伊藤惠子の発言 (農林水産委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(伊藤惠子君) 御紹介いただきました宮城県の美里町農業委員の伊藤惠子でございます。
本日は、こうした機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私は、平成十一年、男女共同参画社会基本法が制定されました年に農業委員に就任し、現在五期目であります。また、宮城県農業会議の常任会議員を務めております。平成二十六年からは全国女性農業委員ネットワークの会長も務めさせていただいております。平成十八年に夫婦共同申請による認定農業者となり、平成二十二年には株式会社はなやかを設立し、農業法人として認定農業者になっております。
現在は、役員が五名、社員など十四名で水稲約二十二ヘクタール、野菜二十アールに加え、総菜、菓子、漬物などの加工と販売、農家レストランの経営などを行って、女性の就労の場の確保と六次産業化による収入の拡大を目指して頑張っております。宮城県では、農家レストランなどのアグリビジネス経営体の年間販売目標額を一億円に設定しておりますが、平成二十五年度に到達しております。
私の所属する全国女性農業委員ネットワークは、現在、四十組織で構成されておりまして、平成二十三年、全国の女性農業委員の自主的組織として設立し、女性農業委員の資質向上、とりわけ女性が一人も登用されていない農業委員会の解消、一農業委員会当たり複数の女性の選出に取り組んでまいりました。その結果、現在、全国で約二千六百人、全体の七・二%の女性農業委員が誕生し、女性ならではの視点を生かした農業委員会活動を推進しています。
安倍内閣において全ての女性が輝く社会づくりが掲げられていることは大変心強く、女性農業委員一人一人がそれぞれの地域で女性ならではの感性と生活者の視点を生かし、更なる活動を展開をしてまいりたいと思っております。
本日は、現場で働く女性農業委員の立場から、改正農業委員会法案について五点、意見を述べさせていただきたいと思っております。
まず一点目は、農業委員会法の改正に伴う女性登用の促進についてです。
改正法案では、第八条第七項で、市町村長は、委員の任命に当たっては、年齢、性別に著しい偏りがないよう配慮しなければならないとしてあります。現在、全国に女性農業委員は約二千六百名おりますが、平成の大合併に伴う農業委員数の大幅な減少を受け、女性農業委員も、十七年の約二千名から、十八年には千七百名に減少してしまいました。宮城県でも二十四名に減少しました。その後、関係者の懸命の努力により、現在は、過去最高の二千六百名、宮城県でも八十三名に増加しております。農業会議所と一緒になり、市町村や議会などに出向き、直接要請文を手渡し話をし、その結果であります。それと、女性農業者の懇談会を開きながら、社会参画の意識付けもしてまいりました。
しかしながら、この女性農業委員約二千六百名のうち約八割が、今回の改正で廃止される議会などから推薦された選任委員です。また、この度の改正で農業委員を半分程度にすると言われており、女性農業委員の数は大幅に減少するのではないかと非常に危惧しております。第八条第五項及び第六項関係で、認定農業者が過半数を占めなければならないとありますが、女性は自らが経営者であるか、家族経営協定を結び共同申請をしなければ認定農業者にはなれません。
地域の今後の在り方や振興を考えるとき、女性の声や役割は極めて大きいものがあります。男女共同参画を推進する上でも、今回の改正の性別、年齢に偏りがないようにだけでは、女性農業委員の確保は難しいのではないでしょうか。女性農業委員が減少することのないようにしなければなりません。そのためにも、農業委員定数のうち女性の推薦、募集枠を設定するなど、積極的な登用のための具体的な仕組みを検討すべきであると考えます。
二点目は、農業者の代表性の確保です。
農業委員は、優良農地の確保に加え、農地の利用集積を進めながら、担い手を確保し育てることが大きな任務です。農地は、財産であるだけでなく、先祖伝来、営々と継承してきた地域における貴重な資源であり、かけがえのない財産でもあります。そうした農地を適正に管理し、より良い地域農業を確立するためには、農業委員は農業者から顔が見える、信頼と信用が不可欠であります。
農業委員の公選制は廃止されますが、公選制と同様、農業者からの信任を得た代表性を確保することが農業委員の業務を推進する上で大変重要であると考えております。市町村長による恣意的な選任となっては現場活動に支障が出るおそれがあります。そうならないためには、正当性を持つ、私の地域で言うところの農家組合員や集落営農組織など、地域や関係団体からの推薦を基本とした運用が必要でないかと考えます。
三点目は、農業委員と農地利用最適化推進委員の業務についてです。
推進委員は、受持ちの区域において、農地利用の最適化の業務を行うこととなりますが、農業委員会全体の機能を十分に発揮するためにも、農業委員も、許認可業務に限らず、推進委員と一体となって農地利用の最適化について総力を挙げて取り組むべきであると考えます。重要なことは、農業委員と推進委員ががっちりと連携し、一体となって現場に足を運び、力を最大限に発揮することです。互いの役割を明確にし補完し合う協調、協力体制をつくることが大切であると考えます。
また、改正法案の中では、推進委員は農地中間管理機構との連携に努めなければならないと規定されていますが、農業委員会と関係なく個別に連携すると農地利用調整の現場が混乱するおそれがあります。農業委員会と農地中間管理機構との連携の下での推進委員の取組を明確にする必要があると考えております。
さらに、推進委員の設置に伴い、農業委員を半分程度に減らすと言われておりますが、両者合わせた総数が現状より減員すれば農業委員会の業務自体に支障が出ますし、総数が現状維持のままでは活動の強化は困難になります。両者を合わせた十分な定数確保と財源の措置が必要と考えます。美里町でも、現在の一人当たりの農業委員が担当する面積が二百七十ヘクタールから三百ヘクタールぐらいになっており、農業委員が半数程度に減らされた場合、いかに推進委員がいようとも大変であると考えております。
四点目は、新制度への円滑な移行についてです。
今回の改正法案は、農業委員会が農地利用の最適化の業務により一層の取組を強化するためのものとのことです。新制度への円滑な移行のためには、法案成立後、政省令や通知、施行までの準備や手続などを早急に明らかにするとともに、現場に対し早急にかつ丁寧に説明し、法改正の目的をしっかりと浸透させる必要があると考えます。また、本法案の施行日は平成二十八年四月一日となっており、法律案附則の農業委員会に関する経過措置により平成二十八年三月三十一日まで任期を延長する必要がある農業委員会は、現時点で全国に百九十あります。これらの市町村では、新たな政令基準に基づく農業委員定数について検討を行い、条例を改正する必要があります。条例改正は市町村議会で御協議いただきますが、既に八月末を迎えており、日程的に非常に厳しく、該当する市町村では不安感を募らせております。
先ほどお願いいたしました女性の積極的な登用のための仕組みの検討も含め、新制度への移行に伴う現場の課題は山積みしています。新制度への円滑な移行のためにも、政府として万全の支援とフォローアップを行う必要があると思います。
最後に、法改正後も確実に女性の登用が進むよう、国として御支援をお願いいたします。国が目標としている二〇二〇年度までの女性の社会参画三割になるよう、お願いいたします。
農村現場における男女共同参画の推進に当たっては、農業者自らの意識改革はもちろん、家族や地域への理解を促す取組が重要です。私たち女性農業委員も積極的に働きかけを行ってまいります。このような活動を充実させるためにも、女性農業委員組織の事務局を担う農業委員会ネットワーク機構が行う女性の登用対策への支援の充実をお願いいたします。
法改正により、都道府県農業会議、全国農業会議所は、農業委員会ネットワーク機構として都道府県知事や農水大臣が指定する法人となりますが、経済活動を行わない組織であり、女性の農業委員への登用促進、農地利用最適化、担い手の育成のためには十分な予算の確保が必要であります。
最後に、農業委員は農業、農村の現場を支える重要な役割を担っています。その農業委員がこれまで以上に自信と誇り、やる気、情熱を持って業務を行うことが今後の地域農業の振興につながっていくと考えております。
私たちは地域社会、地域農業を発展させ、農地や農業を次世代にしっかりとバトンタッチしていきたいと考えております。今回の改正案が農業、農村現場が将来に希望の持てるものとなるよう、しっかりと御議論をいただきますことを願っております。
本日はありがとうございました。