行田邦子の発言 (国の統治機構に関する調査会)
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○行田邦子君 日本を元気にする会・無所属会、行田邦子です。
国と地方の関係について、会派として取りまとめてはおりませんが、私なりの意見を述べさせていただきます。
先週、五月十三日の調査会において、国立社会保障・人口問題研究所の所長である森田参考人は、国の責任は個々の国民の生命、生活を守ることであり、それに必要なミニマムの行政サービスを的確に供給することと発言されました。これは、国にとどまらず、都道府県、市町村においてもその役割分担の中で果たすべき責任であると考えています。
そもそも、国の統治機構を考える際に、まず基本となるのはやはり基礎自治体としての市町村であります。市町村はコミュニティーによって支えられ、その地域の伝統文化を伝えています。また、地域の中で子供たちは成長し、社会規範や地域への帰属意識が育まれていきます。
それぞれの地域、地方が多様性、独自性を発揮することが我が国全体の活力を生み出す力となります。そのためにも、地域の安心、安全そして活力は、地域の、ひいては我が国全体の将来にとって必要不可欠なものです。
現在の我が国では、地域間格差、所得格差などの格差問題の解決が優先課題となっています。地方分権改革有識者会議の座長である東京大学名誉教授の神野参考人は、国と地方の役割分担が所得再分配機能に影響していると述べられ、OECD諸国との対比の中で所得再分配機能が弱いとされる我が国において、基礎自治体によるサービス給付、現物給付を強化することで再分配機能が向上し、格差の縮小に寄与するということを示されました。また、京都大学大学院法学研究科教授の秋月参考人からも、中長期的には国と地方の役割分担の中で所得再分配と福祉の機能は積極的に基礎自治体に任せる方向性が基本的に正しい議論ではないかとの意見がありました。
このような基礎自治体、市町村が、福祉、医療、介護、子育て支援など、住民のニーズに合ったきめ細かなサービス給付、現物給付を的確に行うことが所得格差を是正し、ひいては我が国の経済成長にも資すると考えますが、そのためには、基礎自治体がそれを実施することができる財政上の体力が必要となります。
しかし、現在の地方財政の状況を見ると、経済力の偏在により地方自治体間の財政格差が拡大しています。加えて、特に地方の農村部では急激な人口減少の進行と住民の高齢化が見られ、同時に社会保障関係の支出が増加する傾向にあります。これらを防ぎ、基礎自治体の財政上の体力を付けるために、財源移譲を行うと同時に、現状では地方交付税が役割を果たしている地方自治体間の財政格差を是正する財政調整制度の見直しが急務となります。
地方財政の是正に加え、都道府県、市町村への権限の移譲も重要となります。平成五年の国会決議により始まった第一次分権改革から二十年以上経過しましたが、国から地方への十分な権限が移譲されたとは言えません。神野参考人は、我が国の地方分権改革は、国が決定し地方が執行するという集権的分散システムを、地方が決定も執行も行う分権的分散システムに改めることだと述べられました。その観点からも、現在の地方には決定のための権限は移譲されておらず、参考人として出席していただいた三人の首長、関西広域連合長・兵庫県知事の井戸参考人や広島県知事の湯崎参考人、北海道ニセコ町長の片山参考人からは、企画事務や課税自主権、自治立法権などを含む更なる権限の移譲が必要であるとの発言がありました。課税自主権等を含むこれら地方への権限の移譲は重要であると考えます。
また、基礎自治体が効率的に適切な行政サービスを実施するためには合併や広域連合といった広域化という手段があり、これらは有効な手段と考えますが、国はこうした選択肢を法制度の整備により実施可能なものとする役割はありますが、自治体の広域化はあくまでも自治体が自ら選択するものであり、その判断は地域に委ねられるものであります。
次に、地域が主体となり自ら地域を運営する制度として地域主権型道州制があります。その基本理念は、個性豊かで活力に満ち、かつ安心して暮らすことのできる地域社会が形成され、及び地域経済が自律的に発展するとともに、行政、経済、文化等に関する機能が我が国の特定の地域に集中することなく配置されるようにし、併せて国が本来果たすべき役割を重点的に担うことができるようにするというものであります。これは、人口減少を踏まえた地域が主体となり、それぞれの地域を運営する多様で持続可能な国とする制度であると考えています。
しかしながら、道州制については様々な議論があり、また道州制という制度自体も様々に定義されています。道州制の議論を進めるに当たっては、形ありきの手続論を先行するのではなく、何のために、どういう権限や事務を移し、そして基礎自治体をどのようにするのかということをまず明らかにする必要があると考えています。
人口が増加に転じ、海外からの観光客が増えているニセコ町での情報公開、住民参加の重要性について、片山参考人からの意見陳述がありました。
国民が行政は自らのことと理解し参加する仕組みがこれからの統治機構には必要であり、そのためには、国会等における十分な議論と国民自身が考え判断するための材料となる情報を公開しなければならないと考えます。また、住民生活に重大な影響を与える案件や地域の将来に大きな変化を与える案件については、住民投票という形で直接住民の意思を問うことも住民自治の視点から意義があると考えています。
国と地方の関係について早急な検討を行うことが求められていますが、過度な単純化に走ることなく、国民の生命、生活を守ることを念頭に置き、国と地方の役割分担、そしてそのための制度についての議論を求めるものであります。
以上です。