柳田稔の発言 (本会議)
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○柳田稔君 民主党・新緑風会の柳田稔です。
会派を代表しまして、財政演説に対し、質問をいたします。
民主党は、年末の衆議院選挙において改選前より多い議席を獲得させていただきましたが、いまだ党勢の回復途上にあり、国民の皆様から十分な信任を得られているとは言い難い状況と痛感しました。
民主党においては、党員、サポーター、地方議員、国会議員により開かれた代表選挙を行い、岡田新代表の下、本格的な活動を開始いたしました。民主党が二大政党制の一翼を担い得る政党として再生できるよう、私もその一員として全力を尽くしていく決意です。
個別政策の議論は重要ですが、よって立つ理念、主義主張を明確にすることこそ政党政治の基本であると考えます。民主党は、いま一度結党時の原点に立ち返り、二年前に決定した綱領に基づいて今後の党活動、政策立案に取り組んでいきます。
民主党は、生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立ち、政治改革、行財政改革、地域主権改革、規制改革など、政治、社会の大胆な変革に取り組みます。
一人一人がかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、全ての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくること、国を守り国際社会の平和と繁栄に貢献すること、憲法の基本精神を具現化すること、国民とともに歩むことに力を注いでいきます。
それでは質問に入ります。
まず、平和と外交についてお尋ねします。
いわゆるイスラム国により日本人が拘束されるという事案が発生しました。罪のない人命を盾に取り、脅迫、要求する残虐で卑劣なテロ行為は絶対に許されるものではありません。非常に厳しい情勢ではありますが、民主党としても、政府の外交努力をしっかり後押ししていきたいと考えています。
中東やイスラム諸国においては、戦後日本の驚異的な経済発展に対する評価と併せて、西洋とは異なる文化や価値観を持ち、また唯一の被爆国として、国際平和に積極的に貢献する日本の姿に対し、好意的な感情を持つ人々が少なくありません。憲法九条に基づく平和主義国家としての日本の外交姿勢が国際的にも高く評価されてきたことがその要因の一つです。
これら日本に対する好意的イメージこそが、日本の有するアドバンテージであり、西欧諸国にはない強みです。これを維持することが今後の対応にとって非常に重要であると私は思いますが、この点、安倍総理の御見解をお伺いします。
さらに、日本の戦後一貫してきた平和主義が安倍内閣で変わるのではないかという点について質問します。
今年は太平洋戦争終結から七十年の節目の年に当たります。安倍総理は、戦後七十年に当たっての談話について、村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継ぐとしつつも、日本としてアジア太平洋地域や世界のために更にどのような貢献を果たしていくのか、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであることを表明されました。
しかしながら、総理の考える積極的平和主義が、これまで以上に自衛隊の海外での活動範囲を広げ、武力による日本のプレゼンスを国際社会に示すことで国際社会にアピールすることが目的だとしたら、それはこれまでの歴代内閣や民主党の立場とは異なるものだと言わざるを得ません。
皆様御存じのとおり、日本国憲法第九条第一項には、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と記されています。すなわち、国際紛争の解決のために武力を用いないことを明確にしているのです。であるからこそ、戦後五十年における村山談話では、責任ある国際社会の一員として国際協調を促進する方針を示すとともに、それだけではなく、武力を用いない国際平和を希求する観点から、国際的な軍縮を積極的に推進していくことが肝要と記されているのです。国際協調と軍縮、これこそが憲法九条の理念に基づいた日本独自の国際貢献策ではないでしょうか。
安倍総理の言う積極的平和主義からは、この観点、すなわち憲法九条に基づく日本独自の国際平和への貢献策に関してオリジナリティーが見えてきません。安倍総理の言うように、歴代内閣の立場を踏襲した談話とするのであれば、この点の有無が重要なポイントです。予定される七十年談話について、総理のお考えをお尋ねします。
次に、核兵器廃絶についてです。
世界唯一の被爆国である我が国は、核兵器廃絶に向けた国際社会の取組において大きなプレゼンスを有しているとともに、多くの国々からの期待を背負っています。我が国は、日本国憲法の根本規範である平和主義を基調にして、戦争による惨禍がこの世界に繰り返されることがないよう、国際社会の平和と安定に全力で取り組んでいかなければなりません。
特に民主党政権時代においては、日本、オーストラリアを主導とする有志国グループにて、軍縮・不拡散ネットワーク、略称NPDIを発足させ、国家横断的なネットワークにて、核兵器や核保有国を増やさない取組に着手しました。NPDIは自民党政権においても引き継がれ、昨年四月には広島にて第八回のNPDI外相会議が開催され、広島宣言が採択されました。また、今年は、五年に一度開催されるNPT再検討会議が開催される予定です。
しかしながら、核兵器廃絶に向けての安倍内閣の取組と意欲は希薄であるとの感を禁じ得ません。総理の掲げる積極的平和主義においては、抑止力強化や防衛体制構築、日米同盟強化、防衛装備等における技術協力などが中心となっています。本来ならば、積極的平和主義とは、唯一の被爆国としてのプレゼンスを生かす等、これら核兵器廃絶の取組こそ中心となるべきではないでしょうか。
そこで、総理にお尋ねいたします。
今年開催予定のNPT再検討会議を始めとして、核軍縮、核兵器廃絶への取組についてどのようにお考えになっておられるのでしょうか。総理の掲げる積極的平和主義における位置付けも含め、総理のお考えをお尋ねします。
次に、自然災害についてお尋ねします。
昨年は、広島市の土砂災害や御嶽山の噴火でも多くの方々が犠牲となりました。亡くなられた皆様に改めて心からお悔やみを申し上げます。
我が国は、地震を始めとする様々な自然災害に常に襲われる国であるという厳しい認識を持たなければならないという思いを新たにしました。政府と地方自治体においても、個々の災害を決して想定外だったということで終わらせるのではなく、従来の想定、行動基準、マニュアルなど、詳細に点検し直す必要があります。
国会でも、昨年、土砂災害防止法の改正案を成立させました。この改正法だけで十分というわけではありません。住民の皆様の理解と協力なくして防災は成り立ちません。
政府においては、国土強靱化の言葉ばかりが躍り、災害対策を地方自治体任せにするのではなく、ソフト面での体制づくりにも力を入れていただき、国と地方自治体、そして住民の皆様が密接に連携できる災害対策こそが求められているところだと考えます。
総理大臣の御見解と、多発する災害に立ち向かう御決意を改めてお聞きいたします。
去る一月十七日は、あの阪神・淡路大震災から二十年という節目の日となりました。天皇皇后両陛下にも神戸にお越しいただき、追悼式典が開かれました。あの震災で犠牲となられた皆様の御冥福を改めてお祈りするとともに、被災地の真の復興とは何なのかを改めて問い直される一日となりました。外遊されていた総理は、陛下御出席の追悼式典を御欠席されました。なぜ二十年という節目の追悼式典を欠席し、外遊されたのでしょうか、お答えください。
戦後最大の都市直下型地震となった阪神・淡路大震災から二十年がたち、国の最高責任者として、この大災害を受けた教訓は一体何だったのか、国としてこうした都市直下型地震災害にどう立ち向かっていくのか、御決意、御見解をお聞きいたします。
東日本大震災から、はや四年の月日が流れようとしています。震災からの復興を進めるに当たっては、もちろん与党も野党もありませんし、党派的対立を持ち込むなどもってのほかでございます。安倍総理は、内閣の基本方針として、復興の加速化を第一に掲げ、まず何よりも閣僚全員が復興大臣であるとの認識を共有し、省庁の縦割りを厳に排し、現場主義を徹底するとしていることは素直に評価いたします。
しかし、被災者の心に寄り添いながら、東日本大震災からの復興、そして福島の再生を更に加速していくと言いながら、あの原発事故以降に福島県に行ったこともない政治家を経済産業大臣に任命したのには驚きました。復興道半ばの昨年の冬、被災各市町村が最も多忙な時期に平然と解散・総選挙を行ったことも理解に苦しみます。
この国会では地方創生なる言葉が躍るのでしょう。以前は成長戦略実現という言葉も躍っていました。被災地の皆様から見れば、こうした躍る言葉の陰で被災地が忘れ去られてしまうのが不安なのであり、地方創生ができれば復興も進む、成長戦略が実現すれば復興も進むでは、いかにも他人行儀に聞こえます。
総理、被災地の皆様に声が届くよう、被災地、そして福島の復興なくして日本の再生はない、震災復興が第一であるとの御決意を改めてお聞かせください。
また、被災各地から聞こえてくる声として、来年度で区切りとなる集中復興期間が延長されるのかどうかという問題があります。先ほども申し上げたように、被災地が忘れ去られるのではないかという漠然とした不安感は日々広がっているように思います。集中復興期間の延長について政府ではどのように検討が進んでいるのか、被災地の皆様に安心して生活の再生に取り組んでいただけるよう、総理大臣の見解をお伺いします。
次に、格差拡大についてお尋ねします。
さきの総選挙においてアベノミクスが争点になりましたが、自民党の、大都市、大企業、富裕層だけが発展して、下にはおこぼれが行けばいいとするトリクルダウンに対して、私たち自身が民主党の経済政策の基本理念をしっかりお伝えすることができなかったと思います。
民主党は、個人の自立を尊重しつつも、格差を是正して、一人一人が能力を発揮しやすい社会をつくっていくことに全力を注ぎます。各地域、中小企業が経済を引っ張っていけるよう、とりわけ若者、女性、高齢者へのきめ細かい支援を行い、厚みのあるボトムアップ経済への転換を図ることが民主党の経済政策の大原則であります。
様々な格差の一つとして、まず都市と地方の格差についてお尋ねします。
都市と地方の格差は、地方都市におけるシャッター街が象徴するように、以前から課題として提起され、これから進む高齢化と人口減によって将来的に全国の地方自治体の半分が消滅する可能性があると指摘されています。都市部との格差が更に広がりかねない地方の活性化は急ぐ必要があります。
しかし、政府の掲げる地方創生は、これまでと同様の国主導の経済中心の視点になっていないでしょうか。国のまち・ひと・しごと総合戦略を見ると、二〇二〇年までの五年間累計で東京圏から地方への十万人の人材還流や地域若者雇用の三十万人創出などの数値目標ばかりが並び、それを実現するための具体的な処方箋は見受けられません。そればかりか、政府の戦略を地方も倣えと地方版の総合戦略の策定を要請し、それに沿ったところに交付金を支給するとすれば、単なる国主導の経済対策にしかなりません。
あくまでも地方創生は、地方の考えで、眠っていた知恵と地域独自の居場所感が十分発揮される仕組みづくりを進めるとともに、それを推し進めるため資金面で国が支えるというスタンスで構築すべきです。
地方創生はどのようにあるべきか、総理に理念をお聞きいたします。
また、二十六年度補正予算案で千七百億円の地方創生先行型新交付金の配分が盛り込まれていますが、二十七年度当初予算ではこのような新交付金は計上されていません。恐らく補正予算で二十七年度も乗り切るということでしょうが、そうした一回限りのような交付金で五年にわたる地方版総合戦略の実施を見通すことは地方にとっても不安な要素です。
自由度の高い一括交付金のような制度を恒久化していく所存があるかどうか、総理にお聞きいたします。
また、補正予算案では、消費喚起や生活支援を目的とした二千五百億円の交付金が新設されました。地元の商店街で使う商品券や、ふるさと名物の購入に使う商品券の発行などの事業が消費喚起効果の高いものとして挙げられていますが、果たして即効性はあるのでしょうか。
二〇〇九年には、経済不安や物価高騰に直面する家計への緊急支援策として定額給付金約二兆円が家計に給付されましたが、内閣府の調査によると受給額の二五%しか消費が増えなかったとされており、効果は限定的であったと見られております。
今回の交付金について、過去の反省は生かされているのでしょうか。総理の見解をお伺いします。
次に、世代間の格差についてです。
社会保障の支出が高齢者に手厚く、子供や子育て世帯には手薄であることなどから、社会保障の世代間格差が指摘されています。そのため、年齢にかかわらず、支える余力がある人がそうでない人を支える観点も取り入れて格差是正を図ることが必要だと考えております。
しかし、安倍政権では、支える余力がない人にも負担を求めることになりかねない検討が進んでいます。例えば、安倍政権は、現在の高齢者の年金と現在の若い世代が将来受け取る年金を調整するため、年金のマクロ経済スライドを物価、賃金の伸びが小さい場合でもフルに発動できるようにすることなどを検討しています。現在の若い世代が将来受け取る年金を確保する、そのことは大変重要な課題でありますが、やり方によっては今の高齢者の年金の目減りが大きくなり、年金受給者の生活が立ち行かなくなってしまうおそれがあります。
マクロ経済スライドを見直すに当たって、具体的にどのような制度設計をお考えなのでしょうか。総理の答弁を求めます。
子供の貧困は特に深刻です。
十七歳以下の子供の貧困率は、二〇一二年に一六・三%と過去最悪を記録し、子供六人に一人が貧困の状態にあると言われています。貧困問題は深刻な社会問題です。
民主党は、中学生までの子ども手当、高校の実質的授業料無償化を実現しました。その結果、高校中退者が激減しました。一方で、昨年八月に子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定されましたが、この大綱では貧困削減に向けた具体的な数値目標は示されず、即効性のある経済支援もありませんでした。
私は、子供の貧困対策こそ早急な対応が必要だと考えております。対策を一年、二年と遅らせるうちに子供は大きくなってしまいます。日本の未来をつくる子供たちの貧困問題について、総理はどう対応するお考えでしょうか。お聞かせください。
働く人の格差も深刻です。
二〇一二年に千八百十三万人であった非正規雇用の人数は、二〇一四年十一月時点で二千十二万人になり、安倍政権で約二百万人増えたことになります。
平成二十五年分の国税庁の民間給与実態統計調査によれば、正規雇用の平均給与が年収ベースで四百七十三万円であるのに対して、非正規雇用の平均給与は何と百六十八万円と、約三百万も格差があります。にもかかわらず、安倍政権は昨年、二度にわたって、正社員と派遣労働者の均等待遇の確保がないまま、派遣労働者を増やす労働者派遣改悪法案を提出しました。低い処遇の非正規雇用労働者が更に増えてしまいます。
労働法制の改悪によって潤うのは、働く人を都合よく使うことばかりを考えている企業なのではありませんか。総理の答弁を求めます。
最後に、民主党は、全ての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな共に生きる社会をつくるために、今国会でも精いっぱい努力していく所存でございます。ここに決意を表明し、私の代表質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕