寺田典城の発言 (本会議)
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○寺田典城君 維新の党の寺田典城であります。
私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題になりました日本放送協会平成二十七年度予算案、事業計画、資金計画に対し、反対の立場から討論するものであります。
反対の理由の第一は、今のNHKが公共放送としての役割を果たしていないことにあります。
籾井会長が就任して以来、会長の不用意な言動により、設立から九十年掛けて築き上げてきたNHKに対する国民の信頼は失墜しました。
NHKには、放送法の精神にのっとり、公平公正で正確な報道が求められることは当然のことであります。しかし、NHKに要求される公平公正とは政府の言いなりになることではありません。NHKが公共放送として自律的に判断した公平公正さが求められているのであります。いかに政府の見解であっても、NHKが主体的に考えた上で誤っていると判断した場合には、毅然とした態度で政府を批判する姿勢こそが公共放送としてのNHKに対し国民が期待している公平公正さなのであります。
安倍政権に替わってから、政府の広報宣伝予算は、四十一億円から八十三億円に倍増しています。民放各社や新聞各紙は、デフレによる広告不況やインターネットの普及などの影響を受け、年々経営が厳しさを増しています。こうした環境の下では、政府の広報宣伝予算はマスコミ各社の大きな収入源になっています。だからこそ、広告収入に頼らず運営できるNHKが公平公正な立場から政府を批判していかなければならないのであります。
NHKの籾井会長は、安倍政権寄りである御自身の考え方を至る所で披露しています。個人としていかなる考え方を持つのも自由であります。しかし、公平公正な報道機関であるNHK会長としては許されません。
よくイギリスのBBCが公平公正な報道機関の例として引き合いに出されます。BBCが全世界から信頼されているのは、戦時中であっても政府とは一定の距離を置いて、時にはイギリス政府にとって不利な情報であっても堂々と報道しているからであります。
籾井会長が番組制作の現場に直接指示を出すことはないでしょう。しかし、NHKの職員は組織の人間です。上司の意向には逆らえません。公平公正な番組の制作がなされていないのではないかと視聴者が疑念を持った時点で、視聴者との信頼関係は失われます。こうなってしまっては、籾井会長が信頼回復に努力すると何度言おうとも、公共放送としての信頼を取り戻すことはできません。
公共放送としての役割を果たしていないNHKの事業計画は承認することができません。
反対する第二の理由は、一連の審議を通してNHKの情報開示の姿勢に問題があるからと判断したためであります。
NHKの経営は受信料で成り立っています。放送法第六十四条第一項は、NHKの放送を受信する設備を設置した場合は、いや応なしにNHKとの契約を義務付けられることになります。ゆえに、法で守られ、半強制的に支払義務が発生するNHKの受信料は税金に近いものであり、言わば公金であります。
税金によって運営される行政機関では、税金の使い方に対して透明性が求められるとともに、納税者に対する説明責任が生じます。私は知事や市長を経験してきましたが、地方自治体の長は、交際費や公用車の利用を始め、あらゆる情報を県民や市民に開示してきました。公人である以上、当然のことであります。
NHK会長も公人であります。だとすれば、NHKも受信料を支払っている視聴者、すなわち国民に対し受信料の使い方について明らかにしていくのは当たり前のことであります。しかし、残念ながら、その経営が公金にも等しい受信料によって賄われているという意識がNHKには希薄なのではないでしょうか。
NHKに会長の公用車の利用実績を問い合わせても、情報の開示はしてくれませんでした。交際費についても、個別の実績については開示の対象外です。相手方のプライバシーに配慮する必要があるのであれば、できる範囲で情報開示すればよいのであります。取材源の秘匿など報道機関特有の不開示情報があることは理解しますが、公用車の利用実績や交際費の使い方が不開示情報に当たるとは到底思えません。
情報開示に消極的なままでは、NHKの事業計画を承認することはできません。
反対する第三の理由は、籾井会長のハイヤー私的利用疑惑の解明が不十分な点であります。
一月二日に利用したハイヤー代が三月九日まで支払われていないというのは、事前にハイヤー代を請求するよう指示した者の行動として不自然極まりありません。事後的につじつまを合わせようとすればするほど不自然さが増していくばかりであります。
この件に関して、監査委員会の監査報告書と会長の国会答弁との間に微妙な食い違いが見られますが、十分な検証ができていません。また、経営委員会が会長の国会答弁との微妙な食い違いが見られる監査報告書をなぜ承認できたのか、明らかにされていません。
誰にも気付かれなければNHKの公費でプライベートゴルフの交通費を支出していたのではないかという籾井会長の疑惑が、国会の審議を通して拭い去られたわけではありません。
疑惑の解明がうやむやのままでは、NHKの事業計画を承認することができません。
反対する第四の理由は、NHKの受信料が非常識な水準に設定されていることであります。
NHKの平成二十五年度末の財務諸表を見ると、純資産は六千百九十億円となっています。NHKが保有する不動産には含み益もあります。NHKは受信料収入が一年間全くなくても経営が成り立ちます。
また、平成二十七年度の事業計画では、受信料収入を六千六百八億円と見込んでいますが、これを回収するために掛ける経費が収入の一一・一%に当たる七百三十五億円にも上っています。口座振替やクレジットカード払いがおよそ八割になっているにもかかわらず、こんなに経費を掛けなければ受信料を収納できないというのは、一般企業の常識では考えられないことであります。
平成二十七年度予算では、減価償却費七百九億円、建設費八百五億円を計上していますが、コスト削減の努力が感じられません。人件費もピーク時よりも減少していますが、勤続年数が長く、給料も高かった団塊の世代が大量に退職すれば、総人件費が低下するのは当たり前のことであります。
今、NHKは、受動受信を含めて衛星契約が増加したことに伴い、水膨れした受信料収入を必死に使い切ろうとしているとしか思えません。これだけ財務に余裕があり、コスト削減の余地が残されているのであれば、まず受信料を大幅に引き下げ、国民に還元すべきであります。
籾井会長はまだ辞めていません。会長を必死に擁護しなければならない与党の皆様もさぞかし大変なことと思います。
今のNHKの常識は、一般社会では常識ではなくなっています。受信料の収入という公金の下で運営するNHKには、一般企業よりもより高度な良識が求められているのであります。公金の使途については徹底した情報開示を行い、説明責任を果たしていくことが求められます。
NHKには、公共放送の原点に立ち返っていただくことを期待いたしまして、私の反対討論とさせていただきます。
誠に御清聴ありがとうございました。(拍手)