横山信一の発言 (国の統治機構に関する調査会)

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○横山信一君 公明党の横山信一です。
 この調査会を通じまして、私も私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、全体として、参考人の貴重な御意見を伺い、人口減少社会を見据えた地方分権の在り方として、連携の重要性を改めて第一に認識をいたしました。
 都道府県を中心に据えて市町村の連携の動きを指摘された毎日新聞論説委員の人羅参考人、地方分権型道州制を主張された広島県知事の湯崎参考人、都道府県を尊重しながら関西広域連合をモデルとして示された兵庫県知事の井戸参考人、統治機構の一元化や一部事務組合による対応など五類型の行政対応を示された中央大学の佐々木参考人など、地方分権を進めるには基礎自治体単独で考えるのではなく、連携の在り方に注目された意見が多く述べられたと思います。最後の意見陳述となった北海道ニセコ町の片山参考人も、町村間の事務補完の必要性を主張されておりました。
 地方自治体による公共サービスを維持する仕組みとして、連携は重要と思います。例えば、条件不利地域における垂直連携を考えてみます。これは、市町村と都道府県が連携、補完する仕組みであり、今後の連携の一つの在り方となります。しかし、このような連携の仕組みの構築には、現在の分権化の流れが逆転し、事実上の集権化とならないような留意も必要です。特に、都道府県が市町村を補完する場合、やはり事実上の力関係が生じてしまう可能性がありますので、従来弊害が指摘されてきた集権型や上下関係型とならないような注意が必要と考えます。
 さらに、連携の重要性の要素として、私は災害対応を挙げておきたいと思います。このことは、兵庫県知事の井戸参考人も、関西広域連合の設立趣旨の一つとして南海トラフ大地震への対応という共通課題を述べていました。
 今後確実に発生することが予測されている南海トラフ大地震への備えとして、医療と消防の連携は、東日本大震災の教訓からいっても自治体に全てを委ねられるべきものではないと思います。現在、各地の消防本部の広域化が進められていますが、行政事務の一部連携だけではなく、広域災害を共通課題とした自治体間の水平連携と都道府県との垂直連携が必要と思います。また、災害対応を共通課題とすることで連携に対する取組が進むということも考えられます。
 次に、地方分権を進める上で最も困難で、十分な進展が見られないものに財源問題があると思います。四回の意見陳述のいずれのテーマにおいてもその難しさが指摘されていました。毎日新聞論説委員の人羅参考人からは、税源移譲が進むほど地方自治体間の税収格差が拡大し、バランスを逸してしまうとの問題提起がありました。広島県知事の湯崎参考人からは、地方の歳出総額の大部分は国の関与する義務的経費が占めており、地方の政策的経費に使えるのは一割程度という一割自治の問題が指摘されました。また、東京大学名誉教授の神野参考人は、国民がゆとりと豊かさを実感できない主因の一つは地方自治体の財源不足による高齢者福祉サービスなどのサービス給付の低いことにあり、財源面での改革が進まないのは国、地方の租税負担が上がっていないからという指摘もありました。国立社会保障・人口問題研究所の森田参考人は、国と地方の財政状況の悪化と人口減少の進行について述べられました。
 総じて、財源問題を取り上げるならば、国民に対する租税負担の議論が必要というふうに考えております。
 次に、権限移譲に際して国の果たすべき役割の重要性についてです。
 地方分権を進めていく際、国から地方への権限移譲の問題があります。これは、地方への権限移譲を進めていくことを基本に、国が最終的に果たすべき役割についても留意する必要があると思います。
 その具体例として、農地転用に関する権限移譲が挙げられます。これは従来からの地方側の要望が継続していたものでありました。また、分権改革、権限移譲において焦点の一つとなっていたものでもありました。
 地域における都市計画や町づくりを進める際、その自由度を高めるという観点では農地転用権限の移譲は必要かもしれません。しかし、我が国全体の視点として、食料自給の観点における農地の総量確保は、自治体の判断だけでは全体像が分かりづらいものがあると思います。そのため、自治体によっては農地の重要性よりも町づくりを優先してしまい、生産性も効率性も高い平地の優良農地を開発に供してしまう危険性があります。気が付くと我が国の農地が中山間地ばかりになってしまったとしたら、農業の成長産業化など望むべくもありません。また、良好な国土環境保全の機能を持たせる目的においても、やはり国全体として優良農地を確保することは重要であります。この点では、地方の政策と国の政策が言わば競合する側面とも言えます。
 本件に関しては、地方公共団体情報システム機構理事長の西尾参考人が、国と調整しながら農地確保についても自治体側も責任を負うと決着をさせることで長年の課題が大きく前進したと大変評価された点でもあり、今後も国、地方双方の丁寧な協議の積み重ねが必要と思います。
 次に、自治向上の具体策についてです。
 今後の基礎自治体の在り方に関して、住民自治がポイントとなりますが、住民の合意の下、住民の意思をどのように反映していくのかが重要と考えます。
 ニセコ町の片山参考人は、住民が自ら考え行動して町づくりを進めていく、その大前提として情報の共有化の重要性を指摘されました。ニセコ町では、その具体的取組として「もっと知りたいことしの仕事」という分かりやすい予算の説明書が作成され、全町民に配付されていることが述べられました。このようなプロセスを通じることが、結果として、必要な事項に優先度を考慮して税金を使うという質の高い自治につながっていくと考えられます。
 次に、格差対応とナショナルミニマムについてです。
 国と地方の問題を考えるに当たって、重要な論点の一つに格差問題への対応があると考えます。
 地方分権改革や権限の移譲が進展することで生じてしまう格差があります。また、自治体の判断で政策の優先度が決定できるようになると、結果的にサービスが低下するものが発生することもあります。さらに、地方の発展を促すためには、一定程度の自治体間競争の導入もこれからは取り得る選択肢であると考えます。
 いずれの場合においても、結果として格差が著しく拡大する状況が発生することは好ましくありません。その意味では、是正に向けた積極的な取組が求められます。
 具体例として、我が会派の秋野委員が調査会で取り上げましたが、社会保障サービスとして介護保険の水準が低下してしまうようなケース、あるいは離島の生徒が島外への高校進学に際して過剰な家計負担を強いられている例が挙げられます。これらのような、特に社会保障や教育という分野に関しては、最低水準をいわゆるナショナルミニマムとして国が保障すること、又は国による調整機能について考えること、こうした議論を深めることが必要だと考えております。
 最後になりますが、地方分権改革にしろ権限移譲にしろ、統治機構に関する全ての改革は、究極として国民、住民生活の向上が目的であり、見える形で成果の還元が求められるということを述べ、私の意見表明を終わります。

発言情報

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発言者: 横山信一

speaker_id: 21810

日付: 2015-05-20

院: 参議院

会議名: 国の統治機構に関する調査会