安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦後七十年談話についてお尋ねがありました。
安倍政権としては、戦後五十年の村山談話、戦後六十年の小泉談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、今後も引き継いでいく考えであります。戦後七十年の談話は、それを前提として作成するものであります。
談話の内容については、さきの大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、日本としてアジア太平洋地域や世界のために更にどのような貢献を果たしていくのか、次の八十年、九十年、百年に向けて日本はどのような国になっていくのかについて、世界に発信できるようなものを英知を結集して考え、新たな談話に書き込んでいく考えであります。
まずは、有識者会議を早期に立ち上げ、二十一世紀の世界の在り方、その中で日本が果たすべき役割等について大いに議論していただき、政府として検討していきたいと考えております。
さきの総選挙をどう総括するかについてお尋ねがありました。
さきの総選挙において、私たちは、この道しかないと訴えてまいりました。そして、再び連立与党で三分の二を上回る議席をいただけたことは、引き続きこの道を真っすぐに進んでいけと国民の皆様から力強く背中を押していただけたものと考えております。信任という大きな力を得て、選挙で国民の皆様にお約束した政策を一つ一つ確実に実現してまいります。国民の負託に応えるため、全力を尽くしてまいる所存でございます。
同時に、三分の二という議席の重さをかみしめ、今後、国民から、より一層厳しい目線が私たちに注がれていることを強く意識しなければなりません。私たちが数におごり、謙虚さを失うことがあれば、国民の支持は一瞬にして失われてしまうでしょう。これまで以上に緊張感を持ち、政府・与党が一体となり政権運営に当たってまいる決意であります。
消費税率引上げ延期と個人消費の予測についてのお尋ねがありました。
三本の矢の政策により、経済の好循環が確実に生まれ始めています。
他方、昨年四月の消費税率八%への引上げ等を背景に、個人消費等に弱さが見られ、実質GDP成長率は、昨年四—六月期から二四半期連続でマイナスとなりました。こうした状況も踏まえ、アベノミクスの成功を確かなものとするため、消費税率一〇%への引上げを十八か月延期することとしました。
昨日公表された昨年十—十二月期のGDP速報では、三四半期ぶりに実質GDPが前期比プラス成長となり、二四半期連続で個人消費が前期比プラスとなるなど、前向きな動きが見られ始めています。
また、今月閣議決定した政府経済見通しにおいては、平成二十七年度の我が国経済は、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれ、実質GDP成長率は一・五%程度、個人消費は二%程度の増加を見込んでおります。
平成二十九年四月の一〇%への引上げを確実に実施するため、経済運営に万全を期し、経済再生と財政健全化の両立を目指してまいります。
財政健全化への決意についてお尋ねがありました。
安倍内閣としては、経済再生と財政健全化の両立を目指しております。二〇二〇年度の財政健全化目標はしっかりと堅持し、その目標達成に向け、デフレから脱却し、経済再生により税収を増やす、無駄削減など徹底した行財政改革もしっかりやるなど、歳出歳入両面にわたり取り組んでまいります。社会保障についても、効率化、合理化や重点化を進めてまいります。本年夏までに目標達成に向けた具体的な計画を策定いたします。
農業改革についてお尋ねがありました。
農業は、日本の美しいふるさとを守ってきた国の基であり、一方で、我が国の農業の活性化は待ったなしです。農業の成長産業化を図るため、安倍内閣では、農地集積バンクの創設、輸出、六次産業化の推進、米の生産調整の見直しなど、農政改革に力を注いできました。
さらに、今般、意欲ある農業の担い手が活躍しやすい環境となるよう、農協、農業委員会、農業生産法人の三つの改革を一体的に行います。特に農協改革については、意欲ある担い手と地域農協が力を合わせ、創意工夫を発揮して、ブランド化や海外展開など自由な経済活動を行うことにより、農業者の所得向上に全力投球できるようにします。
こうした改革を進め、消費者ニーズに応えた強い農業をつくり上げていけば、農業の所得も増えていきます。若者が自らの情熱で新たな地平を切り開く、強い農業と美しく活力ある農村を実現できると確信しております。
TPP交渉についてお尋ねがありました。
日米協議については、いまだ多くの課題が残っており、現在、まさに着地点を探っているところであります。政府としては、守るべきは守り、攻めるべきは攻めていくことによって、国益にかなう最善の道を追求し、TPPの早期妥結に向け、最大限努力してまいります。
労働規制の改革についてお尋ねがありました。
政府が検討を進めている労働時間制度の見直しは、ワーク・ライフ・バランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、多様で柔軟な働き方を進めるものであります。若い人を含め、働き過ぎの是正を図るため、企業に対し、働く人の意見を聞いて休暇を指定することの義務付けや、中小企業における時間外労働への割増し賃金率の引上げなどを検討しています。
また、若者が社会に出て職に就く際、自らにふさわしい仕事を選べるようにするため、新たな法案の検討を進めています。
また、提出を予定している労働者派遣法改正案においては、正社員を希望する派遣労働者について正社員への道が開けるようにするとともに、自らの働き方として派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図ることとしています。
安倍内閣としては、こうした雇用制度改革の意義を国民にしっかり説明するとともに、あらゆる人が生きがいを持って活躍の場を見出すことのできる社会を目指してまいります。
世界の経済情勢と我が国の取るべき道についてお尋ねがありました。
世界経済は、中国や一部の新興国に弱さが見られるものの、アメリカの回復が続いていることなどから、全体としては緩やかに回復していると見られます。
こうした中、安倍内閣においては、デフレ脱却を目指し、三本の矢の政策を進めることにより、経済の好循環が確実に生まれ始めています。昨日公表された昨年十—十二月期のGDP速報でも、三四半期ぶりに実質GDPが前期比プラス成長となっています。
先週のG20財務大臣・中央銀行総裁会議のコミュニケにおいては、我が国経済について、回復が緩慢であるとされている一方、回復は続いているとの記載がなされたものと承知しています。また、同会議においては、各国がそれぞれの成長戦略を実施することとされたものと承知しています。
経済の好循環を確かなものとし、景気回復の実感を全国津々浦々に届けるため、まずは、平成二十六年度補正予算を迅速かつ着実に実行してまいります。そして、農業、雇用、医療、エネルギーといった分野で大胆な規制改革を断行し、成長戦略をスピード感を持って確実に実行、実現してまいります。
社会保障改革についてお尋ねがありました。
消費税率の引上げは、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡していくためのものであり、その増収分は全額、社会保障の充実、安定化に充てられ、国民に給付されます。平成二十七年度予算案では、消費税率一〇%への引上げは延期しましたが、施策の優先順位を付け、四月から、子ども・子育て支援新制度の予定どおりの実施、国民健康保険の財政基盤の強化、地域包括ケアシステムの構築に向けた更なる取組や認知症施策の推進、難病対策などを行うこととしております。
一方、限られた財源の中でこれらの対応を行うため、低所得者への福祉的給付など年金関係の充実については、法律の規定どおり、消費税率一〇%への引上げ時に実施することに加え、低所得者の介護保険料の軽減について二段階に分けて実施することとしました。
受益と負担の均衡が取れた持続可能な社会保障制度を確立するため、改革の考え方や内容がしっかり国民の皆様に伝わるよう努めながら、社会保障改革プログラム法に沿って改革を着実に進めてまいります。
年金制度についてお尋ねがありました。
昨年行った公的年金の財政検証においては、日本経済が再生し、女性や高齢者の労働市場への参加が進めば、現行の年金制度の下、将来的に所得代替率五〇%を確保できることが確認されました。このため、高齢者や女性が安心して働ける環境の整備を進め、持続的な成長を目指してまいります。
また、年金制度に関し、社会保障改革プログラム法で明示された検討課題について、制度の持続可能性とセーフティーネット機能の強化などの観点を踏まえ、検討を進めてまいります。
国内製薬企業の競争力強化等についてのお尋ねがありました。
医薬品産業は、国民の健康、医療の向上に寄与するとともに、高付加価値型、知識集約型産業であり、今後の経済成長の中核となる重要な産業と期待しています。
政府としては、研究機関等の優れた研究成果を確実に実用化につなげていくため、臨床研究、治験環境の整備、承認審査の迅速化などの取組を行っていきます。企業においては、革新的医薬品を提供できるよう、国際競争力の強化に向けて、産業再編を含め、的確な事業展開を図っていただきたいと考えています。
再生医療についてのお尋ねがありました。
iPS細胞を始めとする再生医療の実用化については、日本再興戦略等に位置付け、政府を挙げて推進してきたところであり、昨年九月、世界で初めてiPS細胞を用いた患者への移植手術が行われるなど、大きな成果を上げてまいりました。
政府としては、世界に先駆けていち早く再生医療を提供できるよう、再生医療を行う医療機関から企業に対し細胞培養加工の委託を可能にするなど環境整備を図るとともに、関係省庁が連携し、基礎研究から臨床段階まで切れ目なく一貫した研究開発助成を行うなど、再生医療の実用化に向けて全力で取り組んでまいります。
インフラの点検、管理についてお尋ねがありました。
インフラについては、一部に、建設年度が古いことなどにより台帳への記載が不十分なものや、人員や予算面の制約から点検が十分に行われていないものなどがあると認識しています。
政府としては、平成二十五年十一月に策定したインフラ長寿命化基本計画に基づき、管理者ごとに行動計画を策定し台帳の整備を進めるとともに、例えば道路橋については五年に一度の定期点検をルール化するなどの取組を進めております。あわせて、地方自治体等が適切に点検等を実施できるよう、防災・安全交付金による財政支援を行うことなどにより、インフラの点検、管理に万全を期してまいります。
都市型災害への対応についてのお尋ねがありました。
我が国は、場所を問わず様々な災害が発生しやすい環境にありますが、特に人口、社会インフラが高度に集積する都市部においては、それに起因して被害が甚大となるおそれがあります。そのため、都市部における施設の耐震化、地下調整池の整備、地盤改良等の液状化対策など災害に強い社会インフラの整備を進めるとともに、企業等の事業継続に係る取組や一時滞在施設の確保等の帰宅困難者対策の推進などに努めているところです。
今後も、これらのハードやソフトの対策を適切に組み合わせた総合的な防災対策を政府一丸となって取り組んでまいります。
原発再稼働についてお尋ねがありました。
川内原発一、二号機及び高浜原発三、四号機を含め、原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発については、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいります。
水素ステーションの普及に向けた支援策についてのお尋ねがありました。
燃料電池自動車の普及には水素ステーションが不可欠です。水素ステーションの円滑な普及には規制改革や技術開発が重要です。私は各省庁にまたがる規制を一挙に改革し、昨年、世界に先駆けて商業用の水素ステーションが実現しました。
今後とも、規制改革会議も活用し、セルフスタンドの実現など更なる規制改革や技術開発に着実に取り組みます。加えて、導入期のコスト高に対応するため、今回の補正予算も活用し、財政的な支援を強力に進めてまいります。
原油安に対する方策についてのお尋ねがありました。
溝手会長の御指摘のとおり、原油安のメリットが国内エネルギー価格に正確に反映されることが重要であると考えます。国内のガソリン小売価格は昨年七月から下落していますが、その下落幅は、その間の輸入原油価格の下落幅におおむね相当しています。
電気料金についても、燃料費調整制度を通じて、一部の電力会社では原料価格の下落を反映して既に下がり始めています。今後も適切に反映されるよう注視してまいります。電気料金の値上げ申請に対しては、原油価格の下落も踏まえ、適切な原価となっているか、厳正に審査してまいります。
他方、この原油価格の下落が、資源開発投資の抑制等を通じて、再びエネルギー需給が逼迫する可能性を十分に考慮する必要があります。このため、省エネルギー、再生可能エネルギーの推進、資源権益の確保等のエネルギー対策に決して手綱を緩めることなく取り組んでまいります。
近隣諸国との外交についてお尋ねがありました。
中国とは、北京での日中首脳会談で戦略的互恵関係の原則を確認し、関係改善に向けて大きな一歩を踏み出しました。今後、様々なレベルで対話を深めながら、大局的な観点から、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えてまいります。
韓国は、最も重要な隣国です。日韓国交正常化五十周年を迎え、関係改善に向けて話合いを積み重ねてまいります。日韓間には難しい問題がありますが、だからこそ、前提条件を付けずに首脳レベルでも率直に話し合うべきです。私の対話のドアは常にオープンであります。
ロシアとは、プーチン大統領の訪日を本年の適切な時期に実現したいと考えております。これまで十回にわたり行ってきた首脳会談の積み重ねを基礎に、幅広い分野で協力を進めながら、平和条約の締結に向けて粘り強く交渉を続けてまいります。
北朝鮮には、拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決を求めます。最重要課題である拉致問題については、引き続き北朝鮮に対して、迅速に調査を行い、速やかにかつ正直に結果を日本に通報するよう強く求めていく考えであります。全ての拉致被害者の帰国に向けて、対話と圧力、行動対行動の原則を貫き、全力を尽くしてまいります。
邦人殺害テロ事件の教訓と、今後取るべき方策についてのお尋ねがありました。
テロ対策については不断の見直しが必要です。今回の事案に対する対応については、先日立ち上げた検証委員会の下、現在、政府部内において検証作業を進めているところであります。有識者の方々からの御意見も聴取して、最終的に検証結果を取りまとめたいと考えております。この検証作業を通じて、国際テロ事案に対する在留邦人の保護や今後のテロ対策の在り方についてしっかり検討してまいります。
自衛隊による在外邦人の救出についてお尋ねがありました。
今や、海外に住む日本人は百五十万人、さらに年間千八百万人の日本人が海外に出かけていく時代です。これら邦人が危機にさらされたとき、その救出について対応できるようにすることは国として当然の責務です。法制度の不備により邦人の命を守れないということはあってはなりません。このため、政府としては、領域国の受入れ同意があることを前提に、自衛隊による邦人救出を行い得るよう法整備を行ってまいります。
もとより、このような自衛隊の活動は武力の行使を伴うものではなく、あくまでも警察的な活動の範囲内で行うものです。実際の救出活動に際しては、領域国政府との協力は必要不可欠だと考えています。米国を始めとする諸外国との協力も重要な課題であり、円滑かつ効果的な活動のための実施体制についても政府全体で検討を行ってまいります。
以上、溝手顕正議員の質問にお答えいたしました。(拍手)