安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 郡司彰議員にお答えをいたします。
主権回復を記念する式典と憲法施行記念式典についてお尋ねがありました。
政府としては、平成二十五年四月二十八日に主権回復・国際社会復帰を記念する式典を挙行しました。これは、日本国との平和条約の発効による我が国の完全な主権回復及び国際社会復帰六十年の節目を記念し、我が国による国際社会の平和と繁栄への責任ある貢献の意義を確認するとともに、これまでの経験と教訓を生かし、我が国の未来を切り開いていく決意を確固としたものにするという趣旨で行ったものであります。このような未来を切り開いていく決意は、節目ごとに、諸情勢を踏まえつつ確認していくものであると考えています。
憲法施行記念式典につきましては、平成十九年に衆参両院主催で憲法施行六十周年記念式典が開催されたところであります。憲法記念日が国民の祝日として国民に十分に定着していることに鑑み、記念式典を執り行うことについては、時の節目において考慮されるに至っているものと理解しております。
主権の回復及び戦後レジームからの脱却についてお尋ねがありました。
一般に、国際法上、主権とは、国家が自国の領域において有する他の権力に従属することのない最高の統治権のことをいい、国家の基本的地位を表す権利を意味すると承知しています。
我が国は、昭和二十七年四月二十八日のサンフランシスコ平和条約の発効により、主権を回復しました。七年間の占領時代につくられた我が国の基本的な大きな仕組みについては、変えられないと諦めるのではなく、二十一世紀となった今、時代の変化に伴い、そぐわなくなった部分については、自分たちの力で二十一世紀の現在にふさわしい新たな仕組みに変えていくべきと考えております。
現在の日本を形作る基本的原則についてお尋ねがありました。
日本は、戦後七十年間、ひたすらに自由で民主的な国をつくり、法の支配を重んじ、平和国家としての道を歩んでまいりました。そして、そうした土台の上に、世界第三位の経済大国として繁栄を享受し、世界から信頼される国を築き上げてまいりました。このような戦後日本をつくり上げたのは、私たち日本人のたゆまぬ努力の結果であります。
さきの大戦では、祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながらたくさんの方がお亡くなりになりました。その尊い犠牲の上に現在の平和があります。さらに、戦後の焼け野原の中から再び立ち上がり、日本を復興へと導いた先人たちがいました。誰もが頑張れば報われる、そうした真っ当な社会が高度経済成長の原動力となりました。
今を生きる私たちには、先人から受け継いだ世界に誇るべき国、日本を次世代へと引き渡していく大きな責任があります。その責任を果たすため、時代の変化や国際情勢の変化から目を背けることなく、将来を見据えながら改革を進めていく。私は、いかなる困難な改革にも果敢に挑戦していく決意であります。
日本が目指す国の姿と戦後七十年の談話についてお尋ねがありました。
一般に、国とは、一定の領土とその住民を治める排他的な統治機構を持つ政治社会と理解されています。我が国は、戦後、自由と民主主義を守り、人権を尊重し、法を尊ぶ国をつくり、アジアと世界の発展に大きく貢献してまいりました。これからもこの平和国家としての歩みは決して変わることはありません。
安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、戦後六十年の小泉談話を始め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。戦後七十年の談話は、それを前提として作成するものであります。
談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のために更にどのような貢献を果たしていくのか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になっていくのかについて、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであります。
まずは、有識者会議を早期に立ち上げ、二十一世紀の世界の在り方、その中で日本が果たすべき役割等について大いに議論していただき、政府として検討していきたいと考えております。
TPP交渉における国会決議、影響評価及び支援プログラムについてのお尋ねがありました。
TPP交渉については、衆参の農林水産委員会の決議をしっかりと受け止め、いずれ国会で御承認をいただけるような内容の協定を早期に妥結できるよう交渉に当たっております。
また、交渉内容の影響評価や支援プログラムについては、現在、交渉に全力を挙げている中で、交渉の結果を予断するようなことを申し上げるのは適切ではありません。
TPP交渉は最終局面を迎えております。いずれにせよ、守るべきものは守り、攻めるべきものは攻めることにより、国益にかなう最善の道を追求してまいります。
雇用制度改革についてお尋ねがありました。
政府が検討を進めている労働時間制度の見直しは、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、生産性の向上を図るものであります。提出を予定している労働者派遣法改正案も、派遣労働者のキャリアアップなどを通じ、生産性の向上に資するものと考えています。
新規学卒者を取り巻く雇用環境については、新規高卒者の内定率がバブル景気時並みの高水準、また、新規大卒者での非正規雇用の割合が減少し、改善してきています。こうした動きを加速し、未来を担う若者が安心して働ける環境づくりを進めるため、若者雇用対策に係る法案の検討を進めてまいります。
安倍内閣としては、これらの雇用制度改革を通じ、働きたいと希望するあらゆる人が、ワーク・ライフ・バランスを確保しながら、安心して働き、家庭を持つことのできる社会を目指してまいります。
日本型雇用などについてお尋ねがありました。
我が国の人事雇用管理には人を大切にするという優れた点があり、そうした点を失うことなく、企業の収益を伸ばし、働く方々にその成果が還元されるようにすることが重要であると認識しています。
このため、検討を進めている労働時間制度の見直しでは、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、多様で柔軟な働き方を進め、労働生産性の向上を図るため、新たな制度を導入することなどを検討しています。
また、提出を予定している労働者派遣法改正案においては、正社員を希望する派遣労働者について正社員の道が開けるようにするとともに、自らの働き方として派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図ることとしております。
安倍内閣としては、働く方の個々の状況に応じ、あらゆる人が生きがいを持って創造性を発揮できる環境をつくってまいります。
協同組合の役割についてお尋ねがありました。
我が国には、自助自立を基本としながら、不幸にして誰かが困っていればみんなでこれを助けるという共助の精神が生きています。我が国の協同組合は、こうした助け合いの理念の下で、消費者や中小企業などを対象に様々なタイプのものが設立されています。
農協は、農業者の協同組合であり、農業者が農産物の販売や生産資材の購入などを共同で行うことで農業者がメリットを受けるのがその中心的な役割であります。一方で、地域のインフラとしての側面を持っているのも事実であります。
今般の農協改革においては、地域農協が地元の企業と連携した加工品の開発など自由な経済活動を行うことにより、農業の成長産業化、農村地域の活性化に更に重要な役割を果たすことを期待しています。
行政と農協との関係についてのお尋ねがありました。
農産物の生産振興など様々な面の農業政策を推進するに当たって、行政と農協は連携して取り組んできました。一方で、農業者の高齢化、農業生産額の減少など、我が国の農業の活性化は待ったなしです。規制改革会議の議論を待つまでもなく、農協を含めた農政への危機感を強く抱いていたところです。
このため、安倍内閣では、農政全般にわたって抜本的な改革に取り組んでまいりました。その中で、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮して、ブランド化や海外展開を図っていける体制に移行することにしましたが、これが今般の農協改革の主要な目的です。こうした改革を進めることにより、農家に一番近い地域農協が本来の役割を発揮し、地域農業、地域経済の発展のために大きな役割を果たしてもらいたいと考えています。
過去の農政の認識についてお尋ねがありました。
これまで歴代の内閣において、時々の課題に応じて、米の生産調整を始め様々な施策を展開してきましたが、農業生産額の減少と高齢化の進展、耕作放棄地の増加等の構造的な問題は顕在化したまま、我が国の農業の活性化は待ったなしの課題となっています。
このため、安倍内閣では、農地集積バンクによる農地の集積、輸出、六次産業化の推進による付加価値の向上、四十年以上続いてきた米の生産調整の見直しなどの農政改革に力を注いできたところであります。
さらに、今般、意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境となるよう、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行います。特に農協改革については、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮して、ブランド化や海外展開など自由な経済活動を行うことにより、農業者の所得向上に全力投球できるようにします。
政策を総動員して改革を進め、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、農業の可能性は広がり、農家の所得も増えていくと確信しております。
閣僚の任命責任に関する質問がありました。
政治資金については、政治家としての責任を自覚し、国民に不信を持たれないよう、常に襟を正し、説明責任を果たしていかなければならないと考えております。
西川大臣に関する報道については、既に西川大臣が説明しているとおり、政治資金規正法上は問題ないと承知しております。西川大臣には、農林漁業者の所得を向上させ、農山漁村のにぎわいを取り戻すという大目標に向かって、農協改革を始めとする諸課題について、引き続き職務に邁進してもらいたいと考えております。
若者の投票率についてお尋ねがありました。
総選挙が低投票率となったことは大変残念です。その原因は、様々な事情が影響したものと考えますが、特に若い世代については、投票しなかった理由に、そもそも選挙に関心がないことを挙げた割合が高いという調査結果もあり、大変憂慮すべきことであります。
国民の政治への関心を高めることについては、与党も野党もありません。大切なことは、各政党や候補者が具体的な政策の違いを国民の前で明らかにし、正々堂々と建設的な議論を行うことであります。民主党の皆さんとも、国民が政治に引き付けられるような議論を是非ともさせていただきたいと考えております。
若い世代への啓発についてお尋ねがありました。
選挙権年齢引下げが実現し、若者の声が政治に反映されることは大変意義のあることであります。若い世代の投票率の向上に向けて最も重要なことは、国や社会の問題を自分の問題として捉え、考え行動していく主権者を育てることであると考えております。
幅広い御提案もいただきましたが、政府として、まず、学校教育と選管、地域が連携し、あらゆる機会を通じて主権者教育を進めてまいります。
平成二十七年度予算と財政健全化目標についてのお尋ねがありました。
今般の予算編成においては、平成二十六年度補正予算について、景気の脆弱な部分に的を絞り、補正予算の繰越しによる平成二十七年度の基礎的財政収支への影響を最小限に抑えました。また、平成二十七年度予算について、社会保障の自然増を含め聖域なく見直し、歳出の徹底的な重点化、効率化を行ったところであります。こうした取組もあり、二〇一五年度の財政健全化目標の達成が見込めます。なお、平成二十七年度において補正予算を編成することは想定しておりません。
また、二〇二〇年度の財政健全化目標についてもしっかりと堅持し、本年の夏までにその達成に向けた具体的な計画を策定いたします。その際、歳出改革については、歳出全般にわたり聖域なく徹底的な見直しを行ってまいります。
社会保障関係費についてお尋ねがありました。
世界に冠たる国民皆保険・皆年金を始めとする社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくため、不断に改革を進めていくことが必要です。
平成二十七年度予算では、消費税増収分を活用し、子ども・子育て支援新制度の予定どおりの施行など社会保障の充実を図る一方、制度を持続可能なものとしていくため、経営の実態を踏まえた介護報酬の改定、協会けんぽへの国庫補助の見直しなどの取組を行うこととしています。
今後とも、いわゆる団塊の世代の全員が七十五歳以上になる二〇二五年を展望しつつ、社会保障制度改革推進会議で議論をいただきながら、改革を着実に進めていきたいと考えております。
最近の為替の動向と財政再建の取組についてのお尋ねがありました。
為替の水準等について言及することは差し控えますが、その上で、一般論として申し上げれば、為替相場の円安方向への動きは輸出企業や海外展開をしている事業者等にとってはプラスとなる一方で、円安方向への動きに伴う輸入価格の上昇は原材料価格の上昇等を通じてマイナスの影響を及ぼすなど、経済に対して様々な影響を与え、結果として財政に対しても一定の影響を与えるものと考えられます。
いずれにしても、安倍内閣としては、我が国に対する信認を確保するため、経済再生と財政健全化の両立にしっかりと取り組んでまいります。
地方への支援の手法についてお尋ねがありました。
今般の地方創生は、活力ある日本社会を維持するため、あらゆる施策を総動員して、集中的に切れ目なく講じることにより、人口減少の克服と地域活性化を一体として実現することを目指すものであります。これまでの施策の検証も踏まえ、国の示す枠組みに一律に当てはめるという手法をやめ、自立を目指す地方の主体的な取組を国が強力に後押しすることとしております。
また、府省ごとの縦割りを排し、ワンストップの施策推進を行うとともに、雇用、移住など全ての政策に具体的な成果目標を設定し、国、地方共に徹底した効果検証を行うこととしております。
平成の市町村合併についてお尋ねがありました。
平成の合併について、その効果や課題が指摘されておりますが、政府としては、これらも踏まえ、全国の市町村に対し助言や情報提供をするとともに、その実情の把握に努めてきたところです。
合併した市町村においては、行財政の効率化が図られ住民サービスが向上したという効果も認められており、今後、更に一体感を強める努力が続けられ、名実共に一つの自治体となり、その地域が発展していくものと考えております。
地方創生の目指す地域社会の姿についてお尋ねがありました。
地方創生では、地方自らの主体的な取組が極めて重要です。地方の皆さんが地域の資源の活用について知恵を絞り、地方版総合戦略を策定し、実施していただくことにより、それぞれの地域に適した地方創生の実現を目指します。
国は、やる気のある地方の創意工夫を全力で応援するという方針に基づき、地方の取組に対し、予算、税制、人材等、あらゆる方策を使って後押ししていくこととしており、総合戦略は地方への様々な支援メニューを取りまとめたものであります。国と地方が連携して取り組み、地方で暮らすことが人生を豊かにすると思える地域社会をつくってまいります。
邦人殺害テロ事件への対応についてお尋ねがありました。
政府としては、昨年八月十六日に湯川さんが、また、昨年十一月一日に後藤さんが行方不明となられたことを把握した直後から、官邸情報連絡室、外務省対策室、警察庁連絡室及びヨルダンの現地対策本部において、政治状況のいかんにかかわらず、常に人命第一の立場に立ち、お二人の安全のために何が最も効果的な方法かとの観点から、関係各国と緊密に連携し、あらゆるチャンネルを最大限に活用し、全力を尽くしてまいりました。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕