金子勝の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○参考人(金子勝君) 私は、具体的にどういうつながりがあるかという証拠がないので明確な発言はできないんですけど、どの国でもはっきりしているのは、アメリカの場合にはロビーイングが当たり前で、それで議員たちに個別にそういうロビー活動も行われていますし、先ほども出てきたように、TPPの交渉の場にも非常に多数の利害関係企業が来ていて、その人たちは議員と結び付いているだけじゃなくて、この交渉の中でもかなりの情報を持っているというのがアメリカだと思うんですね。
 それに比べると、日本は何かのどかな感じに非常に見えますね。逆に言えば、日本の企業は、一般的な雰囲気としてTPPが、何か自由貿易とか抽象的な言葉で、アジアを取り込むとかいうところで賛成しているだけで、例えばアメリカでシリコンバレーに何か派遣すればIT企業が育つなんてばかげたことでやっているわけですよね。
 アメリカは、軍隊がITをみんな開発しているし、軍事予算がたくさん大学にも落ちているわけですよね。それから、情報スーパーハイウエー構想でアル・ゴアが構想を立てたら、日本と違って古くない、ビル・ゲイツとかD・E・ショーとか、ああいう若いIT関係の技術者みたいな、経営者みたいな人たちをばっと政府に取り込むわけですよ。それで新しい産業をつくっているわけですよね。
 そういうのに比べると、何かTPPって本当に日本の産業の未来をつくろうとしているのか。いや、アメリカのロビーイングみたいなことをやれという意味じゃないんですけど、彼らは非常にそういうことで密接にこの貿易交渉を考えているのに対して、日本の経営者は、非常に一般論でアメリカに付いていくしかないみたいな議論しかしていないように思います。
 それから、今の経済界の中心になっている企業の方々は、残念ですけど、新しい時代の産業の方はそれほど多くないわけです、残念なんですけど。ビル・ゲイツやD・E・ショーのような新しい経営者がたくさんいるわけでもないし、金融業では、まあアメリカのようなまねをする必要はないですけど、そういう何か弱さというんでしょうか、このTPPの交渉の是非以上に、日本の競争力の衰退の背後にある新しい産業構造への転換の意欲というのがずっと見られない。
 それは、残念なんですけど、サラリーマン経営者になってしまった人たちが、不良債権問題から福島原発事故まで誰一人責任を取らない、それをかばい合っている、こういう人たちが中心にいてTPPを推進している状況に逆に私は危惧を持ちます。こういうことを言うとまたひんしゅくを買いますけど。
 むしろ、新しい産業を起こしていくような戦略的な、アメリカは軍があるので非常に強いんですけど、エネルギーやスーパーコンピューターや情報や、そういう分野での固まりのすごさを我々は目の当たりにしたとき、それに対抗するだけのものを残念ながら持っていない中でやりたい放題やられているような感覚さえ持ちます。
 それは、交渉参加のときの、先ほど申し上げた、医療保険分野を差し出すみたいな、高い入場料を払うみたいなやり方を見ていると、市場を食われて妥協して収めてきたような八〇年代後半以来の構図というのはそろそろ転換して、やはり攻めの産業戦略を本当の意味で立てていって、どういう形で本当のコアを育てていくというのが必要になっていくような気がしています。そういう意味では、TPPに関する政府の姿勢に対して非常に危惧している、私はその一人です。

発言情報

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発言者: 金子勝

speaker_id: 29845

日付: 2015-06-10

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会