下村博文の発言 (文教科学委員会)
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○国務大臣(下村博文君) まず、神本委員は現場で教師をされておられた、その体験からのお話でもありますから、大変に重いものがあるというふうに思います。
おっしゃるとおり、学校教育全体がある意味では子供たちにとって道徳的な環境であるというのはもうそのとおりでありまして、道徳を特別の教科化にすれば、そこだけに特化すればいいという話では全くないというふうに思います。
ただ、一般的にも、やっぱり教育というのは、知育、徳育、体育の三つをバランスよくきちっと教えるべきだと。徳育に対する社会からの、子供たちに対する、学校現場に対する期待というのは大変大きなものがありまして、どんな世論調査でも、道徳についてもっと力を入れるべきだと、あるいは、道徳を特別の教科とすべきだということについては、六割から高いところでは八五%ぐらいのそういう賛成があるということでありまして、なぜそれはそうなのかということを考えると、本来は家庭で徳育の部分についてはきちっとやるべきところが、家庭力が弱くなってきている部分があるし、また地域力も弱くなっている部分があるので、家庭教育、地域教育、学校教育ということであれば、学校教育に対して更に期待をしたいと、そういう表れが道徳をもっと教えてほしいという、そういう世論調査の結果にも出ているのではないかというふうに思います。
ただ、今回、なぜ教科にするということについては、戦前のような修身教育を復活しようということではないということが基本的にあります。これは、今回の道徳の特別の教科化は、昨年十月の中央教育審議会答申、「道徳に係る教育課程の改善等について」を踏まえて行うものでありますが、この答申におきまして、評価という先ほどのお話がありましたが、評価に関しては、児童生徒が自らの成長を実感し、学習意欲を高め、道徳性の向上につなげていくことや、評価を踏まえ、教員が道徳教育に関する目標や計画、指導方法の改善、充実に取り組むことが期待されることなど、一人一人の良さを伸ばし、成長を促すための適切な評価を行うことが必要と提言されていると。これは今までなかったことだと思います。
つまり、先ほどの危惧の中でもお話がありましたが、道徳を他の教科と同じように一、二、三、四、五の例えば通知表で付けるということはやっぱりなじまないということの中で、教科化にすることについては慎重な意見があったわけでありますが、そもそもそういう評価そのものをやめようということからこの中教審の答申もスタートしております。
そして同時に、道徳性は極めて多様な児童生徒の人格全体に関わるものであるから、個人内の成長過程を重視すべきであって、特別の教科道徳について指導要録等に示す評価として数値などによる評価は導入すべきでない、こういう提言がされているというのは今申し上げたとおりであります。
そのために、文科省としては、子供たちがいかに成長したかを積極的に受け止め励ます評価の確立のために、平成二十七年度に評価や道徳教育、発達障害等の専門家による会議を設け、道徳科の評価に関する専門的な検討を行う上で、教師用指導資料の作成や指導要録の改訂を行うこととしております。つまり、他者との比較ではなくて、一人一人の子供がトータル的にどのように伸びているかどうかということについて記述式で教師が書くというような、他者との比較検討ではない。
ですから、さらに、この道徳の時間も、教師が教科書にのっとって一方的に講義をする、説明をするということでなく、まあ、これは道徳だけでなく、これからの我が国において、教育全体、他教科にも必要な部分として、例えばアクティブラーニングというのがあると思います。受け身だけの教育ではなくて、子供たちが自ら積極的な主体性を育むような、あるいはコミュニケーション能力を育むような、そういう意味で、道徳というのは、正義は一つだけではないと、いろんな角度から見たときにいろんな考え方があるという典型的な、それを指導できる科目にもなるのではないかというふうに思いますし、そういうような形で、子供たちの広い意味での徳育、それは、一方的に教師が何か価値観を教科書によって与えるとかいうことではない、そういう新しい道徳ということをこれから是非考えていく必要があるというふうに思います。