香川洋之助の発言 (農林水産委員会)
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○参考人(香川洋之助君) ただいま御指名いただきました、広島県中央会の会長をしております香川でございます。本日は、このような機会を与えていただき、大変光栄に存じております。
今回お呼びいただけたのは、私が、今、JAグループ自己改革をまとめております全中総合審議会や、あるいは全国大会議案審議委員会の下での専門委員会の座長を務めさせていただいているからだと思っております。したがいまして、今日はそのような立場で発言をさせていただきたいと思います。
また、私は、広島県と島根県の県境にあり、高齢化と過疎化が進んでおります地域にある単位農協、JA広島北部の組合長も務めております。農業を基幹産業としている中山間地帯の農協であります。本日はその立場も踏まえて発言をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、今回の農協改革であります。
今回、政府から、国の農政改革の一環として、農協の事業、組織について抜本的な見直しをするという方針が打ち出されました。私たちJAグループは、これまでも農家組合員の組織として、時代時代の変化に対応し、政府の指導をいただきながら、事業、組織の見直し、また改革も行ってきたと思っております。しかし、地域農業、さらには日本農業の現状を見るとき、まだまだ対応が不十分で、JAグループの力量不足もあったのではないかと率直に反省をしているところでもございます。
私は、これまで四十数年間、系統組織の職員として、また役員として農協事業、農協運営に携わってまいりました。農協組織の使命は、地域農業の振興、すなわち農家組合員と一緒になって地域農業が将来にわたり継続、発展できるよう取組をすることだということで今日まで至っているわけでありますが、全国の多くの農協、JAの特に中山間地を抱えたJAの組合長は、多かれ少なかれ私と同じ考えを持ってJA運営をしているのではないかと思います。
しかし、地域の現状は、農業従事者の高齢化や担い手不足は年々深刻化しており、今日では、加えて農業の国際化が進んでいる中、一段と厳しさを増してきております。これに対応できる地域農業の再構築は喫緊の課題であると思っております。
今回、政府から提起のあった農協改革は、農業を成長産業化し、自立できる足腰の強い農業を目指すため、JAグループもそれに対応するよう事業、組織の在り方を見直しせよという内容になったと理解をしております。国内農業、また地域農業を強化していくことにつきましては私たちも全く同様であり、そのための事業、組織改革は必要であるとも認識をしております。
ただ、当初、規制改革会議等から提起された農協改革の考え方につきましては、国内農業を強化するという目的は余り見えず、単に中央会制度の廃止や連合会の分離、准組合員の利用規制等、JA組織の解体にもつながりかねないような内容に見え、私自身もそのように受け止めてまいりました。その後、与党の先生方の御尽力によりまして、政府との話合いを続ける中で、今回の農協改革はあくまで農業者の所得向上を目指すもので、JAグループの自己改革を尊重していくということが確認されたと思っております。これによりまして、私たちJAグループの自己改革の最大のテーマは、あるいは目標は、農業者の所得増大と農業生産の拡大、これをいかに実現するか、そのためJAグループとして事業や組織をどのように見直していくか等について検討を深めることといたしました。
私が座長を務めさせていただいております専門委員会におきましても、これらについていろいろと検討をしてまいりましたが、JAあるいは連合会役員、また青年部、女性部の代表者から様々な意見が出されました。検討の結果、系統組織を挙げて農業者の所得増大や地域の活性化に向けて事業を見直していこうという共通の目的は確認されましたが、ただ、具体的な取組、課題は、JAの置かれている地域環境が様々でありますことから、それぞれのJAが更に地域の実情を踏まえて検討することとし、私たちの専門委員会では改革の基本的な方向性を整理し、組織討議に付していこうということになったわけであります。また、この改革の方向性について、本年の十月、JA全国大会、これで決議する今後三か年のJAグループの中期方針の組織協議案に盛り込んでいく、そして組織討議を徹底して行うということにしているところであります。
したがいまして、本日、自己改革あるいはJAの大会の組織討議案等につきましては、皆様方のお手元の方にこういうパンフレットを今日お配りをさせていただいております。この資料につきまして若干説明をさせていただきたいと思っております。
まず、JAの自己改革、これは基本的には政府の農協改革の目的と同じ、農業所得の増大を最重点として取り組んでいくこととしております。農業も地域も大変厳しく、今までどおりではこの状況を打破することはできません。魅力ある農業、地域づくりのために所得の増大と農業生産の拡大に集中し、挑戦をしていくということとしております。
その具体策は、先ほど言いましたように、それぞれの農協がここに掲げている組織討議案で示した内容を参考に、組合員と徹底して討議し、創意工夫して独自に、それぞれ農協独自にひとつ策定していこうということになっております。ここの表紙の中に「創造的自己改革への挑戦」というのを書いてございますが、これは二十七回JA大会のテーマにしております。これはこのことを意味して、とにかくそれぞれのJAでいろいろと創意工夫をしていこうではないか、組合員、農家の皆さんと一緒になってやっていこうではないかということであります。
四ページを御覧いただきたいと思います。ちょっと飛ばすようでございますが、ここで、第二十七回JA大会で私たちJAグループの目指すことについて、この下の方に、食と農を基軸として地域に根差した協同組合の確立ということを掲げております。農業者と地域住民が結集し、営農、生活を支える総合事業を今後とも展開し、持続可能な農業の実現、二として豊かで暮らしやすい地域社会の実現、これを目指しながら協同組合としての役割を発揮していこうではないかということにしております。
JAの総合事業や地域に果たす役割につきましては、これまでもこの参議院の審議においても先生方あるいは政府も認めていただいていると聞いております。ただ、農協改革の議論で、農協は職能組合に純化すべきだというような意見も出てまいってきていることも確かであります。総合農協の果たしている役割がなかなか必ずしも理解されていないのではないかというように思っております。
したがいまして、現場では、今回の事業目的規定の見直しさえも、職能組合純化を目指したもので、准組合員の利用規制につながるのではないかというような非常に懸念をしているところでもございます。先生方におかれましても、地方における総合農協の役割、十分御承知していただいているとは思いますが、今後ともJAが地域に根差した協同組合として積極的に事業展開あるいは活動ができるよう御支援を賜りたいと思います。
続きまして、六ページをちょっとめくっていただきたいと思います。ここに農業者の所得増大、農業生産の拡大について記しております。まず、JAの総合力の強みを発揮した担い手経営体のニーズに応える個別対応、従来にも増してそれぞれの個別対応をひとつ強化をしていこうではないかということであります。
基本的には多様な担い手に対応するわけでありますが、特に今回は地域の中核となる担い手に重点的にひとつ当たっていこうではないかというような取組をしていきたいと思っております。また、販売事業につきましても、実需者のニーズに合ったマーケットインに基づく生産・販売事業方式への転換を進めていく、単なる共販というのでなく、いろんな販売手法を考えていくということにしております。さらに、付加価値の増大と新たな需要拡大についても今後積極的に挑戦をしていく。
さらに、裏のページになるんですが、生産資材の取扱等につきましては、やはり柔軟な価格対応、これも一律的でなく、やっぱりそれぞれ階層別に柔軟な価格対応もしていくし、また低コストを目指した生産技術の確立や普及にも取り組むというようなことで整理をしています。
そして、新たな担い手の育成や担い手のレベルアップを支援をすると同時に、さらに、農協の事業の中で特に今回は営農、経済事業、これに人事配置など経営資源をシフトをするということとしております。
なお、私どもの広島県におきましては、既に大規模担い手等の農業経営を含め、幅広い指導、相談に対応するために、県段階において中央会あるいは各連合会から職員を集め、広島県JA営農支援センター、これを既に四月には新設し、担い手、農業集団あるいは新規就農者に対して濃密な支援体制を構築するということで、これは今回の大会の中でも、県段階においてもやはり連合会もそういう格好で一丸となって農協の営農、経済事業体制を支援をするという方向付けをしているところであります。
次に、八ページの地域活性化の貢献であります。これにつきましても総合農協としてしっかりと今後とも取り組んでいきたいと思います。そのため、総合事業を通じた生活インフラ機能の発揮とJAくらしの活動を通じた地域コミュニティーの活性化を進め、地方創生へも積極的に参加をするということでございます。
なお、先ほど申しましたが、准組合員の利用規制につきましては、今後五年間の調査を経て検討することになっておりますが、是非こうした様々なJAの役割をしっかりと御理解いただき、実態に基づいた適切な判断がされるよう、強くお願いをするところであります。
次に、九ページの組合員対策でありますが、協同組合は株式会社とは違い、メンバーシップの組織であります。協同組合組織としての原点に立ち返り、組合員の参画、意思反映を強化するための取組を充実してまいります。具体的には、それぞれJAの支店など組合員と近いところを拠点をつくり、様々な協同活動を展開していこうということとしております。
また、准組合員については、農協の組合員として、農業や地域経済の発展を共に支えるパートナーとしてしっかりと位置付け、農業に係る取組も今以上に関わっていただく。例えば、産直出荷者、どんどん准組合員にも奨励してひとつやっていただくという取組もそれぞれの農協でやっていきたい。各農協とも、組合員あるいは准組合員を問わず、単なる利用者からJAの様々な活動へ参加していただくような取組を今後強化していきたいという内容にしております。
続いて、十ページでございます。国民理解の醸成であります。
今回のJA改革をめぐり、JAの事業やあるいは組織が否定されるような大変遺憾な報道が多くなされました。現場では、この一方的な報道に基づいて今回農協改革がされているんだというような見方をしている組合員もおります。私も、今回の報道内容につきましては大変不満で、一面では怒りを感じた局面もあったわけでありますが、そのような報道になった原因は、我々JAグループ自体にもあるんではないかと反省もしております。
したがって、JA組織としてしっかり伝わる情報発信ができるよう、今後あらゆる局面、媒体を使って協同組合運動の意義などについて正しい情報を発信をしてまいりたいと思います。
最後に、中央会改革でありますが、これにつきましては、今後、新しい中央会ということで今組織を挙げていろいろな立場から検討をしているところであります。組織の協議の結果を踏まえて具体的な新たな中央会を構築をしていくこととしています。
以上、自己改革の内容につきまして全国大会組織協議案により説明させていただきましたが、基本は、農協は農業者がつくった組織で、また連合会、中央会はその農協がつくった組織であり、その改革はやはり我々自らが行うべきだというように考えております。そのために役職員の意識改革が特に重要になっておりますので、今後、JAグループの役職員の意識改革を十分に進めながら、JAグループ一体となって今回の自己改革、ひいては農協改革について邁進をしてまいりたいと思います。
なお、政府におかれましては、政省令の決定など今後の法改正に伴う対応につきましては、この自己改革を後押しするものとして適切な対応を強くお願いを申し上げまして、私からの意見陳述にさせていただきます。ひとつ皆さん方よろしくお願いを申し上げます。