湯元健治の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

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○参考人(湯元健治君) 労働市場改革の議論がなされるときに、なぜ必要かというときに、やはり日本の労働市場は硬直的であり、流動化が必要であるという議論がベースになっていると思います。そこから、さらに、じゃなぜ流動化が必要なのかというところに遡って考える必要があろうかと思っておりまして、先ほどのデフレが長期化した原因というのは、あるいは長期的に抜け出せなかった原因として、なかなか産業構造が高度化しようにもそう簡単に高度化してこなかったと。まだ、いまだに電機、自動車、機械という、そういったところの業界が日本経済全体をリードしているという状況なんですが、どんどん新興国の追い上げに遭ってどうしてもキャッチアップされてきてしまうと、そういう状況があって、彼らができないような、作れないようなものを、より付加価値の高い物を作り、あるいはより付加価値の高いサービスを生み出していくという努力、これこそが成長戦略であり産業構造の高度化ということなんだろうと思います。
 それを考えたときに労働市場はどうあるべきかということは、流動性を高めるというのはその一つの方策だろうと思っておりますけれども、それ以外にも、個々人の持っている能力、エンプロイアビリティーというふうに呼ばれていますけれども、それを高めていく。それは、もちろん個人の自助努力に負うところは大きいんですが、ヨーロッパ、北欧などで言われている積極的労働市場政策というのがありまして、個人が自発的にいろんな形で新しい技能を学ぶ、あるいは知見を学ぶということが社会人になってからも自由にできるような仕組みになっていまして、より自分の年収を上げるためには、より収益性の高い、生産性の高い業界あるいは企業に転職してやらないといけない、そのためには能力を身に付けないといけない。そのためには、それを政府が無償でサポートしてくれるといったような制度になっておりまして。
 私の基本認識は、労働市場改革という一つの輪の中でいかに労働市場をどのように改革すべきかという議論にどうしてもなりがちですが、いかに産業構造をどういうふうに高度化して、どの産業を伸ばしていくか。これは、ターゲティングポリシーという形になって、なかなかどの産業が伸びるか分からないという側面もありますけれども、少なくともコンセンサス的にこういう分野は将来伸びるんではないかとか、こういう分野は日本の技術力が相対的に高いんではないかとか、そういうところがあるわけでありまして、そういうところで不足してくるのはそういったところに必要な専門の人材であろうかと思います。
 したがって、そういった産業政策と、それからこの労働市場の改革と、それから積極的労働市場政策というのは三位一体で同時に実現していく方向になっていかないといけないんじゃないかなと思っておりまして、そうしますと、もちろんこの派遣法、ホワイトカラーエグゼンプション等々の改革というのは全く必要じゃないというふうに私は思いませんけれども、例えば働き方というのが、働き方に対する価値観とかどういう形態で働くかということに対する価値観も非常に多様化していますので、正規、非正規だけではなくて、限定型正社員制度というのも導入されてきましたけれども、もっともっと多様な働き方があり、多様な形態があるという方向に持っていくというのが一番いい方向性なんじゃないかなと思います。
 例えば、女性の能力を十分活用できていないのはなぜかというと、例えば子育て期に在宅でも仕事ができるみたいな形で、会社を辞めないでITを使って仕事ができるというふうなことが一般的になっていけば女性の潜在的な能力を活用していけますし、それから、先ほどちょっと申し上げましたクラウドソーシングみたいなことも、高齢者が地方に移住した後、ITを使って仕事をやるみたいなことが可能になってくる。
 そういう意味では、労働市場の中の改革のウエートというのは、そういう働き方の多様化や雇用形態の多様化を進めていく、個々人が自分の生活スタイルやニーズに合った方向で働き、それを適正に評価していただいて一定の収入を得ることができる、そういう世界を目指していくこと自体が産業構造の高度化にも恐らく資する方向性になっていくのかなというふうに思っておりまして、個別の法律が、これこれがいいか悪いかというのは、全体の政策がどっちを向いているのかによって評価が変わってくるということだろうと思っております。

発言情報

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発言者: 湯元健治

speaker_id: 18883

日付: 2015-03-04

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会