菅野雅明の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

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○参考人(菅野雅明君) 私に対する御質問ではなかったかもしれませんが、マクロプルーデンスについて一言だけ簡単に申し上げさせていただきたいと思います。
 これまで、金融システムが不安定化したときにどういうふうにしたらいいかというのはもう日本でも実験済みで、九七年に金融危機が起きました。そして、二〇〇三年にりそな銀行への公的資金の注入で取りあえず金融システム不安は日本で収まったわけですが。それで一応、問題が本当は起きる前にいろいろ対応する、そして、ただ、問題が起きてしまったら公的資金を注入するというのはアメリカでもその後実際に起こりました。これが大体もう教科書になっているわけですけれども。
 ただ、その後起きたユーロ危機のときに、実は同じようなことをスペインでやろうとしました。スペインの金融システムが不安定になり中小金融機関が破綻のリスクにさらされたときに、スペイン政府が公的資金を注入しようとしました。ところが、そのときにスペイン政府の財政状況が非常に不安定な状況でした、赤字が非常にあったので。実は、そのスペイン政府が公的資金の注入をするといううわさが出ただけでスペイン政府の国債の格付が大幅に下がってしまって、結局、スペイン政府は公的資金の注入ができずに、ECB、欧州中央銀行に頼んで迂回でやってもらったということがあります。
 ですので、次の金融危機というのを別にここで議論するつもりはないんですけれども、やはり日本の場合を想定しても、危機というのは必ず、今までと似たような状況だけれども必ず違う衣を伴って現れてきますので、一つのリスクは、公的資金を注入してもむしろそれは財政のリスクになってしまうと。すなわち、公的資金を入れて何とかなるというのは、国の財政がしっかりしているからみんなそれで何とか安心するわけですけれども、国の財政がしっかりしていないと、それは銀行を助けようとしてまた国債を増発するのでは国の財政はもっと危なくなってしまうじゃないかというリスクもありますので、やはりそういう面でも今真剣に財政の問題というのを、そういうマクロプルーデンスの観点からもやはり今のうちに、しっかりと平時のうちに議論しておくことが必要だと思います。
 二点目の点ですけれども、確かに物価が上がるのは二つの要因がございます。一つは供給サイド、一つは需要サイド。原油価格が上がって物価が上がるというのは供給要因で上がることですけれども、ただ、これは瞬間的にはインフレになりますけれども、賃金が上がらずして原油価格が上がるとむしろ家計の購買力が減ってしまって、むしろ最終的にはこれデフレ要因になりますので、いずれ物価は下がっていきます。
 ただ、賃金が上がっているときに、今はちょっとまだそういう状況じゃないんですけれども、これから何年後かに非常に労働需給がタイトになって賃金が毎年何%か上がっているときに原油価格が上がると、本当にこれはインフレになって、一種のスタグフレーション状態になるわけですね。購買力が減るから消費は落ちる、ただインフレだけはどんどん上がっていくという状況になるとき、これは非常に中央銀行にとっては苦しい状況です。
 ただ、やはりそのときは、過去の中央銀行の例を見ると、もう心を鬼にして、もう景気に配慮ではなくて、まずインフレ期待を収めるという形にしなければいけないわけですが、ただ、そのときに、今、日本の状況ですと、やはり財政がまだこれだけ大きな赤字を持って信認がないと、それもできないかもしれないという。すなわち、日銀が引き締めるということは、更に長期金利が上がり、日銀が国債を買わなくなるわけですので、本当にそれもできるのかということが出てきますので、やはりこれも今のうちにそういう観点から議論しておくことが必要だと思います。

発言情報

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発言者: 菅野雅明

speaker_id: 9417

日付: 2015-02-25

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会