大門実紀史の発言 (本会議)
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○大門実紀史君 安倍内閣の経済政策と税制改正の基本的な考え方について質問をいたします。
私は、昨年のこの税法の本会議質問で、アベノミクスは、大企業と中小企業、富裕層と庶民の格差を広げる二極化政策であると指摘し、この上、消費税の八%への増税を実施すれば、家計と中小企業は更に疲弊し、景気はますます悪化すると警告をいたしました。
その後の推移はどうなったでしょう。実際に景気は激しく落ち込み、格差は一層拡大してしまいました。
アベノミクスの異次元緩和は、海外の投機マネーを呼び込んで円安、株高をつくり出し、特に輸出大企業と株主である富裕層を大もうけさせました。大企業の内部留保はこの一年で十三兆円増加、二百八十五兆円にも達しました。金融資産を一億円以上持つ富裕層は百万世帯を超え、この二年間で二四%も増加、この層が保有する金融資産は二百四十一兆円にもなりました。
しかも、少しでも株価に陰りが出ると、年金運用機関による株の買い増し、日本銀行の追加緩和や上場投資信託、ETFの購入などで無理にでも株価を支えようとしてきました。今や市場関係者からも、日本の株価は日銀や年金積立金など巨額の公的マネーが下支えしている官製相場だ、池の中に鯨がいるという声が上がるほどです。
公的マネーで株価を支え、大企業や富裕層をもうけさせている国など聞いたことがありません。麻生大臣は、こんなやり方を異常だと思いませんか。
一方、庶民の暮らしは円安による物価高と消費税増税で実質賃金が低下。有効求人倍率が改善したといっても低賃金の非正規雇用の求人が増えただけです。貯蓄ゼロの世帯は全世帯の三割を超え、年収二百万円以下のワーキングプアも一千百万人を超えました。生活保護世帯も増え続け、過去最高の百六十二万世帯に達しています。
企業利益が増えたといっても、中身を見れば、大企業が前年比三四%も利益を増やしている一方、中小企業は原材料費の高騰で円安倒産が続出、特に資本金一千万未満の小企業の利益は二年連続前年比マイナスとなっています。加えて、消費税の八%への増税は、中小企業、中小事業者に重くのしかかっています。
貧困と格差の拡大を放置して景気の回復などあり得ません。
昨年十—十二月期の実質GDPはプラスに転じましたが、中身を見ると、前期の落ち込みの反動のほか、円安によって円換算の輸出額が増加したことや公共事業支出が膨らんだことによるものであり、依然消費は落ち込んだままです。大企業など一部で賃金引上げの動きがあっても、マクロ的に見れば、実質賃金が上がり、それが消費の拡大につながって更に企業利益が伸びるという循環は確認されておりません。
にもかかわらず、政府は経済の好循環が生まれていると述べてきました。賃金と消費が停滞しているのに、何を根拠にそう言われているのか。甘利大臣、説明してください。
格差の是正は今や国際的にも大きなテーマになっています。経済協力開発機構、OECDは、昨年末の報告書で、格差の拡大が経済成長を大幅に抑制していると述べ、格差を是正する税制改革や教育への支出によって経済が成長すると指摘をいたしました。
アメリカでは、貧富の格差を是正するため、最低賃金を引き上げると同時に、富裕層に増税し、その税収増を中低所得者の減税に充てる税制改革を打ち出しました。さらに、大もうけしている金融機関に課税をして、その税収分をカレッジ、単科大学の学費無料化に充てるとしています。
日本はどうでしょう。消費税増税や社会保障の改悪を進める一方で、法人税と法人住民税など合わせ、二年間で一・六兆円も減税しようとしています。そのお金があれば、アメリカのように低所得者向けの施策や子供の貧困を解消するための対策を大きく前進させることができるのではないでしょうか。庶民の負担を増やし、特に空前の利益を上げている大企業に減税するなど、世界の流れにも逆行するものではありませんか。麻生大臣の答弁を求めます。
そもそも、これ以上の法人税の減税にどれだけの意味があるのでしょうか。安倍内閣は、海外から企業や投資を呼び込むために、今後数年間で日本の法人税の実効税率を今の三四%程度からアジア並みの二〇%台に引き下げるとしています。しかし、数々の優遇措置で実質負担率は既に十数%台に下がっており、通常、国際比較で使われるGDP比で見ると、日本の法人税負担は韓国、シンガポールより低く、中国と同じレベルになっております。
元々、企業の海外進出と税負担とはほとんど関係がありません。今月三日に発表された内閣府の調査では、企業が海外に生産拠点を置く第一の理由は、進出先の国の需要が旺盛、又は今後の拡大が見込まれることであり、税制など優遇措置は僅か〇・三%にすぎません。
甘利大臣、海外から投資を呼び込みたいのなら、日本の内需回復こそ重要ではありませんか。消費税増税で内需を冷え込ますなど、やることが逆さまではありませんか。
また、法人税減税を行っても賃金に回らないことは過去の例からも明らかです。麻生大臣、大企業の内部留保を積み上げるだけの減税に何の政策的意味があるんでしょうか。
政府は、消費税の増税分は全て社会保障に使うと言ってきました。本当でしょうか。二〇一五年度の消費税増税分八・二兆円のうち三・四兆円は後代へのツケ回しの軽減に充てるとされております。要するに、日本の借金が増えてきたのは社会保障費が伸びてきたから、今の社会保障費も借金で賄われていると決め付けた上で、三・四兆円の増収分を社会保障に使うのではなく、一般会計の収入に入れて借金する分を減らそうというわけであります。社会保障のための借金を減らすのだから、これも社会保障に使ったことになるという理屈です。
しかし、日本の借金が膨らんだのは社会保障費の増大だけが原因ではありません。今の社会保障費も全て借金で賄っているわけではありません。そもそも社会保障費は国民の生存権に伴う費用であります。それを保障するのは政府の責任です。問われるべきは、社会保障費の増大ではなく、経済失政によって税収を減少させ、無駄遣いを繰り返し、余裕もないのに法人税や富裕層への減税を行って、野方図に借金を増やしてきた歴代自民党政権の責任ではないでしょうか。
増税分を全て社会保障に使うと言いながら、実際には政府の失政の尻拭いに使おうとしているのではありませんか。しかも、消費税の増収分を一般会計の収入に入れても、それが借金の軽減に使われるとは限りません。過去を振り返っても、公共事業費の拡大など、ほかの支出や法人税減税の穴埋めに回されるのではありませんか。
消費税は、幾ら増税しても社会保障は良くならず、景気の足を引っ張るだけの税金であります。一〇%への増税はきっぱり断念すべきです。
格差是正と景気回復のためにも、応能負担の原則に沿った税制に抜本的に転換することを求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕