高橋和夫の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(高橋和夫君) 御意見ありがとうございます。御質問ありがとうございます。
私も、やはりテロを特定の宗教と結び付けて語るということが誤解の根源だと思います。アメリカで例えば銃の乱射事件があったとしても、普通はキリスト教テロリストによる銃の乱射事件とは報道されないんですけれど、ただ単に精神的に問題のある人物が銃を乱射したというふうに報道されるんですけれど、これがイスラム教徒が関わりますと、必ずイスラム急進派によるテロというような非常に偏った報道がなされ、これがやはり我々のテロ問題の理解を難しくしているというふうに、全く同感でございます。
この括弧付きのイスラム国、IS問題、短期的には軍事力で抑え込むという面がやむを得ないんですけど、中期的にあるいは長期的にどうするのかという点でございますけれど、このISの台頭の背景にあるのがイラクの混乱、シリアの内戦という理解に立ちますと、イラクの混乱をどうやって収めるかということで、もちろん問題はイラクの人口の二割程度を占めるスンニ派地域の混乱が主にありまして、スンニ派の人々の、自分たちの利害が必ずしもイラクの政治に反映されていないというところにあるわけで、中期的な問題としては、イスラム国を倒した後、いかにしてこのスンニ派の人々が、自分たちの気持ちが反映された政治であるかということを納得していただくかということにありますから、スンニ派の住民をいかに政治に巻き込んでいくかという、彼らの利害をどうやってイラクの政治に反映させていくかということに尽きるかと思います。
さて、さらに長期的な問題になるんですけれど、日本がイラクに対してどういう関係を持ち得るのかということになりますけれど、日本は、サダム・フセインの時代、イラクの経済建設に非常に大きな役割を果たしておりまして、スンニ派の人々と決して悪い関係ではないわけです。それから、クルドの方々も大変親日的な感情を持っておられますので、そういう意味では、日本が対話を促すという役割を果たすことは十分に可能かと思います。日本外交がそういう話合いの場を提供するということは、それが直接イラクの平和をもたらすということではなくて、環境づくりに関しては役割を果たせるのではないかと思います。
例えばパレスチナ問題でありますけれど、もちろん日本の動きによってパレスチナ和平というのが実現されたということではないんですけれど、現在、イスラエル側、そしてパレスチナ側の代表者を呼んで日本で非公式な会議を行うという作業はずっと続けられていまして、これが双方の理解の促進に一役買っているということもありますので、そうした役割を日本が果たすということは十分にあるかと思います。
また、シリアの将来に関しましても、シリアのアサド政権と日本が何ら敵対する理由はございませんし、また、反アサド勢力にしても日本に対して特別な悪意を持った人々というのがそんなにいるとは思えませんので、難民支援、難民の受入れ等の平和的な手段によって、将来シリアの人々が、それを望むというのが前提になりますけれど、対話を望むのであれば、日本がそうした場所を提供する、フォーラムを提供するというようなことは十分あり得るんではないかと思います。
やはり、御指摘のように、国連の枠組みで動くということが平和のために重要でありまして、国連の枠組みを外してしまっては、例えばロシア、中国の協力が得なければ全く和平への動きというものは期待できないわけですので、あくまで国連の枠組みを尊重しつつという日本が伝統的に大事にしてきた価値観を守っていくことに、長い目で見ると、イラクにおいてもシリアにおいても日本が平和のために貢献する道筋ではないかと私は考えています。