遠藤利明の発言 (内閣委員会、文教科学委員会連合審査会)
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○国務大臣(遠藤利明君) 我が国で開催する二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を担当する国務大臣として、一言御挨拶を申し上げます。
「TOKYO」。一昨年九月、ブエノスアイレスで開催された国際オリンピック委員会総会において会場に響き渡ったジャック・ロゲ前会長の言葉に、現地の日本代表団はもとより、早朝から日本国内も歓喜したあの感動から、早いもので二年近い月日が過ぎました。
私自身も現地で立ち会い、日本に大きな夢と希望をもたらす悲願がかなった瞬間を目の当たりにした感動を、昨日のように覚えております。この二〇二〇年の東京大会に専任の国務大臣として携わることができるのは、この上ない喜びと感じております。
一九六四年の東京大会は、敗戦から立ち上がった日本にとって、さん然と輝く希望の灯となりました。国民は、ブルーインパルスが東京の空に描いた五輪の輪に自信を感じ、以後の目覚ましい経済成長の糧としたのです。以来半世紀の間、日本社会には幾多の困難がありましたが、私たちは、ここで得た自信と勇気を一助に乗り越えることができたと考えております。今回、五十六年ぶりに開く二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催は、スポーツの振興と国際貢献、国際親善、共生社会の実現、国際平和の寄与にとって極めて意義深いものであるとともに、日本が聖火の火に再び自信を感じ、元気な次世代をつくり上げていくための出発点として、国民に夢と希望を与えるものです。
私は、オリンピック日本選手団のメダル獲得数が荒川静香選手の金メダル一個にとどまったトリノ大会に危機感を持ち、日本でもスポーツに対する国家的な戦略、支援が必要との思いを強く持つようになりました。こうした思いを多くの方々と共有しつつ、超党派による議論を経て、全会一致でスポーツ基本法が制定されました。このような国会の取組は、大会を東京で開催することができるようになった大きな要因の一つであると考えております。
来年八月から、リオデジャネイロでオリンピック・パラリンピック大会が開催されます。大会終了後には、次の開催地である東京に国内外の目が一層向けられることも予想されます。二〇二〇年東京大会に向けて準備を加速しなければなりません。
かねてから、大会成功の条件は三つあると考えています。まず、日本の選手がベストを尽くしてメダルを取り、国民を感動の渦に巻き込むこと。次に、サイバー空間を含むセキュリティー、安全、安心の確保、観客の輸送などを含め、大会運営が成功すること。そして、大会後に様々な分野で次世代に誇れる遺産、レガシーを残すことです。
そのためにも、リオデジャネイロ大会開催までのこの一年が極めて重要な意味を持つと考えます。このため、関係大臣などと連携し、以下の施策について全力で取り組んでまいります。
今回の東京大会の大きな目的の一つは、東日本大震災の被災地が復興しつつある姿を世界に発信することだと考えます。震災では、世界の百六十三か国・地域と四十三の国際機関から温かい支援の申出をいただきました。被災地が元気になった姿を世界にお見せするのは、支援に対する御恩返しでもあります。私自身も東北の出身者として、被災地を駆け抜ける聖火リレーや、今後決定される追加種目の被災地での試合の開催、スポーツイベントの実施などについて、被災地の方々の声を十分に伺いながら取り組んでまいります。
東京大会においては、オリンピックとパラリンピックの一体的な盛り上がりが必要不可欠です。同一都市として初めて二回目の開催となるパラリンピックが、これまでにない最高の環境を整え、世界中の障害者に夢を与えることができる大会となるよう、全力を挙げて準備を進めてまいります。
パラリンピックの選手たちが自らの障害と向き合いながら無限の可能性に挑戦する姿は、人々に大きな夢と感動、勇気を与えてくれます。前回東京大会から五十余年、当時に比べ、関心は高まりつつあるものの、認知度をより一層向上させるため、障害者スポーツの更なる普及に取り組んでまいります。
パラリンピックの開催は、障害者や高齢者にとどまらず、全ての人々にとって安全で快適に移動ができるユニバーサルデザインの考えに基づいた町づくりにつながります。障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う心のバリアフリーを進めることにより、共生社会の実現につながると認識しており、最重要課題の一つとして取り組む所存です。
私は、今回の大会を単なる東京オリンピック・パラリンピックとするのではなく、日本オリンピック・パラリンピックと位置付けたいと考えます。安倍内閣は元気で豊かな地方の創生を成長戦略の重要柱と位置付けており、東京大会はその起爆剤としても絶好のチャンスです。政府は二〇二〇年を重要な通過点とし、その先には外国人旅行者が三千万人も訪れるような、世界に誇る魅力あふれる国づくりを目指しています。大会運営の随所に日本各地の良さに触れられるような工夫を取り入れ、日本オリンピック・パラリンピックを演出したいと考えています。
二〇二〇年に向け、スポーツの持つ無限の力を一層強化し、日本を元気にしていきます。全国津々浦々にまで大会の効果を実感できるよう、全国の自治体と参加国・地域との人的、経済的、文化的な相互交流を図るとともに、スポーツ立国、グローバル化の推進、地域の活性化、観光振興等に資する観点も加味し、ホストシティ・タウン構想を積極的に推進します。
テロ対策やサイバーセキュリティー、防災などの安全、安心対策も、大会成功のための大切な鍵です。昨今、先進国の主要都市を狙ったテロ事件も目立っており、多くの観客が世界から集う今回の大会には、重層的で徹底した対策が不可欠です。また、観客の円滑な輸送、外国人旅行客の受入れ、選手、観客の暑さ対策、水素社会等日本の技術の発信、持続可能性への配慮等を推進することも大切な要素です。このため、関係者と連携して準備を着実に進めてまいります。
本年六月のIOC理事会で、自転車競技、サッカーを除く二十六競技の競技会場が了承されました。今後実施される競技会場の整備においては、アスリートファーストの精神に立つことはもとより、バリアフリー化の円滑な実施や、セキュリティー面からの万全な対策も必要であり、関係大臣や関係地方公共団体等と十分に連携し、進捗管理に配慮してまいります。
特に、新国立競技場の整備については、二〇一九年春の確実な完成を目指す必要があります。私としては、当面は開催都市である東京都と国の調整に全力で取り組んでまいります。
東京大会を日本や世界全体に対して長く人々の記憶に残る大会として成功させるためには、スポーツのイベントとして成功させるだけではなく、共生社会の実現、スポーツや健康、文化などの様々な分野で成果を残すことが必要と考えており、そのために国レベルの検討を進めてまいります。
二〇二〇年東京大会を成功させるためにも、その前年に開催されるラグビーワールドカップ二〇一九の確実な成功は大きな課題です。このため、文部科学大臣など関係大臣と連携し、セキュリティー対策や復興、地域活性化、観客の輸送、外国人旅行客の受入れ、バリアフリー等について、所要の準備、検討を進めてまいります。
以上の事項を着実に推進し、東京大会の波及効果を日本全国に及ぼすことができるよう、関係大臣の協力を得て、オールジャパンで大会の円滑な準備及び運営に関する施策を総合的かつ集中的に推進してまいります。また、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部において、基本方針の案を作成し、基本方針の実施の推進、大会の円滑な準備及び運営に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整を図ってまいります。
二〇一二年ロンドン・オリンピック後に銀座で行われた日本選手代表団によるメダルパレードには、五十万人とも言われる大観衆が沿道に詰めかけました。大会における日本人選手の活躍は、日本に大きな一体感と勇気、誇りを与えたのです。沿道をうずめた人々も、参加した選手も、すばらしい笑顔と躍動感に包まれていました。
オリンピック・パラリンピックは、それぞれスポーツの大会として尊い価値を有するものです。次回の大会後には、オリンピアンとパラリンピアンが一体となって参加するパレードを実現すれば、感動と喜びが更に深まるのでないかと考えます。また、こうしたことが共生社会の実現にも資するものと認識の下、各般の施策に取り組んでまいります。
精力善用、自他共栄。日本人初となるIOC委員を務め、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎師範の言葉です。これは、何事をするにも、その目的を達するために精神の力と身体の力とを最も有効に働かすとともに、自分だけでなく他人とともに生き栄えるために、互いに信頼し、助け合う精神を示していると私は理解しています。
私は、この精神を胸に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が大成功を収められるよう、着実に諸課題に取り組んでまいりたいと考えております。
委員長、理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。