金子勝の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(金子勝君) リアルな現実政治としての認識としては、明らかに、アジア全体として、成長している、昔は東南アジアと言っていましたけど、アジアを中国が取り込むのかアメリカが取り込むのかでせめぎ合いが起きているというのはリアルな認識だと思うんです。
それがなぜ激しいかということの歴史認識は、大恐慌以来の百年に一度の経済危機で、今アメリカが金融緩和の縮小をしたことによって、中国、ブラジル、アルゼンチン、インドは若干持ち直していますけど、それからオイルがそれでおっこってロシアが駄目になってEUもデフレに入りかけたりしているという、すごい長い停滞の時期に入っているという中で、世界中の中央銀行が政策金利がゼロでじゃぶじゃぶに金融緩和しているという、まさに異常な歴史的な転換期の中で勢力争いが起きている。戦前はこれはブロック経済でしたけど。そういうリアルな認識はやはり持つ必要があると。
その上で、日本はどっちに付いていくかという発想を取らないことが戦前の教訓を踏まえることだと。そうすると、自国が主導して道義的な主張、例えば安全や環境のルールについても、もし交渉で加わるんであれば、道義的に自分たちの正義をむしろ堂々と主張しているように見えないことが問題なんだと思うんです。TPP以外に、もう今の状況じゃ考えにくいですけど、日米FTAだって選択肢ではあり得たわけですよね。そうすれば一割ぐらいのゆとりがあったわけですよね。そういう幾つかの選択肢を自ら摘んでしまっているのは、日本の自立した判断と道義的な正義を主張していないからだというふうに私は思っているんです。
もう一つは、ISDSを防ぐ手段というときに、現状で最低限考えられるのは、過去、北米自由貿易協定、つまり適用される国が法整備が整った国にも行われるようになるのであれば、裁判制度がアメリカ国内で裁判手続が行われて、相手の国を企業が訴えて相手の国の制度やルールを変えるというのは、明らかに一つの国が別の国の主権を侵していることになります。
もし、そういうISDSに関して調停のルールを作るのであれば、フェアに、アメリカ国内ではなく第三国、あるいはアメリカ国内にあっても運営する主体が、きちんと全ての主体がコミットし、フェアな人選とフェアな透明な運営ルールというのが最低限確保され、そして裁判手続に至らない場合でも紛争処理機関が、手続がしっかり形成されるべきだと思うんですよね。ところが、そういう機関の形成がないまま強行するということは、事実上アメリカのルールを押し付けるのと同じことが起きるというふうに判断して間違いないと思います。
もし、日本の政府が正当に自分の自主的な判断と主権を持っているならば、フェアなISDS条項を実行するに当たって、全ての国が納得するフェアな国際的な処理機関をつくるべきであると、このTPPに関して。そういう人選や制度やルールについてきちんと話し合ったという形跡が見られないのと、国際的に自らそういう主張をしていないので、私は懸念が現実化するというふうに考えております。