本的な方向と内容が書いてある。それを基本的に法律レベルで具体化していく。その法律レベルに欠陥があればそこに総合的な検証、あるいはその法律の実施が失敗した、それは、例えば東日本であれば事故調が様々に立ち上がって検証したわけでありまして、そういう検証の上に立ってどういう方向と内容が今後必要かと、こういう議論も進んでいると思います。
その点でいうと、私の資料の五十五ページ辺りから、ドイツなどは制度化された緊急権の見本と私は言っていまして、とにかく徹底的に憲法に書き込んでいるんですよね。だから、日本もそれにすべきだという議論の方がいらっしゃるんですけれども、このドイツの憲法に書き込んでいくやり方というのは、逆に言えば、非常事態法のときに憲法の濫用ができないようにするとき、当時の社会民主党の理論家たちがむしろそういう形で運動をしながら、そういう理論も、そういう議論を入れながら、結局そこに三分の二を必要としたり、あるいは小さな議会で、ソ連がミサイルが来るときでさえ四十八人で議会で決定しないと総理大臣は権限持てないとか、いろんな縛り方をして、緊急事態にぎりぎり立憲主義的統制を加えようとしていた、そういうふうなことを明らかにしておりまして、後にですね。
そういう意味でいうと、それぞれの国で、例えばフランスのように十六条で大統領が自由にできるのに対しては、ミッテラン政権が十六条の削除をしようと。やっぱりこれはアルジェリアにまで非常事態ずっと使っちゃってたと、植民地に、反省から、十六条を取ろうじゃないかという議論があるとき、日本だけなんですよね、殊更に緊急事態法を憲法に入れようという議論をやっているのは。韓国の学者と議論をしたときも、やはり韓国憲法で非常事態法が濫用されているから、もうちょっと抑制しようという議論が大きいんです。
だから、これは日本国憲法の欠陥というよりは、むしろそういう憲法に入れない、入れるよりは、そういう対応がこれまでできてこなかった政治の問題だと先ほど申し上げたことを繰り返したいと思います。