長友薫輝の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(長友薫輝君) 私からは主に国民健康保険に関連して御意見を申し上げたいというふうに思います。
 委員長を始め各委員の皆様には、発言の場を与えていただき、ありがとうございます。
 大きくは三点にわたって述べたいというふうに考えています。一点目は医療保障と皆保険体制、二点目は国保への公費拡充策、三点目は国保の都道府県単位化、三点にわたって述べていきたいというふうに思っております。
 まず、医療保障についてですが、改めて確認させていただきたいというふうに思います。
 医療保障は主に次の二つによって実現しています。一つは公的医療保険による皆保険体制、もう一つは医療提供体制ということになります。今回の法案は、この両者において都道府県の役割を強化し、医療保障の在り方を変える可能性を持っているというものであります。
 また、次の(2)のところですが、医療保険制度改革、今回の法案においては皆保険体制の堅持ということがうたわれております。今後も、社会保険である公的医療保険による皆保険体制を通じて医療保障を支えるという強い国民への決意表明であろうというふうに思います。この点から、私も以下の問題点あるいは評価ということを進めていきたいというふうに思います。
 皆保険体制を堅持するということですが、堅持するということで申し上げると、公的医療保険においては特に国保の安定を図るということが重要な鍵ということになります。その上で、後ほど触れていきたいというふうに思います。
 その前に、公的医療保険については社会保険であるということを改めて確認したいというふうに考えています。
 社会保険は二つの原理を持っています。一点目は社会原理というもので、これは、自己責任あるいは地縁、血縁といった相互扶助、こういったものでは対応できない問題に対して社会的な対応を進める。例えば、病気ですとか失業ですとか老齢、障害、こういったものですね。こういったものに対して社会的な対応を行うというもので、この原理から国庫負担や事業主負担の論理が導き出されるということになります。もう一つの原理として保険原理というのがあります。これは、保険の技術的な側面に注目したもので、保険料を納めた人にのみサービスを提供するというものです。民間保険はこの原理で運営されています。
 ですが、残念ながら、私の知る限りということで限定させていただいてお話し申し上げますが、保険原理のみを強調する対応が国保の自治体の窓口等で起きているということになります。これは非常に公平性に欠け、社会保険に対する正確な認識を著しく欠いたものであり、皆保険体制の堅持という視点からも早急に是正が必要ではないかというふうに懸念を申し上げたいというふうに思います。あくまでも皆保険体制は社会保険として社会保障の一環として整備しているものであるということになります。
 この皆保険体制において、次の(4)のところですが、皆保険体制における国保の位置付けということを確認したいというふうに思います。
 先ほど福田参考人もお話しされましたが、被用者保険などに加入しない方は全て国保に加入する構造ということになっており、国保は皆保険体制においてセーフティーネットの機能、そして下支えする役割を果たしています。制度当初から、一つは、農業者や都市部の自営業者の公的医療保険という色彩、もう一つは、無業者、低所得者、高齢者の公費医療制度という色彩を持って制度をスタートさせています。ですから、先ほどもお話にあったように、加入率が変化してきているということになります。そして、後者の方々が増加の一途をたどっているというところです。そもそも、ですから公費負担医療の対象となる人々が多く加入する構造であり、高齢者も無業者も、つまり負担能力が高くない方々が流入して、加入してくるという構造になっています。
 この国民健康保険の現状に対する認識として、次のところですが、国保の現状というのはやはり不安定というのが大方の方々の共通認識ではないかというふうに考えています。これ、保険者も被保険者も含めて不安定ということが共通認識であろうというふうに思います。
 安定のために必要なことはというふうに考えますと、例えば、保険者については財政支援の拡充が必要である、被保険者については応能負担の原則に基づいた負担を求めるということが必要であろうというふうに思います。今回の法案では財政支援策として三千四百億円が投入される、この点については非常に評価できる点でありますが、この三千四百億円によって年額一万円の財政改善効果を想定している、そういうことが言われているということになります。
 次に、国保への公費拡充策についてお話ししたいというふうに思います。
 拡充策について、二ページの方ですが、今年度から保険者支援制度として千七百億円、二〇一八年度から毎年約千七百億円ということで、合わせて三千四百億円、今回の財政支援規模が三千四百億円ということになっています。ただ、この金額については、市町村の独自負担である法定外繰入額三千五百億円とほぼ同額ということで、保険者である市町村の財政負担を軽減する性格が強いものだというふうに思います。
 ただ、この点について憂慮する点が次のところです。
 実際には保険料の引下げにつながらない場合があるのではないかということに留意しなければならないというふうに考えています。法定外繰入れを実施している市町村では、法定外繰入額を減らすと保険料軽減にはなりません。引き続き法定外繰入れを継続して行わなければ保険料負担の軽減にはつながらないということになります。また、市町村による独自負担として進められている法定外繰入れは、皆保険体制を堅持するための補完ないし代替的役割を担っているというふうに考えています。よって、今後の国保の保険給付額増加予測を踏まえれば、定額という国庫負担から定率の国庫負担が必要となるということは言うまでもありません。
 こういったところを今後の課題というふうに記しております。
 続いて、大きく三つ目の国保の都道府県単位化についてです。
 引き続き市町村は国保を担うということが今回の都道府県単位化の趣旨です。
 保険者である市町村が求めてきた都道府県の、言わば単独の都道府県保険者論ではありません。市町村と都道府県が共同で国保を運営する公的医療費抑制の新たな仕組みであるというのが中身ではないかなというふうに思います。そして、その影響は国保加入者にとどまらないということを周知する必要があるというふうに思っています。
 二点目、都道府県と市町村の役割についてです。
 先ほど来もお話ありましたが、都道府県は国保の運営及び医療提供体制の両者において責任を持ちます。都道府県が市町村ごとの医療費水準、そして所得水準を基に納付金というものを決定するという仕組みです。ということは、医療費水準が高い自治体については納付金負担額が重くなるという懸念が当然のことながら生じます。
 また、標準保険料率というものがつくられ、これは都道府県が設定しますが、この標準保険料率を参考に各市町村は保険料を賦課徴収するという役割を持ちます。ただ、あくまでも参考程度ということになっていますが、参考程度で本当に済むのかどうか、市町村を誘導することになるのではないか、そういった懸念が浮上します。あわせて、医療提供体制の再編が進められ、医療費水準を下げることへの手段として今回の標準保険料率が設定されるというふうに見るのが妥当ではないかというふうに考えています。
 次の三点目、(3)のところですが、医療費適正化計画と保険者協議会について申し上げたいというふうに思います。
 都道府県ごとに医療費適正化目標というのが設定されるということで、あわせて医療費適正化計画については策定等に関して保険者協議会に協議するということになっています。
 先ほど申し上げた標準保険料率と医療費適正化目標の設定は、過剰な医療費抑制策となり、新たに地域医療の崩壊現象を招くのではないかという声が既に現場から出ています、そういった懸念が浮上しています。
 なぜかというところですが、医療費適正化計画に盛り込まれた医療費水準、そしてジェネリック医薬品普及率等の目標は、医療費抑制のために保険給付削減策の展開を求めるものです。本来は、健康で病気にならないための保健事業あるいは健康増進事業、こういったものを充実するという視点が必要であるんですが、こういった視点が残念ながら欠落しているというふうに言わざるを得ません。
 今後は、都道府県がより医療保険の運営者としての視点ないし性格を強めることが予想されます。そうすると、医療提供体制の再編が進む可能性があります。医療提供体制の再編は、先ほど申し上げたように、保険給付削減策を意味するというものです。
 今申し上げた都道府県が策定する医療費適正化計画や地域医療構想によって国保加入者が、もちろん国保加入者だけではありませんが、主に国保加入者がまともな医療を受けることができない状況を生み出すのではないかという懸念が生じます。あわせて、医療費適正化計画や地域医療構想について、やはり十分な議論と慎重な対応が必要ではないかというふうに考えています。
 最後にですが、三ページのところです。
 今回の法案は、保険者のみならず医療機関、地域住民までもが公的医療費抑制に駆り出されるような仕組みとなっているんですが、こういった内容はまだまだ知られていないというふうに思います。不信感ばかりが増幅されるのであれば、これほど不幸なことはないというふうに思います。政策への理解、参加、こういったものを想定するのであれば、信頼を得るためにも、そして、冒頭申し上げたように、皆保険体制の堅持という姿勢を貫徹するためにも、過剰な公的医療費抑制の展開とならないよう丁寧な説明と慎重な配慮が必要とされるというふうに思います。
 また、社会保険であり社会保障としての国保、先ほど申し上げた社会原理の部分ですね、保険原理を不当に強調することなく、社会保険であること、そして社会保障としての国保であるということを浸透を図っていただき、保険者、被保険者とともに地域の医療保障をつくる、そういう視点が求められているのではないかというふうに思います。
 以上で発言を終わります。ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 118914260X01420150522_009

発言者: 長友薫輝

speaker_id: 31843

日付: 2015-05-22

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会