津田弥太郎の発言 (本会議)

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○津田弥太郎君 民主党の津田弥太郎です。
 私は、会派を代表し、ただいま提案のありました天下の悪法、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、断固反対の立場で質問を行います。
 安倍総理、昨年の通常国会を思い出してください。あなたの内閣は、八十一本の法案を新規に国会に提出し、実に七十九本を成立させました。成立できなかった二法案はいずれも厚生労働省の所管でありますが、中でも、衆議院段階で本会議の趣旨説明、質疑さえできなかった法案、すなわちスタートラインに立つことさえできずに廃案となった法案がございました。その法案こそ、まさに本日議題となっている労働者派遣法改悪案にほかなりません。
 その後、同法案は臨時国会で再び廃案となり、国権の最高機関から明確に不信任を突き付けられたのであります。良識の府に属する我々は、よもや政府が性懲りもなく三度目の法案提出を行うことになるとは夢想だにしませんでした。政府の信じ難い暴挙に対し、怒りを禁じることができません。
 冒頭、安倍総理にお尋ねします。本法案は、なぜ二度にわたって廃案になったのでしょうか。その理由と責任の所在について明確な答弁を求めます。
 さて、労働者派遣は労働者供給事業の一形態ですが、戦前は許可制であった同事業は、昭和二十二年に制定された職業安定法において、一部の例外を除き禁止されることとなりました。
 その趣旨は、GHQ労働課の担当官によれば、次のとおりとされています。重要です。封建制度が生んだ最も非民主的な制度を改正し、労働者を鉄か石炭のように勝手に売買取引することを日本からなくして、労働者各人が立派な一人前の人間として働けるように計画されたものである。
 このように、雇用と使用が分離する間接労働には根源的な人権侵害の可能性があるため、昭和六十年の労働者派遣法の制定により、専門的な知識を必要とする業務などに限り労働者派遣が認められた後も、各方面からその抑制が求められたのであります。
 しかるに、自民党政権は、これまで数次の法改正を行い、派遣会社の主張に沿った規制緩和を推し進めてきました。この流れを断ち切り、初めて労働者保護の視点に立った規制強化の法改正を行ったのが、まさに平成二十四年の民主党政権でありました。にもかかわらず、自公政権は完全に先祖返りをしようとしているのです。うそで塗り固めたいわゆる一〇・一ペーパーを厚労省が作成し、法案の早期成立の流れを無理やりにつくろうとしたことも、政権中枢の意を受けたものと言えるでしょう。
 総理、そもそも一〇・一ペーパーは政府の公式文書でしょうか。塩崎大臣は既に謝罪を行っていますが、あなた自身は責任を感じていないのですか。安倍総理の明確な答弁を求めます。
 さて、本法案は、生涯派遣で低賃金を合法化し、派遣労働者をまさに地獄に突き落とすものであります。私たちは、派遣労働で働く多数の当事者を党内会議にお招きをし、法改正に対する悲鳴の声を政府の担当者に伝えてまいりました。一方、政府は、法案に賛成する派遣労働者の具体的存在を一人も明らかにしておりません。安倍総理、今回の法改正に関し、政府として何人の派遣労働者にヒアリングを行い、そのうち約何割の賛成を得ているのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 また、各省庁では現在何人の派遣労働者が働いていますか。これまで、各省庁で働いていた派遣労働者の中で正規の職員に転換できた方は一体何人いるのですか。併せて安倍総理からお答えをいただきます。
 今回の法改正は大幅な規制緩和です。正社員を減らし、派遣労働者を増やすものだと私たちは確信をしております。ところが、総理は、派遣労働者を増やすべきだとは全く考えていないと言っておきながら、派遣労働者の増減の見通しについて、景気、雇用失業情勢、労働者の意向等に影響を受けるため、予想することは困難として明らかにしていないわけであります。増やすべきではないが、法改正によって増えるかどうかは分かりませんというのでは、余りにも無責任であります。
 それでは、景気等の前提条件を現状に固定した場合、派遣労働者と正社員の増減はどのように見込まれていますか。総理、逃げずにお答えください。
 さて、今回の派遣法改正には、産業競争力会議の民間議員、悪名高き竹中平蔵氏が強い影響力を発揮しました。議場に御参集の皆様は、政商という言葉を御存じかと思います。広辞苑によれば、政府や政治家と特殊な関係を持って利権を得ている商人であります。人材ビジネス大手のパソナ会長として、安倍内閣の雇用の基本方針、すなわち労働市場の流動化を高め、人材移動の促進を推し進める竹中平蔵こそは、まさに政商にほかならないではありませんか。
 総理、国会議員以上に重要政策の決定に影響力を持つ産業競争力会議の民間議員に対しては、国会議員同様の資産公開を検討すべきとの強い意見がありますが、その是非について明快な見解を伺います。
 さて、法案の最大の問題点をこれから指摘いたします。
 今回の政府案では、業務単位の期間制限を廃止することで、専門性もなく、特別な雇用管理も必要としないあらゆる一般業務について、事実上、企業は派遣労働者を使い続けることが可能となります。これは、臨時的、一時的という派遣法の大原則を根底から覆すものであります。
 さらに、派遣労働者の実態を一顧だにせず専門二十六業務を廃止することは、専門的な高いスキルを生かし、正しく専門二十六業務として長期にわたって働いてきた方々を失業の危機に追いやっているのです。この点に関し政府は、世の批判をかわすため、平成二十四年の派遣法改正時の民自公三党提案の附帯決議に基づくものだと必死の言い訳をしています。まさに、唖然、茫然、愕然であります。
 本来の附帯決議の趣旨は、専門二十六業務については、その内容に不適切なものがあり、追加する業務、削る業務について精査をし、適正化を図るというものであります。そのことは過去の政府答弁でも明らかにされており、今後、政府の勝手な言い訳は、私、津田弥太郎が一切認めません。
 さて、法案が成立した場合、各企業は、同一業務について切れ目なく永続的に派遣労働者に任せることが可能となります。もちろん派遣労働者の比率に上限がないのです。つまり、社長以外の全員が派遣社員という企業が生まれかねないのであります。派遣先は派遣元との契約を解約するだけで、気に入らない労働者を即座に職場から追い出すことが可能となります。ここまで悪徳経営者を喜ばせる労働法制の大改悪は、我が国の歴史上かつてなかったものであります。総理、そうした企業があり得ないとするならば、その根拠となる条文を明確にお示しください。
 法案のもう一つの大きな問題点は、均等待遇原則の欠如であります。
 均等待遇は労働者派遣の肝であり、世界の常識でもありながら、今回の政府案では極めて不十分な検討規定が附則に盛り込まれているにすぎません。これまで総理は、均等待遇の前提は職務給であり、職能給が採用されている日本では困難との答弁をされています。それでは、我が国と労働市場の構造が近いと言われながらも均等待遇原則を採用している韓国は職務給が徹底しているのでしょうか。安倍総理の明確な答弁を求めます。
 また、政府が約束した諸外国の制度調査は一体いつまでに完了するのですか。塩崎大臣、その期限を明確にお答えください。
 次に、政府が本法案の長所としている点について、欺瞞的実態を明らかにいたします。
 第一に、キャリア形成を支援する仕組みについてであります。
 安倍総理御自身が派遣労働者の正社員化を目指すと発言されながら、目指すべき正社員の定義さえ明らかとなっていないのであります。総理、正社員の定義について、この場で明確にお示しください。
 第二に、派遣元事業主が派遣労働者に行う教育訓練についてであります。
 全国展開をしている派遣会社が全国一か所で教育訓練を行うことは、現段階で否定をされておりません。東京在住の派遣労働者に対する教育訓練が大阪で行われるならば、自腹で交通費を支払ってまで一体何人が参加するのでしょうか。まさに絵に描いた餅と考えますが、塩崎大臣の見解を求めます。
 第三に、派遣事業を全て許可制にすることについてであります。
 政府は、義務違反に対する許可の取消しを含めた指導をすることで、雇用安定措置により派遣労働者の雇用を守ることができると説明しています。しかし、一人でも派遣労働者の雇用の継続を図れなかったら、雇用安定措置の義務違反として許可の取消しができるのでしょうか。また、派遣労働者をないがしろにして事業の拡大に傾注し、派遣労働者を増やし続ける派遣会社に対し、許可の取消しができるのでしょうか。許可制とすることで本当に全ての派遣労働者の保護が図れるのか、塩崎大臣、根拠に基づくお答えをいただきたい。
 最後に、昨年の臨時国会では、公明党が法案修正に動き、今回、その内容が閣法に盛り込まれました。この点は一定の評価をいたします。百年に一度の悪法を三十年に一度の悪法に変えようとする必死の努力であります。しかし、悪法はあくまでも悪法であり、法案の成立を許すわけにはまいりません。
 我が国の雇用現場を崩壊させる本法案については、断固成立阻止を宣明し、私、津田弥太郎の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 津田弥太郎

speaker_id: 28996

日付: 2015-07-08

院: 参議院

会議名: 本会議