秋月謙吾の発言 (国の統治機構に関する調査会)
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○参考人(秋月謙吾君) もちろん、先ほど神野参考人がおっしゃったような規模のメリットが働くようなポイントというものが具体的に現れている例というのは個々に散見されるわけです。
私の知り合いが市長をしております滋賀県の湖南市というところは、甲西町の町長の方がそのまま合併後の湖南市に当選されたんですけれども、隣の石部町というところと合併したんですね。この二つの小さな自治体が合併したことによって様々な経済効果が生まれているということが実感で、当然のことですけれども、甲西町の町長の時代はその方は合併には比較的ネガティブだったんですけれども、それでも、まあやってみればよかったねと。それは、具体的に言いますと、例えばお寺が三つ有名なのがあるんですけれども、ばらばらでございまして、それを湖南三山というふうにして宣伝して、JRとタイアップをして観光バスをやったら結構お客が来たというようなことがあったんです。小さな点ですけど、そのようなことはあると思います。
ただ、マクロでいうと、じゃ、その平成の大合併というものが日本の自治体ないしは地方自治にとってプラスだったのかマイナスだったのか、行財政効果においてどうだったのかということを言いますと、はっきり言って分かりません。もう少し時間が掛かるんだろうというふうに思います。
ただ、それではお答えになりませんので、研究者がこの平成の大合併をどういうふうに見たかという一例をちょっとお話ししたいと思うんですけれども、もちろん諸外国の中でも、例えば国が全面的に法改正をして自治体を再編するというようなことは時々あるんですけれども、日本のように、お見合いのように自主的にというか自律的に合併する例というのは比較的には珍しいんです。
アメリカ人なんかに聞いても、何で合併するの、こういうことはあり得るのと。つまり、議員さんなんかの場合には多少特例制度とか延長制度とかありましたけど、市長は一人ですからね。ですから、さいたま市でしたっけ、ガチンコで何か選挙をやっていましたよね。あんなの、要するにポスト減るわけですから、三人町村長がいたのが一人の市長でしょう、そんなこと何で同意するのよという、そういうことをよく聞かれるんですが、それは国の誘導、財政的な背景その他もろもろがあると思います。県の関与というのも多分あるでしょう。しかしながら、だからそういう意味ではなかなか説明は難しいんですけれども、そういう現象が日本では実際に起こったということが一点です。
それからもう一つは、皆さんも御記憶のように、もう平成の大合併なんかしゃらくせい、絶対俺たちは合併しないぞというふうに宣言して有名になった自治体がございましたですよね。それから、当時の田中知事でしたけど、長野県、これは田中知事のオリジナルということかどうかは分かりませんけれども、も合併には非常に反対でありました。実際に長野県ではほとんど合併は起こらなかったんですが、それは田中知事が反対していただけでは必ずしもなくて、要するに、長野県というところは御承知のように地理的に非常に狭隘で、というか谷や峠がいっぱいあって、それから自治体ごとに、例えば観光で食っているところ、林業で食っているところ、精密機械で食っているところともうばらばらでございまして、文字どおりスケールメリットが働くポイントがほとんどないと、そういう背景のときには要するに県も自治体も合併という選択はしなかったという、そういうことだろうと思っております。
そういう意味では、非常に、まあこれは行政学というよりは政治学的な見方で大変恐縮なんですけれども、日本の自治体、日本の地方自治にはそれなりのベースがあるなと。要するに、国が幾ら誘導してもしないというふうに決めて、メリットがないと判断したらしないんだという、そういうことだろうというふうに見ております。
以上でございます。