湯崎英彦の発言 (国の統治機構に関する調査会)

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○参考人(湯崎英彦君) それでは、失礼をして御説明をさせていただきたいと思います。
 改めまして、広島県知事の湯崎でございます。よろしくお願いをいたします。
 私どもといたしましても、本日、参議院のこの調査会におきまして私どもの考えを述べさせていただく機会をいただきましたことに御礼を申し上げたいというふうに思います。
 と申しますのも、私ども、今日御説明させていただく内容でございますけれども、地方分権型の道州制というのを県として推進をしておりまして、これがなかなか議論が進んでいかないということがございます。我々の意見を直接国会の先生方に御説明をさせていただく機会というのもなかなか少ないものですから、非常に貴重な機会だというふうに認識をしております。
 それでは、早速御説明をさせていただきますけれども、お手元、お配りさせていただいております資料を開けていただきまして、大きく現状の課題、それから解決に向けた方向性、そして広島県として考えておる地方分権型道州制についての基本的な考え方を御説明させていただきます。
 まず、課題ということでございますが、一ページにございますような、これはもう皆様御承知のとおりでございます。人口減少あるいは東京圏への人口の集中といったようなこと、これが国の統治の在り方を考える上でも多く影響していると思っております。
 そして、国と地方の役割分担の最適化ということを改めて考えるべきではないかというふうに思っております。二ページの方になりますけれども、一つは、一番上の四角にございますように、地方行政にも国は現状非常に大きく関与をしている状況でありまして、国の役割が膨大であるというふうに感じております。そういう意味で、国が本来取り組むべき課題への集中的な対応が困難になっているのではないかという問題意識がございます。一方で、私ども地方としては、創意工夫をしながら独自性を発揮しなければならないということは重々分かっておるわけでありますが、そのための権限や財源に極めて乏しいという状況でございます。
 また、国の財政上の課題ということもあるというふうに認識をしておりまして、この地方予算に関与しているということを含めまして、国が多額の予算を管理しております。そういう意味で、マネジメント面で大きな課題があるのではないかというふうに認識をしております。国の予算総額、御承知のとおり、一般会計で、平成二十七年度九十六兆円でございますけれども、これはもちろん各省がやっておるわけですが、予算を取りまとめる財務省においては主計局が主にやっておりますが、これは大体百人規模のチームでやっておられます。この百人で、一般会計だけでもこの百兆円という規模は非常に大きいのではないかというふうに考えております。
 ページを開けていただきまして三ページでございますが、地方における財政上の課題とございますが、その次の四ページの円グラフを御覧いただきますと、予算面から我々がどういうふうになっているかということですが、この赤くぐるっと矢印で囲んでありますように、これ広島県の例で見ますと、一般財源ベースで平成二十六年度歳出六千八百六十一億円ございますが、そのうちの八六%が国の法令等の関与がある経費でございます。この右の方に人件費がありますが、法令等により配置基準が定められた人件費、教職員あるいは警察官、それから、左の方にありますが、福祉関係費、あるいは税の交付金、その他法令等により義務付けられた経費が非常に大きくございます。
 私どもが自由になる経費というのが右下の方にある地方の政策的経費でありますが、これが人件費とそれから政策的経費、合わせて一千億円程度しかないということでございまして、広島県の一般会計は約一兆円弱でございますが、そのうち本当の意味で自由になるのはこれぐらいしかないと。しかも、その政策的経費、八百三十億円ありますが、そのうち私学振興費が百五十億円、公共事業費が百五十億円ということで、これは大きくまた変更するというのは困難な事実上の状況もございまして、そういう意味で、本当に自由になるお金というのが非常に少ないと。
 これが、別途、事前にお届けさせていただきました一割自治という紙をお配りしておりますけれども、その一割自治という意味であります。財源から見たら、我々が自由になる、本当の意味で自治ができるというのはこの一割しかないと。この中で、例えば子育てであるとか様々な施策を実行しているということであります。
 それでは、解決に向けた方向性ということで考えておることでありますが、五ページを開けていただきまして、大きくやはり重要なのは、真の地方創生の実現に向けた新しい成長モデルをつくっていくべきではないかということで、そのためには多様性が必要なのではないかと。それから、一番上の四角にございますが、この今の東京一極集中で経済活動が非常に集中しているわけですが、そういったことのリスク分散、災害などのリスク分散が必要なのではないかということ。そういった経済機能、あるいはこの権限、財源を分散することによって、多様性を生み出して更なる活力と競争力をつくっていくべきではないかというふうに考えております。そのために、国と地方の役割分担を抜本的に見直して、国としては本来取り組むべき課題への集中的な対応を行い、地方がまさに自らの発想と創意工夫によって魅力ある地域づくりに効果的に取り組むことができるような体制を取るべきではないかと。それから、国の予算も管理可能な規模に適正化をすることによって、財政再建にも資するのではないかというふうに考えております。
 そういったことから、私ども地方分権型道州制というのを進めるべきだという考えを取っておるわけでありますが、七ページ、八ページを御覧いただきまして、それでは、分権型道州制として我々が考えているものはどういうものかということでありますが、まず目的としては、よく道州制であるとか地方の制度について、地方をどうするかという観点から議論されることが多いと思っておりますが、私どもとしては、これは地方の問題だけではなくて国全体の活力と競争力を生み出す、そのために道州制というものを導入するということではないかというふうに考えております。そして、この役割分担を見直すことによって、国と地方双方の行政の機能を強化をして、住民に対する、国民に対するサービスを向上するということを目的とするべきではないかというふうに考えております。
 まためくっていただきまして、九ページ、十ページですが、それでは道州制の効果としてどういうものを狙っていくかということでありますが、まず国が本来取り組むべき国でしか取り組むことができない課題、外交であるとか防衛、あるいはマクロ経済、年金、大規模災害への対応等々ですが、こういったものに集中的に対応できるようにするということ。そして、地方ではそれぞれの地域の実情やニーズに的確に応えることができる、それによって住民サービスを向上するということ。それから、先ほども少し触れましたように、国と地方の財政支出を適正化をしていくということ。それから、大規模災害時のリスクを分散していくといったような効果を期待しております。
 またおめくりいただきまして、十一、十二になりますが、それではどういう役割分担があるべきなのかということで、これは今のところから導き出されるわけですが、国と地方の役割分担を抜本的に見直して、国は国が最低限担うべき役割を担うと。逆に言うと、それ以外は住民に身近な地方が担うべきではないかということ。そして、その運営に当たっては、地方が多様性であるとか独自性を発揮し得る自立した行政の権限を持つということにするべきではないかというふうに考えております。
 十三ページ、十四ページは、これは若干参考までに、現在の国と都道府県、市町村の役割から新たな道州制でどういう役割分担にすべきかという表でありますが、これは私どもが試作をしたものでありますので、また後ほど御覧いただければというふうに思います。
 そして、十五ページ、十六ページになりますが、税財源の移譲と権限強化ということで、まず税制についても、やはり抜本的に見直すということで、国と地方の役割に見合った財源を確保できるように財源を最適配分するべきではないかというふうに考えております。よく言われる三割自治というのが地方税が三五%あるということでありますが、実際の業務に見合った税源を地方が確実に的確に持つ、それをどう使うかというのは地方に任せるといったようなことが必要ではないかということであります。
 それからもう一点が、地方が多様性や独自性を発揮するために、地方の、ここは自治立法権というふうに書いておりまして、これはいろいろお感じになられる向きもあるかもしれませんけれども、いずれにしても、条例において定められることができる範囲を大幅に拡大をすると。そして課税自主権、どういったものに課税をするかといったことについても拡大強化を図るべきではないかということであります。
 こういったことを目指した地方分権型道州制ということを導入することによりまして、多様性、今我々もイノベーションというものをいかに進めるかということを地方でも取り組んでおりますし、国においても、いわゆる今の国の政策である第三の矢という部分、これはイノベーションと大きく関わるところでありますが、イノベーションを生んでいくためには多様性が必要であるということは、これは様々な研究の結果、かなり確立した見解ではないかというふうに思いますが、現状は非常に画一、多様性のない社会に日本はなっているんではないかと。それが日本の特に経済力、産業力の停滞の原因の一つではないかというのが認識としてございまして、そこを抜本的に打開していくために国の中に多様性を生んでいく、そのためにこの道州制というものも大いに役に立つのではないかというような認識でございます。
 私からの発表は以上でございます。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 湯崎英彦

speaker_id: 29022

日付: 2015-04-15

院: 参議院

会議名: 国の統治機構に関する調査会