尾立源幸の発言 (本会議)

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○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸です。
 会派を代表して、所得税法等改正案について質問をいたします。
 まず、数字を挙げたいと思います。一千二百億九千七百八十四万円、大変大きな数字ですが、皆さん、何の数字かお分かりでしょうか。これは、試験研究費に関して租税特別措置による一企業グループへの減税額です。一つの企業グループへの減税額が一千二百億円を超えているのです。この租税特別措置の問題点については、後ほど改めて指摘します。
 さて、本法案の一番の大項目は法人税減税です。私たちは、今回の法人税減税は実施すべきではないと考えます。これからその理由について述べますが、政府として、それでも法人税減税が必要だという理由があるのならお聞かせください。財務大臣に伺います。
 私たちの立場を明確にしておきますと、法人税減税そのものに反対しているわけではありません。現に、私は財務大臣政務官として、成長を促すために法人税率引下げの取りまとめに関わりました。もちろん、財源もしっかり確保しました。ただし、この法人税率引下げは二十六年度から実施したばかりで、現段階で減税の効果の検証がまだ十分にできていません。減税の影響と効果をしっかり見極める前に更なる税率引下げを行うことは、筋が通らず、企業の歓心を買うためにとにかく減税したと言われてもしようがありません。
 私たちは、もうかっている企業から税金をがっぽり取れるだけ取ればよいなどとは決して考えていません。財政難の中、減税も含め、限られた財源をしっかりと効果的に使う必要があるのです。
 今回の法人税減税は、二年間、減税のみが先行で行われるため、二年間で四千百二十億円の歳入の欠陥を生じます。安倍政権の法人税減税は今回だけではありません。思い出してください。昨年、個人の負担、すなわち復興特別所得税は残したまま、復興特別法人税だけを前倒しで廃止しており、ここで六千四百五十三億円の減税となっています。つまり、安倍政権は、一連の法人税減税で一兆円以上の減税をしようとしているのです。
 そもそも、復興特別税は、復興を国民みんなで成し遂げるために、財源もみんなで負担しようという理念で決めたものです。これを無視して、とにかく法人税率を引き下げて企業優遇しようという安倍政権の姿勢は正しいでしょうか。財務大臣に伺います。
 東日本大震災から四年が経過しました。ある報道機関の調査によりますと、安倍政権の復興への取組を評価する人は三割にとどまり、六割の人が評価しないと回答しています。復興特別法人税の前倒し廃止に見られるように、全国民が被災地に寄り添い、一緒に復興を成し遂げていくという意識が安倍政権にないことが国民に見透かされていると考えますが、財務大臣はいかがお考えでしょうか。
 続いて指摘したいのが、冒頭に挙げた租税特別措置、いわゆる租特の問題です。
 租特は、英語ではタックスエクスペンディチャー、すなわち租税支出と言われます。租税支出という観点及び政策の効果を検証するために租特の適用実態を明らかにすべきと考え、私たちは、政権獲得後、いわゆる租税特別措置透明化法を成立させ、様々な租特の適用実態を明らかにしました。その結果、冒頭に挙げたように、一つの企業グループに対して一千二百億円もの減税が明らかになりました。
 しかし、これだけでは十分ではありません。現状では、この一千二百億円の減税を受けている企業グループが昨年や一昨年はどのぐらい減税を受けていたかという経年変化が分かりません。税を減免する租特は税による支出であり、国民の理解、納得を得ることが不可欠です。租特の利用状況や利用の偏りを把握するために、経年変化を把握する手段として毎年固定の企業コードを付けることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。財務大臣に伺います。
 次に、安倍政権による企業減税に加えて、自民党への企業・団体献金について指摘します。
 大手企業の代表である経団連は、昨年九月に、安倍政権と徹底的に手をつなぐとして、会員企業に対して自民党への企業献金の呼びかけを行うことを明らかにしました。かつて年間百億円を献金していた時代のあっせんをほうふつさせるものです。
 報道では、民主党政権時代に減った総額十億円の献金を呼び戻すことが目標だと伝えられています。二〇一三年度は、自民党の政治資金団体である国民政治協会への企業、団体からの献金は十九億五千万円で、これに十億円を足すと二十九億五千万円、一・五倍にもなります。
 安倍政権による一兆円以上の法人税減税と経団連などによる企業・団体献金の増加は、少なくとも時期的には関連があるように見えます。大人の論理として、いろいろと理屈による言い訳はできるかもしれませんが、その論理を子供の目を見て言えるのでしょうか。一兆円を超える法人税減税を行う前に、ほかにやるべきことがあるというのが私たちの立場です。
 まず取り組むべきは教育への投資であり、貧困問題の解決です。
 昨年、ある新聞記事が話題となりました。北九州に住む四十歳のフリーターの方が、借りた奨学金を返済できないため自己破産したというものです。
 返済猶予制度や減額返済制度の導入など、政府の努力は一面では認めます。しかしです。無利子奨学金については、二十七年度予算案で、増額とはいえ、百二十五億円の増額にとどまっております。
 また、返せなくなった方へのフォロー体制は十分でしょうか。少なくとも先ほど例に挙げたフリーターの方はなぜ自己破産までしなければならなかったのか。三か月以上延滞している方々へのフォロー体制にもしっかりと予算を組む必要があると考えますが、財務大臣はいかがお考えでしょうか。
 貧困問題については、一人親家庭の子供の貧困問題を取り上げたいと思います。
 既に皆様御存じのとおり、一人親家庭の子供の貧困率は五割を超えています。半数以上が百二十二万円以下の世帯収入で暮らしています。一人親家庭のお母さん、お父さんは一生懸命働いていても苦労をしています。
 厚生労働省のひとり親家庭等福祉対策関係予算案では、二十七年度については二千二百五十二億円の予算案が計上されていますが、二十六年度に比べて十三億円減額されています。貧困の連鎖を防ぐためにもっともっと必要な予算を確保するべきと考えますが、財務大臣のお考えを伺います。
 母子家庭の平均年間就労収入は百八十一万円です。児童扶養手当もありますが、真面目に働く一人親について、例えばヨーロッパでも活用されている勤労税額控除制度を導入し、収入の底上げをする必要があると考えますが、財務大臣の見解はいかがでしょうか。
 生産年齢人口が減少する中、何よりも、教育や人への投資こそが真の成長戦略ではないでしょうか。企業にも、世界で活躍してもらい、活発な経済の担い手になってもらう必要がありますが、その経済を支える人が困窮していては、幾ら企業が潤い、投資をしても社会は継続的には成り立たないのです。
 安倍総理は、企業が世界で一番活動しやすい国を目指すとおっしゃいますが、私たちは、真面目に頑張る働く人たちが一番幸せを感じられる国にすることが大切だと考えています。今やるべきことは、法人税減税ではなく、貧困の連鎖を止め、若者の教育、人への投資をすることこそ真の取るべき政策だと考えますが、財務大臣、いかがでしょうか。
 企業減税をする一方で、貧困対策、若者対策を十分に取らない安倍政権ですが、今年の四月からは、軽自動車税を増税するという地方の人々に対する配慮がない税制改正を実行します。
 私たちは、今回の政府提出法案に対して衆議院に対案を提出しましたが、そのうちの一つが軽自動車税増税の取りやめです。私たちは、自動車関連税制については、車体課税の抜本見直しなどユーザーの立場に立った税制改正を主張してきました。自動車ユーザーの多くは地方に住んでおり、地方では車は日常の足です。その日常の足をしっかり守ることが地方の活性化にもつながると考えているからです。
 しかし、安倍政権は、車体課税を抜本的に見直さないばかりか、この四月から軽自動車税の増税を実行するのです。これが地方を大切にという政権の取る政策でしょうか。法人税減税を行う一方で、地方には景気回復の波も行き渡らない中で、地方で重宝されている軽自動車税の増税を行うことは、言っていることとやっていることが真逆だと言わざるを得ません。総務大臣の見解をお聞かせください。
 続いて、消費税について質問をいたします。
 消費税の逆進性を緩和する観点から、減収などのデメリットが多い複数税率ではなく、必要な方に支援がしっかりと届く消費税の払戻し措置を導入すべきと考えています。複数税率にすると、減税の効果は高所得者層にも及ぶため真の逆進性対策とならず、また、一部の品目について税率を軽減するため税収不足が生じ、税収を確保するためにヨーロッパなどのように標準税率を高く設定しなければなりません。また、中小企業にとっては事務手続が非常に煩雑になるという問題点もあります。
 そもそも、三党合意で成立した法律上は、複数税率だけでなく、給付付き税額控除についても検討すべしとなっていますが、政府における給付付き税額控除に関する検討状況はどうなっているのでしょうか。財務大臣に伺います。
 また、複数税率のような後世に大きな禍根を残す制度は導入すべきではないと考えますが、財務大臣の見解はいかがでしょうか。
 最後に、外交について指摘したいと思います。
 安倍総理は、就任以来積極的に外国を訪問しておられ、訪問国は五十四か国・地域、延べにすると六十六か国・地域に上ります。訪問の際に総理は様々な資金援助を約束しておられ、単純集計すると、その額は二〇一三年には九千百億円、二〇一四年には一兆五千二百億円にも上ります。資金援助は外交の重要なツールの一つですが、お土産をばらまくことで訪問国から相手にしてもらうのではなく、何より大切なことは、相互の信頼関係に基づいて外交を行うことだと考えます。
 この資金援助が相手国に問題を引き起こすこともあります。
 一例を挙げると、インドネシア・バタン石炭火力発電事業はJBICによる融資が検討されていますが、現地において多くの人々が反対をしており、インドネシア国家人権委員会も土地買収をめぐって人権侵害に関する勧告を出しています。このような状況は、JBICの融資ガイドラインである社会的合意に反していませんか。
 今日までインドネシア大統領が来日しておられますが、人権侵害の指摘も含めて、バタン石炭火力発電事業について、現状をどのように把握し、今後どう対応するのか、JBIC所管大臣として財務大臣の見解を伺います。
 せっかく日本の貴重なお金を使っても、ニーズに合わない支援を行うことは、何の感謝もされないばかりか、むしろ反発されてしまいます。外交でお金をばらまくのが一番楽な方法ですが、簡単にお金をばらまき、未来にツケを残すのではなく、我が国のすばらしい知恵と工夫と誠意を最大限活用して世界に貢献しようではありませんか。
 改めて、将来世代にツケを残さず、借金を先送りせず、限られた日本のお金をより生かす形で使うべきであることを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 尾立源幸

speaker_id: 11743

日付: 2015-03-25

院: 参議院

会議名: 本会議