関口達矢の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(関口達矢君) よろしくお願いいたします。全国コミュニティ・ユニオン連合会、通称全国ユニオンの事務局長をしております関口と申します。
本日は、このような発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。
私からは、今回の法案の反対という立場の下に、私どもの労働組合、ユニオンに寄せられている相談事例、あるいはNPO法人の派遣労働ネットワークが行った調査などを基に、現在派遣労働者が置かれている現状についてお話をさせていただきたいと思います。
私の方で用意させていただきました資料、一枚表紙をめくっていただきたいと思います。
これは、派遣労働者の労働契約期間と通算の就労期間について尋ねたものです。就労期間が一年未満という派遣労働者は二七%。その一方で、ほとんどが一年以上就労しています。三年以上という長期の勤続者も三割近くいます。しかし、その一方で、現在の労働契約期間を見ると、三か月から六か月未満というのが三〇%で最も多くなっています。実際に必要な期間よりも契約期間を短くする、いわゆる細切れ雇用が多くなっているということが分かると思います。
なぜ、仕事が長期間なのに契約期間は細切れ化するのか。これについては、更に一枚めくっていただきたいと思います。
派遣労働ネットワークの調査では、派遣で働いていて今後も契約が継続すると思っていたにもかかわらず、突然雇い止めをされたという経験がある派遣労働者が三一%というデータになっておりまして、その原因は派遣先にあると回答した回答が、こちらにあるとおり、七六%になっています。
この数字を見たときに、私は、以前、全国ユニオンに加盟する派遣ユニオンで交渉に参加した派遣先の担当者の言葉が思い浮かびました。この担当者は、その交渉の場で、なぜ派遣労働者を増やすのですかという質問に対して、派遣はいつでも切れるから増やすんだということをおっしゃったと言います。これは多くの派遣先の企業の本音であるというふうに解釈せざるを得ません。
その他のユニオンにも多くの相談が寄せられております。二ページめくっていただいて、相談事例、こちらは、私、日常的に仕事をしております東京ユニオンに寄せられた最近の相談事例を御紹介させていただきました。
①から⑤までは雇い止め、解雇の事例になります。解雇通告を忘れていたというような事例もあるほか、あるいはセクシュアルハラスメントやいわゆるマタニティーハラスメントに該当するような事例もあります。生理休暇、有給休暇など、法律で保障されているはずの権利を行使したことをきっかけにして仕事を失っているというようなケースも多数あります。まさに物扱いをされている現状が浮かび上がってくると思います。
さらに、労働者派遣法が強く疑われる事例もあります。この中の⑨ですね、これは事前面接が行われた事例です。
こちら、一ページめくっていただいて、本来であれば事前面接は法律で、派遣法で禁止されているはずなのですが、非常に多くの場合でこの事前面接が行われている実態にあります。
さらに、こちら、事例の中の④のように、紹介予定派遣の悪用というんですかね、脱法的に使っているというようなケースも相談の中にはありました。
しかも、事例の⑩、⑪で見られるように、いわゆるワーキングプアであり、さらに、こちら資料戻っていただいて、時給平均はダウンというような形で表題を付けさせていただいておりますが、平均時給は、私どもの派遣労働ネットワーク、NPO法人の派遣労働ネットワークの調査ではダウンをし続けているというような状況になっております。
もう少し詳細に事例を御紹介させていただきたいと思います。最後のページを御覧ください。
これは、ある四十代の派遣労働者がある集会の場で発言したときの内容の抜粋になります。正社員であったときに比べ賃金は下がり、交通費、ボーナス、退職金も支給されません。契約書では専門の二十六業務のOA機器操作とされていましたが、実際の業務は、確かにコンピューターは操作しますが、いわゆる専らコピペと言われるような作業と読み合わせの校正という形で、全く専門性はありませんでした。派遣先は、言わばこのような形で専門性を装うことで、原則一年、最長三年を超えて長期間にわたって派遣労働者を使用し続け、七年後に都合が悪くなった途端に職場から排除するということを行ったわけです。
実は、この間に、この七年間の間に適正化プランが実施されておりますが、この適正化プランを言わばごまかすために、仕事は全く変わっていないにもかかわらず、契約書などはその適正化プランに対応するような形で書き換えるというような、極めて脱法的、違法性の高いことをやっている、そのような相談の事例も私どものところには多く寄せられているところです。
ちなみに、この派遣労働者は東京ユニオンに加盟しまして、派遣先に対して団体交渉の申入れをしました。しかし、派遣先は、直接の雇主でないということを理由に、私ども労働組合が求めた団体交渉を拒否しました。残念ながら、多くの場合、派遣労働者を雇い入れることも排除することも派遣先が決めているにもかかわらず、派遣先に対する団体交渉権は極めて限定的にしか認められない傾向にあります。
このような現在の派遣制度は、多くの問題点と矛盾を抱えています。改正が必要であるということに異論はありません。しかし、今回提出されている改正案は、現状の問題点に応えていないだけでなく、むしろ問題点を助長し、増幅し、矛盾を拡大するものだというふうに言わざるを得ません。そもそも改正案では、常用代替を防止すると言いつつ、制度を分かりやすくするということで有期と無期で扱いを分けていますが、いずれも派遣先は期間の定めなく派遣労働者を受け入れることができる、使用することができるということで共通しています。
このように、期間の定めなく派遣労働者を受け入れることができることと、臨時、一時的ではなく、期間の定めもなく派遣労働者を受け入れることができること、常用代替を防止すること、この二つは相入れずに矛盾するものです。正社員から派遣労働者への置き換えがより促進されていく、その置き換えることに対する制限が全くなくなっていく、必然的に正社員がどんどん派遣労働者に置き換わっていってしまうということが懸念されます。
また、改正案では、濫用の歯止めとして三年ごとに派遣先の過半数労働組合又は過半数労働者の意見を聴くとしています。しかし、いつの時点でどのように意見を聴くのか、聴いた意見の結果、派遣労働者を始めとしてどのようにその職場の中で開示されていくのか、そういったことに対する不明な点が多く、非常に実効性に疑問が残ると言わざるを得ません。
一部では、労働契約法の五年を超えたときの無期転換権が発生するということをもって結果的に無期になるじゃないか、派遣元であるけれども、結果的に派遣労働者は無期になるんだから雇用の安定はするんじゃないかというような意見も聞かれるところではありますが、私ども全国ユニオンが厚生労働省と意見交換を行ったときに、この労働契約期間の無期転換権が発生するということを理由にして雇い止めを行った場合、それは労働契約法に違反するんだということの趣旨を明確にしてほしい、通達なりで明確にしてほしいということをこの意見交換会のときに厚生労働省に申入れをしたのですが、厚生労働省の担当者はできないというふうに回答しています。これは、無期転換権が発生すると面倒なので三年で雇い止めにしますと現在の派遣労働者が言われたとしても、それは違法にはならないと厚生労働省が言っているに等しいものです。これでは雇用の安定にはなりません。
また、改正案では、派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置として、派遣先への直接雇用の依頼、あるいは新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用などを挙げています。しかし、派遣先への依頼ということでは極めて弱く、私どもの相談の中では、派遣先が派遣労働者を直接雇用したいということで申入れをしたら高額な紹介手数料を取られて、結局その派遣先に雇用されるという話自体がなくなってしまったというような事例も相談の中では寄せられています。
さらには、こちら参考資料の中にもありましたが、派遣労働者を正社員にするという制度があるという派遣先は一三・〇%、さらに、実際に派遣労働者を正社員にしたというのは一・三%しかありません。
ちなみに、先ほど紹介しました三か月の契約を更新し続けて七年間働き続けて雇い止めになった派遣労働者に対しても、派遣先は新たな就業の機会を確保しております。紹介はしました。しかし、紹介されたのは倉庫内でのピッキングですとかこん包などのいわゆる力仕事がメーンになるような仕事でした。彼女は事務で三か月の契約を更新して七年間働いていたにもかかわらず、このような仕事を紹介しているわけです。
今回の改正案では、このような言わば適性やキャリアを無視した派遣先の提供についてどう判断されるかということが全く分からず、歯止めになりません。
また、改正案では派遣元での無期雇用も挙げています。しかし、先ほど来の資料でも御紹介されております、参考資料の中の三百二十四ページから三百二十五ページでも紹介されておりましたが、リーマン・ショック後の稼働者数は特定派遣労働者でも多く減少しており、派遣元での雇用の無期化はそのまま雇用の安定につながるという保障は全くないと言わざるを得ません。参考の資料の三百五十二ページ以降でも御紹介をされておりますが、七割の派遣労働者が雇用の不安を抱えていて、また、三百五十四ページの中では、八割以上の派遣労働者が正社員で働くことを希望しております。にもかかわらず、皆さん派遣で働いている。これは言わば多様な働き方ではなくて、多様な働かせ方になっているとしか考えられません。
残念ながら、今回の改正案は、こうした派遣労働者の声に応えていないだけではなくて、現在の様々な問題点を放置し、さらには増幅し、増加させていく、新たな問題を更に生み出す可能性すらあるというふうに考えています。さらに、派遣労働者の排除を決めたはずの派遣先に対して、本来憲法で保障されているはずの団体交渉権すら極めて制限されている、この状況については全く放置されたままです。
残念ながら、今回の改正案は、派遣労働者を無視して、派遣元と派遣先のためだけに改正しよう、変えようとしているとしか考えられません。真の意味での派遣労働者のための改正を実現していただくことを切にお願いしまして、私のお話は終了させていただきます。
どうもありがとうございます。