石田正昭の発言 (農林水産委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(石田正昭君) 私は、五月二十七日の衆議院の参考人質疑に呼ばれました。その冒頭、根拠のない未来志向の改正案だと、こういう発言をいたしました。ここでもう一度その意味を確認させていただきたい。
 まず第一に、根拠のないという意味は、これはマックス・ウェーバーの言葉を使っておるわけですけれども、普遍的存在、これは協同組合、歴史的個体、これは戦後農協、この二つとも配慮ないという意味でございます。それから、未来志向という点は、戦後の総合農協の在り方を大きく変える未来志向だと。もっと言えば、戦後の総合農協にとって未来のない未来志向だと、こういう意味でございます。
 それを踏まえて、私は二つの点の修正を求めました。これは准組合員に関連する問題でありますが、法的安定性の観点から申し上げたんですけれども、まず第一は、第一条の目的を、もって国民経済の発展に寄与するという表現がございますけれども、地域の農協というJAの目指すそういう観点を支援する立場からすれば、もって地域の発展に寄与するというふうに改めるのが適当だと、こういうふうに発言しました。
 それから、第七条第二項、事業運営原則でありますけれども、これが准組合員の事業利用規制の根拠となるおそれがあるということで、農業所得増大への最大配慮を削除願いたいと、こう発言いたしました。十分ではございませんけれども、これまでの衆議院あるいは参議院のやり取りを聞いておりましたけれども、擦れ違いというか議論が煮詰まっていないと、こういうふうに思っております。参議院においても更なる議論を求めたいと、こういうふうに思っております。
 その関連で、二でございますけれども、今度の附則第五十一条第二項、いわゆる准組合員事業利用調査、この規定がございますけれども、この削除を求めたいというふうに思います。なぜならば、根拠がないというふうに思うからでございます。
 以下、①からいきますと、そもそもこの本調査に係る行政庁権限、この根拠規定はどこにあるのかということでございます。
 やり取りを聞いていまして、第一条にあるかのごとき答弁があったかと思いますが、仮に第一条によるものであれば、従来からも第一条があったわけでございまして、急に准組合員の事業利用調査をすると言い出すのはこれまでの流れとは整合しないというふうに思っております。第七条第二項によるものだと私は思っておりますけれども、これまでの答弁を聞くと、第七条第二項はそういう意図はないと、こういうふうに答えられておりますが、じゃ、なぜこの第二項は第一項とダブっているわけですから残すのかと、こういう疑問がございます。
 ちなみに、これまで、現在もそうですけれども、監督指針では、准組合員の事業利用はJAの事業分量を増大することからも望ましいと、こう書いてございます。現在、この監督指針が生きているにもかかわらず、なぜそれを調査しなきゃいけないんだというのがまず①であります。
 それから②は、何の目的でやるのかと。附則第五十一条二項によりますと、規制の在り方について検討を加えると、こう書いてあります。規制の在り方の検討をする、何をすればオーケーなんだということが分かりません。いっぱい努力、先ほど自己改革をすると、こういうふうにおっしゃっていたけど、いっぱいやって、それをいいよとも悪いよとも、どのようにでも解釈し得る、そういう立て付けになっているというふうに思っています。
 それから、地域の競争事業体の有無を調査するということであります。これは、地域で行う協同組合の事業を全く理解していないというふうに思っています。協同組合の事業は組合員の求めに応じて行っているものでありまして、競争事業体があるから要らないじゃないかという議論にはならないというふうに思ってございます。
 それから、根拠のない事業利用調査をする。恐らく県の検査のときに書類の提出を求められるんでしょうけれども、これを整えるのに大変な負担になるというふうに思っております。やるなら行政庁自身がやればいいという、例えばガソリンスタンドでやるんなら、利用者を聞き出して、役人がやればいいと、こういうふうに思っております。
 次に、八月四日、野村議員の質問に奥原局長が答えた、中央会は本則で規定されていると、こういう答弁があったと思いますが、このことの妥当性も問いたいというふうに思います。
 まず①は、中央会の事業に対するこれは意図的かつ差別的な扱いだと考えております。と申しますのは、仮に改正法案の中で中央会の本則規定があるとすれば、事業はどうだと、こういうことでございますが、今の附則の中に入っている経営相談、監査、代表、総合調整、これは入っているとすれば、現在の十条、事業の中では全て附帯事業扱い、まま子扱いですよね、簡単に言えば、ということになります。さらに、現在の現行法では、教育、情報とか調査研究、これは現在の附則の中でもこれが消えておりますので、附則の中でも附帯事業、中央会の事業全てが附帯事業と、こういう位置付けでいいのかというふうに思います。
 それから、②ですが、中央会の名称付与は附則第十八条と第二十六条による特例措置によると、こういうことになるかと思います。
 都道府県中央会が農業協同組合連合会であると、こういうふうな規定でございますが、農業協同組合連合会である者は農業協同組合連合会と名のらなければいけないと、こういう法律が改正法案第三条第一項に書いてございますが、それを無視して、何々県中央会と、こういうふうに呼ばせる、これは特例で認めると、こういう立て付けになってございます。反対に、全国中央会でございますが、農業協同組合連合会でない者は農協とか農協連合会と名のってはならないと、こういうことでありますが、全国農協中央会と、農協という名称はいいよと、こう言っておるわけです。これも、要するに、本則ではこう書いてあるんだけど、附則の特例措置として認めてやるよと、これは行政庁の余りの強い規制ではないかなと、こういうふうに思っています。
 このように考えていきますと、全国中央会を一社にすると、こういうふうに言っています。都道府県中央会は連合会だと、こう言っていますが、実質的に何の違いもないということであります。じゃ、なぜ全国中央会は一社にしたのかと、この辺りの意味が分かりません。これまでの政府の答弁を聞いていますと、そのことの立法事実も示されていないと、こういうふうに思っています。農協の事業を絞っているから一社にするんだという理由は全然立証されていないと、こういうふうに考えてございます。
 最後でございますが、現場では今回の中央会改革は地域農協には影響はないんだという理解が広がっているようでありますが、大変な誤解だということを申し上げておきたいと思います。これが、会計士監査導入に伴う私の懸念という、この第四の項でございます。
 会計士監査を入れるんですけれど、これは、今までの答弁を聞くと、会計士の監査の独立性とか透明性とかという議論はあったんだけれど、これをどういう形で監査していくのかという議論が全くなされていないんじゃないかというふうに思います。
 私に言わせれば、農協ルールが適用されるのか、信金、信組並みの金融機関ルールが適用されるのか、そのことを全然議論していないというふうに思います。これは、附則第五十条二項、これから農水省と金融庁と公認会計士協会と全中、この四者が協議して決めると、こういうふうになっていますけど、一番重要な農林中金が入っていませんという問題がございます。会計士監査が入ってもルールは変わらない、現行どおりだというのが本来あるべきだと、そういう協議になるというふうにすべきだと私は思うんだけど、そうなるかどうかはこれはやってみなきゃ分からないと、こういうことではないかなと思います。
 まず、幾つか問題はあると思いますが、監査費用が増えます。これは、附則五十条第一項の第三号で、農協の実質的な負担は増やさないようにすると、こういうふうな書き方をしています。じゃ、これは誰がどのように負担するのか。さらに、総額としては負担は増えなくても、個々の農協から見れば必ず凸凹が出てくるはずです。だから、今払っている、これは現実には都道府県中央会の賦課金として払っているわけですけれども、そのうちの幾らかというのが明示されていませんが、凸凹が必ず発生するはずだというふうに思っています。この増えたのを絶対増やさないと、こういう意味でございましょうかということでございます。
 ②は減損処理の厳密化でございまして、現在の農水省が作っている監督指針では、緩やかな減損処理を許すような共用資産の扱いというのが出てございます。しかし、これがどこまで通用するのか、金融機関ルールでいくとかなり厳しくなると、こういうふうに考えております。
 それから、もし金融機関ルールが適用されたら、そもそも総合農協、金融事業等ほかの事業を営んでいるわけですから、どういう監査というんですか、会計帳簿というんですか、資料というのを作っていくのかよく分かりません。仮に信用事業部門というものを独立させたような考え方でいくとすれば、他部門運用という問題が必ず出てくると思います。現行の監督指針では、他部門運用はこれも多少緩い条件が加わってございますけれども、これがどうなるのかということがあります。これは必ずしも会計士監査で指摘されるような問題ではないかも分かりませんが、当然この協議の中では議論されなければならない問題だというふうに私は理解しております。
 それから、改正法案第五条、旧の六条ですけれども、事業利用分量配当は損金扱いだと、こういうふうな扱いになっている。剰余金からこの事業分量配当した場合でも税金は掛かりませんよと、こうなっておりますが、今度それはどういう扱いになるんですかと。恐らく、それは売上げから引いた形で計算しなさいと、こういうことになるんじゃないかなと思います。そうしますと、今までの利益よりその分は減るはずだと、こういうふうに考えてございます。
 それから⑤は、これは直ちには問題にならないと思いますけれども、協同組合の出資金は資本か負債かという、国際会計基準というものを適用するのかどうかという問題も今後生まれてくると思います。仮に出資金は負債だということになれば資本金は減るわけでございまして、経営が脆弱だと、こういう指摘が出てくるかと思います。
 以上、①、②、③、④、⑤を書きましたが、この協議の中でどういうルールで監査が行われるのか、場合によっては信用事業譲渡、准組合員事業利用規制ではない形で迫られる農協が発生するおそれがあるよということ、現実に、都道府県中央会が監査をやる二百億円以下の貯金量を持つ農協は、今農水は多分これを信用事業譲渡するように県だとか県の中央会を通じて迫っている実態があるわけでございますので、この④のような方法を使いながら分離を迫る可能性があると、こういうふうに思ってございます。
 いずれにいたしましても、私の立場からいえば根拠のない未来志向の改正案でございますので、これを徹底、皆様方の御議論に付して問題点をえぐっていただきたいと、こんなふうに思っております。
 私からは以上です。

発言情報

speech_id: 118915007X01520150818_005

発言者: 石田正昭

speaker_id: 23069

日付: 2015-08-18

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会