安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 荒木清寛議員にお答えをいたします。
国民に対する説明についてお尋ねがありました。
平和安全法制は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中で、憲法九条の範囲内で国民の命と平和な暮らしを守り抜くために不可欠な法案です。政府としては、国民の皆様の様々な御意見に真摯に耳を傾けながら、今後の参議院における法案審議においても工夫を凝らして分かりやすく丁寧な説明を行うよう心掛けてまいります。
また、政府の立場としてではありませんが、自民党のインターネット動画を通じて、私より今回の法整備の趣旨を直接国民の皆様にシリーズで分かりやすく説明しているほか、党としても説明会を開くなど、様々な機会を捉えて国民の皆様に幅広い御支持が得られるよう引き続き努力を重ねてまいります。
我が国を取り巻く安全保障環境と平和安全法制の必要性についてお尋ねがありました。
グローバルなパワーバランスの変化がアジア太平洋地域でも起きています。具体的には、中国が地域や国際社会における存在感をますます高める一方、米国は依然として世界最大の総合的な国力を有する国であるものの、国際社会における相対的な影響力は変化しています。
中国の公表国防費は、一九八九年以降、ほぼ毎年二桁の伸び率を記録し、過去二十七年間で約四十一倍となっており、今年度においては中国の国防費は日本の防衛予算の三・三倍に達しています。
東シナ海においては、尖閣諸島周辺海域において中国公船による領海侵入が繰り返されています。南シナ海においては、中国が活動を活発化し、大規模かつ急速な埋立てを一方的に強行しています。
また、軍事技術の高度化により、例えば北朝鮮は日本の大半を射程に入れる数百発もの弾道ミサイルを配備し、発射されればおよそ千キロメートルを約十分で到達できる状況になっています。また、北朝鮮は、二〇〇六年以降三回の核実験を繰り返し、ミサイルに搭載できる核兵器の開発を進めているなど、地域の安全保障に与える脅威が深刻化しています。
このように、我が国を取り巻く安全保障環境は、昭和四十七年に政府見解がまとめられたときから想像も付かないほどに大きく変化しており、もはやどの国も一国のみでは自国の安全を守れない事態となりました。
平和は唱えるだけでは実現しません。平和安全法制は、安全保障環境がますます厳しさを増している中において、国民の命と幸せな暮らしを守るため、そして、そのために地域や世界の平和と安定の確保により一層積極的に貢献していく上で必要不可欠なものであります。
専守防衛、非核三原則など、我が国の平和国家としての歩みについてお尋ねがありました。
我が国は、日本国憲法の下、戦後一貫して専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきました。こうした我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきております。我が国の平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません。今回の平和安全法制の整備により、我が国の平和国家としての歩みをより一層確固たるものにしてまいります。
積極的平和外交の一層の実践と日中・日韓関係の改善についてお尋ねがありました。
まず、外交を通じて平和を守ることが重要なのは言うまでもありません。我が国の平和と安全を確保するために、私は近隣諸国との対話を通じた外交努力を重視しています。実際、私は、総理就任以来、地球儀を俯瞰する視点で積極的な外交を展開してまいりました。
そして、法の支配を重視する立場から、主張するときは国際法にのっとって主張すべき、武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決すべきとの三原則を国際社会で繰り返し主張し、多くの国から賛同を得てまいりました。
中国とは、習近平国家主席との二度にわたる首脳会談を通じ、戦略的互恵関係の考え方に基づいて関係を改善していくことで一致しています。日本と中国は地域の平和と繁栄に大きな責任を共有しており、今後も様々なレベルで対話を積み重ねながら、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えていきたいと考えています。
韓国とも、日韓国交正常化五十周年を迎え、関係改善に向けて話合いを積み重ねてきています。隣国ゆえに日韓間には難しい問題がありますが、だからこそ前提条件を付けずに首脳レベルでも率直に話し合うべきです。私の対話のドアは常にオープンであります。
今後とも、積極的平和主義の下、全力で平和外交を展開をしていく決意であります。
平和安全法制の施行に当たっての政策判断の視点についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、平和安全法制が整備されても、法律の要件が満たされれば必ず自衛隊を派遣するわけではありません。平和安全法制に基づき実際に自衛隊が活動するに当たっては、慎重に政策判断を行っていくこととなります。
政策判断を行うに際しては、我が国の主体的判断であること、自衛隊の能力、装備、経験等に照らして自衛隊にふさわしい役割であること、その前提となる外交努力を尽くすこと等を重要な視点として慎重に政策判断を行ってまいります。
存立危機事態及び専守防衛についてお尋ねがありました。
存立危機事態とは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生するだけではなく、これにより、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態です。
具体的には、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいいます。
存立危機事態において、新三要件の下で許容されるのは、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち我が国を防衛するための自衛の措置としての武力の行使に限られます。これは、他国を防衛することそれ自体を目的とするものではなく、あくまでも憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢である専守防衛の枠内であることは言うまでもありません。
海外派遣の三原則、国会承認、情報提供及び後方支援における実施区域の指定についてお尋ねがありました。
今回の平和安全法制の整備に当たっては、公明党が提示され、本年三月の与党協議会で合意された三原則、すなわち、自衛隊の活動が国際法上の正当性を有すること、国会の関与等の民主的統制を適切に確保すること、自衛隊員の安全確保のための必要な措置を定めることを明確に法律に定めています。
具体的には、国際平和支援法やPKO法において、国連や国際機関の決議や要請等がある場合にのみ自衛隊を派遣できること、国際平和支援法では、例外なく事前の国会承認を要すること、PKO法では、停戦監視等の業務につき原則事前の国会承認を要すること、両法において、自衛隊員の安全確保に対する配慮を義務付けることなどの内容を具体的かつ明確に規定しています。
特に国会承認について、今般の安全保障法制の中には、事前の国会承認により難い場合に事後承認が認められているものもあります。そのような手段が認められているものについても、原則はあくまで事前承認であることから、政府として可能な限り国会の事前承認を追求していく考えであります。
また、自衛隊の活動の実施に関する情報の開示について、政府としては、国会及び国民の御理解を十分にいただけるよう、可能な限り最大限の情報を開示し、丁寧に説明する考えです。
後方支援における実施区域の指定に関しては、今現在戦闘行為が行われていないというだけでなく、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為がないと見込まれる場所を指定します。したがって、攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことは従来と変更ありません。(拍手)
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