金子勝の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(金子勝君) ちょっと具体的な会社名は忘れちゃったんですけれども、アメリカのある州の、多分、内田さんの方が詳しいと思うんですけれども、廃棄物というか汚染物の処理で、カナダ国内でやったんですけれども、それがカナダ国内の基準に反しているというので、それを持ち出す際にカナダ政府が差し止めたんですね。それで訴えられて損害賠償を引き起こされて、カナダ政府の環境基準も下げられてしまうと。
内田さんが挙げられている事例は、アメリカのメタルクラッド社ですか、これがメキシコで廃棄物処理施設の建設認可を受けたんですけれども、これが健康被害が出るというので差し止めたら、今度は逆に訴えられて賠償を取られるという事例とか、およそそういう事例が多く出ていまして、環境基準とか安全基準をめぐるトラブルが北米自由貿易協定の場合には頻発して、それが訴えられ、損害賠償になると。
そういう事例に将来も限られない可能性もあり得るので、現状で起きている事例は、そういう事例が幾つかもう既に出てきているんですけれども、それが極めて重要だと思うのは、日本の場合には、先ほど申し上げたように、環境や安全というのが日本の製造業、工業、農業の競争力の多分源泉になっていくんだと思うんです。特に自動車、それから農業その他の分野はそうだと思うんですよね。そこのところが揺らいでしまうというのはまず問題だし、さらに、アメリカ国内で起きているようなトラブルが相手国に出たとき、これから似たような損害賠償を求めてくるような事例が発生しないとも限らない。それは我々が将来起こる可能性として考えなきゃいけない分野であって、現状では環境や安全を中心にしてそういう損害賠償や制度やルールの引下げというのが起きていますと。
アメリカは、特に自動車で部品に関して安全基準を下ろすように要求してきているのは、日本の製品が安全とか燃費の効率とかいう点で圧倒的な優位にあるからなんですね。それは我々がよく見ておかなければいけない事例で、なかなか触れない。例えば、アメリカ企業が来て、それを何か禁止したり何かの処置をとったら、訴えるぞになるわけですよね。それを日本の国内で裁判ができない、アメリカ国内で裁判で決着付いてしまうということが起こり得るということなんですね。
そこのところをどの程度防ぐのかということについて、今の日本の政府の想定では、途上国の法整備が整っていない国を前提にした構えしかないけれども、我々は先進国同士で、とりわけてアメリカとカナダの間で起きたように、日本とアメリカ企業、政府の間で紛争が起きたときに、ISDS条項、今のままでよろしいんでしょうかと。少なくとも、僕はこのISDS条項には反対ですけれども、仮に認めるとしても、さっき申し上げたように、きちんとしたフェアなルール、フェアな人選、透明なルールというのが確保されている必要があるんではないのかというのを私が申し上げたいと思う点なんです。