河野博文の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(河野博文君) 河野でございます。よろしくお願いします。
 お手元に資料を配らせていただきましたので、基本的にはこれに沿ってお話をしたいと思いますけれども、まず、こういった貴重な機会を与えていただきましてありがとうございます。
 そして、私、その資料にありますように、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構という大変長い名前の組織でございまして、左側のローマ字にありますようにJOGMECという略称で、現在ではかなり国際的にも認知をされているかというふうに思います。
 私どもの組織は、二〇〇四年に石油公団と金属鉱業事業団という二つの組織が合体して新しく生まれた組織でございます。その後、さらに法律の改正が何度かありまして、地熱、それから石炭、こういった業務も加えていただきましたので、現在私どもがやっております仕事は、石油、天然ガス、それから金属鉱物、石炭、地熱、そして石油、LPG、金属の備蓄、そして金属鉱害と石炭鉱害の言わばある種の後始末のようなことを引き受けさせていただいているということでございます。
 資源開発に関しましては、リスクマネーを供給する、つまり出資をしたり債務保証をしたりするということで日本の企業をサポートすると同時に、日本の会社の方がなかなか行かれないアフリカのようなフロンティアには私ども自身が行きまして探査活動をするといったこともいたしております。
 それが私どものあらあらな自己紹介なんですけれども、今日はいただきましたテーマは金属鉱物ということですので、金属鉱物の現状と課題ということで簡単にお話をさせていただきたいと思います。
 まず、資料の第一ページを御覧いただきたいと思います。
 金属鉱物というのは非常に多種多様でございます。マーケットとして非常に大きなものは鉄鉱でございまして、世界で約三十兆円のマーケットでございます。このグラフの真ん中に、少し細かくて見えないものを更に拡大して書いてあります青い囲いの中のガリウムという鉱物がございますけれども、これは世界マーケットが一億ドル、百億円ですので、非常に大きな鉱物から小さなマーケットの鉱物まで何千倍、何千分の一という大きさがありまして、この大きさあるいはリスクの度合いによって担い手が随分違うということを申し上げさせていただきたいと思います。
 ここで示しましたグレーが言ってみればベースメタル、基礎となる金属鉱物、そして黄色が貴金属、緑がいわゆるレアメタル、そして赤がレアアースというような分類でございます。
 二ページを御覧いただきますと、こういった金属鉱物が例えば自動車でどのように使われているかということを簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 車の場合、まず液晶の画面がいろいろございますけれども、左側、ディスプレーと書いてありますところにインジウムというレアメタルが使われておりまして、これは液晶の中の透明な配線を構成する金属でございます。こういったものも使われておりますし、ごく僅かですけれども、これがないと液晶画面が映らないということになります。
 一つ飛んでいただきましてライト。先ほど、一番小さなマーケット、ガリウムと申し上げましたけれども、LEDにはガリウムが使われております。そして、最近ではハイブリッド、電気自動車ございますけれども、モーターの類いにはネオジウムというレアメタル、ディスプロシウムというレアアース、もちろん配線には銅と、こういった金属類が使われているということでございます。ネオジウムは磁石の性能を大幅に引き上げますし、ディスプロシウムというのはほんの僅かで磁石の耐熱性を非常に高めるという貴重なものでございます。
 右の方に行っていただきまして、ボディーの鉄鋼部材には様々な、ステンレス関係あるいは特殊鋼関係の鉄以外の金属鉱物が大量に使われているということでございます。
 右に上がっていただきますと、バッテリーで最近はリチウムが電気自動車、ハイブリッドカーに使われるようになってきております。
 更に上に行きますと、プラチナ、これは白金族ですけれども、排気ガスをきれいにするための触媒等々に使われているということでございます。
 このレアメタル、レアアースの類いは、実は一台の車にほんの僅かしか使われておりませんけど、非常に貴重なものだと申し上げておりますのは、例えば先ほど御紹介したディスプロシウムというモーターに使われるようなものは、一台当たり五十グラム、百グラムのオーダーでございますけど、これがないとモーターの性能が発揮できないということになりますし、リチウムも、電気自動車一台当たり、あらあら十二キロとか十キロとかそういうオーダーですけど、これがないと高性能の電気自動車にならないというようなことになるわけでございます。
 その上で、実は鉱物資源は非常に偏在しているということを三ページの世界地図で御覧いただきたいと思います。
 非常に偏在性の高いものとして、この地図の左側の端にありますPGM、これプラチナメタルグループでございますけれども、南アで九五%、そして、右の端に行っていただきましてピンクの柱、Li、リチウムですけれども、これはチリから五八%、そして中国に飛んでいただきまして、Wと書いてありますタングステンは世界の五五%、隣のレアアースは四〇%、こういった寡占状態にございますし、また、黄色の柱を見ていただきますと、カザフスタン、南アでクロムの四八%、四一%、この二か国でほとんどを占めていると、こういう偏在性のある資源だということでございます。
 我が国の輸入状況も、四ページにありますように、特定の国にかなり偏在しているということでございまして、もちろん、例えば豪州のように極めてオープンな国もありますけれども、それでは、レアアースの輸入相手国、一時問題になりました中国、今でも六割の依存度があるというようなことを考えますと、供給ソースを何とか多様化していきたいと願うわけですけれども、資源の偏在をどうやって乗り越えていくかという問題があるということを御理解いただきたいと思います。
 次に五ページですけれども、資源の消費量が飛躍的に伸びております。これが一時の価格高騰を招いているわけですけれども、やはり何といっても中国の消費量が飛躍的に増えてきたことがその背景にあるということでございまして、主要な資源について言うと、このグラフが示しますように、ほぼ中国が世界の中で半分ぐらいを消費して世界の工場になっていると、日本が大体五%ぐらいの消費だという構造になっております。
 こういうことを背景といたしまして、六ページを御覧いただきますと、資源価格は大きく変動をいたしております。潜在的には、世界の経済が豊かになるにつれて資源消費量は増えていきますので、やや右肩上がりの価格になるような構造だと思います。しかし、その過程で大きな変動があるわけでございまして、特に最近経験しておりますのは、サブプライムローンの金融危機、それに続くリーマン・ショック、これらで大きくマーケットが崩れまして、がっくりと下がった。しかし、その後、徐々に徐々にまた値段が回復して最近に至っておりますが、このところ、鉛、銅、亜鉛、ニッケル、御覧いただきますと、主として中国経済の減速を背景として値段がやや下がっているという状況にございます。
 次の七ページを御覧いただきますと、日本は、先ほど申しましたように、世界の金属資源の五%ぐらいを大体使っている国でありますけれども、しかし、ハイテク産業は日本の言わばお家芸でございますので、特別なものについては非常に高い消費の割合を持っているということでございまして、先ほど御紹介しましたインジウムのようなものは、液晶の透明配線の材料ですけれども、液晶それ自身は今や中国、台湾でかなり作られているわけですけれども、その配線のための合金は日本で作られて輸出されているということで、インジウムの消費量は世界の七六%を占めるということになります。ガリウムのLED、最近有名な青色LEDなどの原料も五割程度日本が消費しているというようなことで、御覧いただきますように、平均的な五%に比べてかなり高い消費割合を日本が占めておりますのはハイテク関連だというふうに御覧いただきたいと思います。
 八ページを御覧いただきますと、日本には、先ほどのお話にもありましたが、非鉄金属を中心とした製錬所がまだまだたくさんございます。古いものは、内陸地帯にありますのは元々の鉱山の山元に造られたものでございますけれども、新しいものは臨海部で海外から鉱石を輸入して製錬するということで成り立っている事業でございます。
 先ほどのお話もありましたが、これらの製錬所は非常に電力多消費でございまして、最近、私どもがこういった企業の経営者の方にお目にかかりますと、やはり電気料金の問題で何とかしてほしいという強い要望がございます。
 また、都市鉱山というお話、後で出るかもしれませんけれども、日本にはこれまで使ってきた金属鉱物を製品化したものがたくさん眠っているわけでございまして、これを都市鉱山というふうに呼んで、リサイクルをして金あるいは貴金属、レアメタルを取り出すという活動が盛んに行われておりますけれども、こういった製錬所はそれの拠点になっているということでございます。
 九ページを御覧いただきますと、実は今日、私は、資源に関しては、安定供給を確保するためにも、また経済性を確保するためにも、山元、鉱山権益の確保が非常に重要だということを一つ申し上げたいと思って参りました。
 日本の製錬所は、今までは鉱石の買手として、大量に買ってあげるので安く安定的に売ってくださいねという商売をしてまいりました。しかし、中国の成長に伴う価格の高騰の中で、山元の力が非常に強くなりまして、製錬所のもうけが非常に薄いという現状にあります。この九ページの左側のグラフはそれを示しているわけですけれども、また、右側の折れ線グラフ見ていただくと、青い部分はLMEというロンドンのメタル取引所の価格、これが製品の出口、値段は決まっています。その何割を山元の人が取り、何割を、何%を製錬所が利益として確保し得るかというのがこの色分けなんですけれども、製錬所が取れる割合は極めて薄いものになっております。したがって、今や日本の製錬所を経営する企業者は、海外に行って鉱山権益を確保して安い鉱石を自分で持ってくるという努力をしないと経営自身が非常に苦しいという状況になっております。
 十ページはそういった資源開発のことを非常に簡単に模式化したものでございますけれども、もちろん資源開発には非常に長期間を要します。何十年掛かりの作業でございます。生産期間が二十年、三十年というのは当たり前でございますが、しかし、それにも増して、それに先立つ非常にあらあらの探査、そしてどれぐらいの鉱石が本当に掘り出せるだろうかという探査活動、FSと呼んでおりますけれども、そのために十年程度掛かります。この期間のコストはそれほど物すごく大きな規模ではありませんが、これを掛けることによってその後の商業生産がどれぐらい採算に乗るかということを見極めるということでございまして、採算に乗ると見極めた後では数千億円掛けて鉱山開発が行われるという状況にあります。後ほど御紹介するカセロネスというチリの日本一〇〇%の鉱山は、もう数千億円規模の事業でございます。
 十一ページをちょっと飛ばさせていただきまして、十二ページを御覧いただきたいと思います。
 先ほど申し上げたような動きですので、チリでついに日本資本一〇〇%の銅鉱山の生産が昨年から始まっております。安倍首相も開山式においでになって、昨年の七月に大きなパーティーがありました。現在、なかなか産みの苦しみで初期生産を上げるための苦労をしておりますけれども、これなどは日本の資本が海外で自主開発をやった典型的な例だというふうに御紹介できると思います。これについても、JBIC、それから私ども、それからNEXI、貿易保険、みんなが協力して資金的なサポートをいたしております。
 十三ページを御覧いただきますと、これはリチウムの例でございまして、先ほどチリからほとんどのリチウムを輸入していると申しましたけれども、これからはアルゼンチンからも入ってまいります。これも、日本の企業がかなりのパーセンテージで参画したアルゼンチンのオラロスという塩の湖からリチウムを取り出す事業でございまして、これについても昨年から生産が始まっておりまして、今いろんな不具合を調整しておりますが、今年のしかるべきタイミングから本格生産に入れるだろうというふうに思っております。ここでの生産量が大体一万七千トンぐらい取れるのではないかともくろんでおりますが、日本の現在の消費量が一万五千トンですから、全部日本に持ってくるわけではないんですけれども、日本の消費量を賄うぐらいの事業になっております。
 これについても、私どもは債務保証をさせていただいて、最初の段階からお手伝いをしておりますが、こういったことを支援するのが私どもの仕事だということでございます。
 十四ページを御覧いただきたいんですけれども、右側の分かりにくい写真、これは私どもJOGMECが持っております衛星情報を特殊処理して画像化するという技術でございまして、これである程度鉱物の賦存状態を把握することができる、したがって探査活動をやるときに絞り込みができるという技術でございます。これらを駆使してチリでフロンテラというかなり大きな鉱山を見付けることができまして、これはカナダの企業との合弁ですけれども、それを日本の企業に権益として引き継ぐことができましたので、いずれこれが日の丸鉱山になっていくだろうと期待をしております。
 同様に、十五ページを御覧いただきますと、日本の資源会社は実はかつてアフリカでちょっと痛い目に遭って撤退した経験があります。なかなかアフリカに出ていくのに慎重でございますけれども、そういったときに私どもが出ていこうということで、南アフリカで白金族の探査をやっておりまして、これも金属量で六百九十三トンというかなり大きな埋蔵量のものを見付けておりまして、これも近い将来日本の企業に権益として譲り渡していきたいというふうに計画をいたしております。
 それ以外にもいろんな私どもの関係の事業がありますが、一つは鉱害、海外で鉱山を安定的に経営していくためには、日本がかつて経験したような鉱害問題をどうしたら今から未然に防げるかということは非常に大きな使命でございまして、私どもは、ペルーから強い依頼がありまして今専門家を派遣しております。同様のことを、私どもが訪問しますとアジアの国もアフリカの国も是非教えてくれということですので、日本の国内の環境を守るための活動は今国際的に非常に価値ある活動と評価されるようになっているということを一つ申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、先ほどちょっと触れました写真の件ですけれども、ボツワナに、特にSADCという南部アフリカ諸国の連合の事務局のある国がございます。かつて信用度が日本の国債と一緒だとか言われて問題になったというか議論になった国でございますが、非常にいい環境の国でございますけれども、そこでこのリモートセンシング、つまり人工衛星から得られた画像情報を処理して、こういうところに鉱脈がありそうだということを分析する、この技術を今アフリカ諸国のエンジニアに教えておりまして、既に何百人育てております。これは、資源などで非常に進出著しい某国の活動に比べますと、お金ではなくて技術を教えるということで大変喜んでいただいているということを申し上げたいと思います。
 お時間もありませんので駆け足になりますが、十七ページは、じゃ日本に資源はないのかということでございます。
 実は、日本の近海、あるいは日本からちょっと離れている公海上に海底資源がございます。この中で、特に日本のEEZの中で、左側にあります海底熱水鉱床というものを幾つか発見をしております。十八ページの地図にありますように、沖縄の近傍にかなり大きな鉱脈を幾つか発見しております。私どもだけではありませんで、海上保安庁の協力を得て発見したものもございます。また、小笠原近辺にも、これほど大きくはありませんが、海底熱水鉱床の鉱山があるというふうに思われておりますし、十七ページの上のコバルトリッチクラストというのは、これは、公海上で私どもが世界海底機構から世界で初めて独占的な探査権を、鉱区を得た地域があるということでございます。
 これは、十九ページにありますような、こういった船を浮かべ、そこから機械を下ろし、それからパイプを下ろし、下で掘削した鉱石を上に揚げてくるということを実用化することによって将来可能になるわけでございますけど、まだ時間の掛かる話でございます。
 私は、鉱物資源ということで今日は触れないでおこうかと思いましたけれども、もし御関心があるといけませんので、二十ページにもう一つの国内資源、メタンハイドレートについて簡単な資料を添えさせていただきました。
 二十ページの地図の右下にございますように、愛知県と三重県の沖合の第二渥美海丘というところで、一昨年、メタンハイドレートの世界で初めての洋上生産実験をいたしまして、まだ商業化するには一本の井戸から出る量が少ないんですけれども、六日間の連続生産成功いたしましたので、この技術を更に高めていって将来国産エネルギーにしたいと。埋蔵量的には、この地域だけで、割と濃い部分で日本の消費量の七年分ぐらいはあるだろうというふうに見ておりますので、日本全国をくまなく探査していけばかなりの埋蔵量が期待できるのではないかというふうに期待をしております。
 今日、私はこうした事実を皆さんにお伝えすることを使命とさせていただきましたけれども、資源は安定供給を図る必要がある、そのためには供給源の多様化を図る必要がある。同時に、今や資源は山元が利益を生む、高いお金を払って輸入しなければならない。しかし、そのプロジェクトに最初から投資をしていれば、そのプロジェクトがうまくいったときに配当という形で利益を言わば取り戻すことができる、還元、還流させることができる。そういう意味で、権益の確保というのは重要な役割を持つものだというふうに思いますし、何といっても、初期からやる、一番早いステージの探鉱活動からやることが利益を生む源泉になるので、もちろん技術が要りますけれども、そういった努力が必要であるということ。
 そして、最近、商社の皆さんでも資源で減損を出したり、あるいは一昨年辺りは非常に最高益を記録したりしておりますけれども、実はそういったプロジェクトを始めたときの方はもうその会社には多分おられないというケースがたくさんある。それほど、先ほど申し上げたように、資源のビジネスは長期間を要しますので、この資源政策の成否は時間を掛けて是非御評価いただきたいということを申し上げたいと思います。
 今日はありがとうございました。

発言情報

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発言者: 河野博文

speaker_id: 16434

日付: 2015-04-15

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会