白川修二の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(白川修二君) 健康保険組合連合会、白川でございます。
 本日はこのような意見陳述の機会を与えていただいたことにつきまして、厚生労働委員会に感謝申し上げます。また、平素から、健保組合、健保連に対しまして様々な御指導、御支援を賜っていることについても、併せてこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。
 さて、今回の法案につきましては、評価できる部分も多いのですけれども、不十分な点もあり、満足できる内容ではないというふうに考えております。本日は、法案の中で一点のみ健保組合としては納得できない部分、総報酬割制の導入問題について意見を述べさせていただくとともに、また、今次法案には含まれておりませんが、皆保険制度を維持していくための重要課題と考える事項に関し、二点意見を述べさせていただきたいと思います。資料を提出させていただいておりますので、必要に応じて御覧いただければと思います。
 最初に、総報酬割についての意見でございます。
 今次法案では、後期高齢者支援金の被用者保険負担分に関し、平成二十九年度から全面総報酬割制度を導入することとなっております。
 提出させていただいた資料の一ページを御覧いただければと思いますけれども、厚生労働省の試算によれば、この全面総報酬割導入により、健保組合は約千五百億円の負担増、共済組合は約一千億円の負担増となる一方、公費は、協会けんぽに対する助成金が不要になることから約二千四百億円が削減されるということになっております。
 私どもは、後期高齢者支援金の算定方法を全面総報酬割に変更するということ自体には反対しておりません。ただし、それによって生じる国費二千四百億円の活用方法については、大いに問題と考えております。
 資料二ページにお示ししたとおり、この二千四百億円のうち約七割の千七百億円を国民健康保険に投入するとする政府の計画は、二つの意味で納得できかねます。
 第一に、国民健康保険の財政支援は本来国が負担すべきものであるにもかかわらず、今回は全面総報酬割という手段を使って被用者保険の保険料から調達しようとする点であります。まさに、被用者保険の保険料による国費の肩代わりの構図になっております。被用者保険と国民健康保険の間での保険料による所得再分配にもつながるものであり、保険の役割を超えている点が問題というふうに考えております。
 第二の問題点は、保険財政の悪化に苦しんでいるのは国民健康保険だけではなく、被用者保険も同様の状況にあるということにもかかわらず、一方の国民健康保険に余りに偏った支援策を講じている点であります。
 健保組合の財政状況につきましては資料の四ページ以降にお示ししてございますけれども、千四百三、今、健康保険組合ございますけれども、全体としては、現行の高齢者医療制度が導入された平成二十年度から二十七年度予算まで八年連続で経常赤字を計上し、この間の赤字累計は約二兆五千億円に上ります。財政悪化の最大の要因は、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金等の拠出金負担の増加にあります。
 資料五ページ、六ページにお示ししてございますけれども、保険料収入に占める拠出金負担の割合は平均四三%を超えており、この割合が五〇%以上の健保組合は実に三百五組合、全体の二二%に当たります。こうした財政状況から、健保組合では財政の硬直化が進み、保険者機能の発揮を制限せざるを得ない、まさに異常な状態が続いております。健保組合の財政面での疲弊を改善しなければ、我が国の皆保険制度にも大きな影響を与えかねないと懸念される状況であります。
 したがって、総報酬割により捻出される国費二千四百億円は、拠出金負担の軽減、つまり高齢者医療費、特に団塊の世代の前期高齢者入りにより顕著な医療費の増加が進んでいる前期高齢者納付金の負担軽減に活用すべきと我々は主張しております。前期高齢者の医療費の負担構造、すなわち税と現役世代の保険料による負担の割合を見直せば、被用者保険のみならず、国民健康保険の財政にとってもプラスに働くと考える次第です。
 この考えは、単に健康保険組合連合会の意見というわけではございません。被用者保険関係五団体、健保連、協会けんぽ、連合、日本商工会議所、日本経団連、共通の意見でありまして、本日提出した資料の七ページに五団体の共同意見書を添付させていただいております。
 次に、今次法案に含まれております総報酬割以外の項目、すなわち、患者申出療養制度導入や食事療養費の見直し等については基本的に賛成の立場でありますので、時間の関係で意見は省略させていただきます。
 しかしながら、法案には非常に重要な問題が取り上げられていないということを危惧しておりますので、二点要望を申し上げたいと思います。
 一点目は、高齢者医療費の負担構造改革が焦眉の急であるという点であります。
 現在、国民医療費約四十兆円の約六割は六十五歳以上の高齢者に係る医療費でありますが、この割合は、特に団塊の世代の高齢化の進行に合わせて増えていくと推計されております。この負担を全国民で支え合うことは当然でありますが、この場合、高齢者と現役世代の負担割合や保険料と税金の投入割合等をデザインし、国民に提示していくことが重要というふうに考えます。医療費の増加は当然国民負担の増加を招来するわけですから、将来の負担のイメージを示すことによって国民の納得感を醸成していくことが不可欠というふうに考えます。
 健保連の意見は、高齢者医療は全国民で公平に支える必要があるということ。ただし、現役世代の保険料による支援は既に限界に達しており、これ以上の負担増は皆保険制度の基盤を揺るがす危険性が高いし、経済的にも成長戦略に悪影響を及ぼしかねないということ。したがって、消費税引上げ等によって生じる新たな税財源を高齢者医療に投入する方向で高齢者医療費の負担構造改革を断行すべきというものであります。いずれにしても、高齢者医療を国民全体でどのように支えるかが我が国の皆保険制度を維持するための最も重要な課題と認識しております。
 今次法案には、残念ながらこの問題に関する方向性が含まれておりません。今次法案の成立後も、医療保険制度全体の更なる改革に取り組むべく、議論を継続させ、積極的に検討を進められることを強く要望いたします。
 二点目の要望は、医療費適正化施策を更に推進することであります。
 今次法案でも、都道府県による医療費適正化計画の取組強化や食事療養費の自己負担の見直し等が織り込まれておりまして、大いに賛成するところでありますが、残念ながら、まだまだ増加の一途をたどる国民医療費への対応という点では不十分と感じております。今次法案にも検討規定が定められておりまして、それによれば、この法律の公布後において、持続可能な医療保険制度を構築する観点から、医療に要する費用の適正化、医療保険の保険給付の範囲及び加入者の負担能力に応じた医療に要する費用の負担の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするというふうに記載されております。
 また、衆議院におきましても附帯決議が採択されており、「高齢者医療制度を含めた医療保険制度体系、保険給付の範囲、負担能力に応じた費用負担の在り方等について、必要に応じ、盤石な医療保険制度を再構築するための検討を行うこと。」ということも決議されております。
 国民医療費は、高齢化という要因のみならず、最近は医療技術の高度化によっても増加することは確実と思われます。一方、保険財政はまさに瀬戸際の状態であります。法案の中の検討規定や衆議院の附帯決議に沿った医療費適正化に関する検討を迅速に、かつ広範囲に開始するよう要望するものであります。
 最後に、我が国の医療保険制度は世界でもまれなすばらしい制度であります。しかしながら、保険財政面から見ますと、我が国の皆保険制度はかなり危うい状況に陥っていると認識すべきであります。直ちに必要かつ適切な措置をとり、このすばらしい制度を維持していく必要があるということを強く訴えたいと思います。また、地域と職域の保険者が共存し、それぞれが保険者機能を発揮してきたことも国民皆保険制度の発展、充実に大きく貢献してきたと考えております。今後も、現行の保険体制を維持あるいは強固にしていくことが何より重要と考える次第です。
 健保組合は、今後も全力を傾注して国民皆保険制度の維持や向上に貢献していきたいというふうに考えております。議員先生方には、引き続き御指導、御支援賜りますようお願い申し上げて、結びといたします。
 どうも御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 白川修二

speaker_id: 31017

日付: 2015-05-22

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会