薬師寺泰蔵の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)
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○参考人(薬師寺泰蔵君) ありがとうございました。
私のレジュメがお配りしてあると思いますので、それに沿ってお話をしたいと思います。
二〇〇三年から二〇〇九年まで、国会同意人事をいただきまして、総合科学技術会議の常勤議員を六年務めさせていただきました。その間に科学技術外交というプログラムを二〇〇八年に作りました。
科学技術外交というのは、ODAのお金とそれから科学技術プログラム、科学技術振興費のお金を使いまして、開発途上国に対して日本の科学者と開発途上国の科学者が対等の位置付けでプロジェクトをやるというプログラムでございます。現在まで八十七プロジェクトが走って終わっております。四十一か国、アジア、それからアフリカ、中南米を含めて、そういうプログラムを作り上げました。
それで、今委員長から御紹介ありましたように、ODAの大綱見直しということで座長を務めさせていただきました。その中で、ODAというのは、全然、科学技術外交プログラムを作りました関係で知らないわけではなかったんですけど、初めてそういう分野に国際政治学者として座長を務めさせていただきました。
三月から六月まで、昨年、大体三か月にわたりまして非常に綿密な議論をいたしまして、有識者懇談会報告書を岸田外務大臣に提出したわけでございます。資料の中に入っております。
この我々の報告書をベースにして、全く同じではありませんけれども、新しい新大綱は名前を開発協力大綱というふうにしまして、我々の中でもそういう議論をして、そして有識者懇談会の重要な提言を十分に反映しているというふうに思います。そして、新たな時代にふさわしい政策文書であるというふうに私は思っております。
開発協力の目的というのはこの中で非常に明確になっておりまして、やはりそれは国際社会への貢献でございます。そして、国際社会への貢献は国益につながるということでございます。
国益の議論は様々な議論をマスコミでいただいておりますけれども、これは先生方御存じのように、憲法の前文にこういう文章があります。これは、ODAに関する基本的な考え方がありますので簡単に読まさせていただきますけれども、平和を愛する諸国民の、いわゆる信義といいますけれども、グッドウイルに、ベースにして、我々日本は国の存立を得て、そしてそれを維持するということができると。ですから、国際社会における諸国民のグッドウイルによって我々は存立をしているんだと、そういうことでございます。そして、平和を維持し、専制と隷従、それから圧迫と偏狭を地上からなくすという高い理想の中で、我々日本は名誉ある地位を占めたいと思う。これがODAの基本的な考えでございます。
それは、ですから、我々の存立というようなものが、やはり国民がベースになっている日本国にとっての非常に重要なインタレストだと、こういう意味で国益という言葉を使っております。そういう議論を我々の中でやりました。
開発協力の理念というのはきちんと明確化する必要があります。我が国はイギリス連邦が行っていたコロンボ・プランに参画して、そしてそれから六十年、ちょうど昨年でございますが還暦に当たって、そしてその中で、先生方御存じのように、一九七八年の衆議院外務委員会の議決と、それから八一年の衆議院外務委員会の議決、それから最初のODAをつくりました宮澤内閣の第一回の一九九二年のODAの中にもきちんと書いております。それは、環境と開発を両立させること、それから、軍事的用途及び国際紛争に使ってはいけないということでございます。そして、平和の安定を我々は目指すのであると、それから、いわゆるミサイルとか大量殺りく兵器を造っている国々にはODAは絶対に出さない。これがいわゆる四原則ということでございまして、その四原則はきちんと守るということでございます。
そして、やはり協働、今までは上から援助をするという考え方が強うございましたけれども、やはりこの我々の議論の中できちんと議論したのは、協働、共に働いていくんだと、そういうような、科学技術外交でも対等という言葉を使いましたけれども、その対等という議論が非常に重要だというふうに思います。
それから、人間の安全保障。これは、やはり憲法の前文に書いていますように、ティラニーとか圧制とか、そういうものに虐げられている人々を我々は助けていくんだと。こういう議論として、我々は、国際社会が議論をしている中で、いわゆるそういう人たちを、失われて外されている人たちをインクルードする包摂性、それからもう一つ、環境でございますから環境と、発展ですからサステナビリティー、持続可能性、それからレジリエンス、やはり経済的、それから災害、洪水、そういうようなものに対して我々はきちんとした対応をしていく、この三つの考え方を出しました。
そして、質の高い成長というのは、この三つの議論、包摂性、いわゆる持続可能性、強靱性、それが入っているのが質の高い、いわゆる漠然とした質の高い成長ではございません、そういう質の高い成長を、ポスト二〇一五の国連の中の議論でもやっているように、我々も同じような考え方をして、そしていわゆる人間の安全保障というようなものをきちんとやっていく。それが普遍的な価値の共有、平和な安全な社会の構築、それが日本の、やはり我々のインタレストということでございます。ですから、漠然とした国益という議論をしているわけではなくて、きちんとその議論をロジックに展開をしてまいりました。
そして、このODAというのは、先生方、是非予算を増やしていただきたいんですけれども、限られている。そのために、ODAというのは、基本的な必要条件ですけれども、それで十分条件ではない。ですから、触媒論を使いまして、触媒論を議論して、いろいろな民間の資金が世界の中にある、それからNGOとかCSOとか社会的なことをやっている方々とか、長さんのように難民のことをやっている人たち、そういう人たちとパートナーシップをつくらなければいけない、基本的、それで十分条件に近づいていくと、こういう議論でございます。
民間資金それから官民連携、自治体、いわゆる日本の自治体も入っていただきたい、それから中小企業を含めた経済界の人々も入っていただきたい。そういう点で触媒論という議論を展開をいたしました。触媒論というのは、妙な言葉でございますが、結局パートナーシップを使わなければODAというのは十分条件に近づいていかない、こういうことでございます。
それから、いろいろな、先ほどの憲法の前文にありましたように、虐げられている人の中には女性の人たちが非常に多い、そういう人たちをきちんとやっぱりインクルードしていくというような議論をいたしました。
最後に、ODAは、一九九七年でしょうか、九二年ですか、ODAはピラミッドのように増えてきて、そしてピラミッドのように下がってきて、そして今あるわけでございます。七〇年の国連で議論をされたいわゆるグロース・ナショナル・インカムに対して〇・七%、まだ日本は〇・二%でございます。先生たち、よろしくどうぞお願いします。これはいわゆる世界に対する日本の存立と繁栄とそれから国際社会に対する貢献でございますので、是非とも予算を増やしていただきたいというふうに思います。
ちょっと陳情になりましたけれども、これで終わらせていただきます。
ありがとうございました。