安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 小野次郎議員にお答えをいたします。
 衆議院での採決及び参議院での審議の進め方に関するお尋ねがありました。
 平和安全法制は、国民の命と幸せな暮らしを守り抜くために不可欠な法案であり、審議は拙速であってはならないと考え、過去最長の九十五日間の延長をしました。
 衆議院における採決は、PKO法や有事法制を上回る百十六時間もの審議を行い、熟議の後に、決めるべきときには決めるという観点から衆議院において判断されたものと認識しています。参議院における審議の進め方については参議院の御判断に従うべきと考えていますが、いずれにしても、法案の内容について十分に議論していくことが重要であると考えます。
 法案に対する国民世論についてお尋ねがありました。
 今回の法案に対して、国民の皆様の間に厳しい御意見があることは承知しております。平和安全法制は、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために不可欠な法案であります。政府としては、国民の皆様の御意見を真摯に受け止め、引き続き、丁寧に、できる限り分かりやすい説明を行い、国民の皆様の御理解を得るよう努力してまいります。
 テレビ番組での私の説明に関するお尋ねがありました。
 政策を進めていくためには、国民の信頼、理解を得ることが大変重要です。平和安全法制についても、その必要性、重要性、意義について国民の皆様に分かりやすく説明し、御理解をいただくよう最大限の努力をしてまいりたいと思っています。もとより、放送事業者において放送番組の公平を堅持していただくことは当然なことでありますが、そうした中で、出演依頼をいただいた番組に積極的に出演させていただき、私自ら国民の皆様に丁寧に説明させていただいているところであります。
 十本の法律を束ねた法案としたことについてお尋ねがありました。
 十本の改正法の目的は、いずれも我が国の平和と安全の確保及び国際社会の平和と安全の確保という点に集約できることは明確であります。また、法律案の条項が相互に関連し、一つの体系を形作っています。そこで、一本の法律案で一覧的に示し、改正の適否を総合的に判断いただくことが適当と判断したものであります。十本にばらして出し直すなど、法形式を改めて再提出する考えはありません。
 米議会演説における法案への言及についてお尋ねがありました。
 そもそも、平和安全法制の整備は、平成二十四年の総選挙以来、これまで三回の選挙、常に公約に掲げ、一貫して訴えてきた課題です。特にさきの総選挙では、昨年七月一日の閣議決定に基づき、法制を速やかに整備することを明確に公約として掲げ、国民の皆様の審判を受けました。法整備の方針を閣議決定した上で、選挙において速やかに整備することを公約した以上、選挙直後の今通常国会においてその実現を図ることは当然のことであります。
 このため、昨年十二月二十四日、総選挙の結果を受けて発足した第三次安倍内閣の組閣に当たっての記者会見において、平和安全法制は通常国会において成立を図る旨申し上げ、国民の皆様に私の決意をお示しいたしました。本年二月の衆議院本会議においても、二度にわたり今国会における成立を図る旨答弁をしております。米議会での演説においても、改めてこのような私の決意を申し上げたものであり、まず我が国国会及び国民に理解を求めるという配慮に欠けていたとの指摘は全く当たりません。
 平和安全法制が想定する軍事的脅威及び対応ぶりについてお尋ねがありました。
 今般の平和安全法制は、特定の国や地域を念頭に置いたものではありません。また、その下でどのような対応を取るのかについて具体的に述べることは、手のうちを明かすことになるので適当ではありません。あくまでもこの法案は、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえて、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守るために必要となる切れ目のない備えをつくることを目指すものであります。
 いずれにせよ、政府としては、多くの国民の皆様に法案の趣旨を御理解いただき、幅広い御支持が得られるよう、今後の参議院における法案審議を始め、様々な機会を捉えて分かりやすく丁寧な説明に努めてまいります。
 将来、揺るぎのない法律として国民に受け入れられるかとのお尋ねがありました。
 平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に対して切れ目のない備えを可能にするものです。国民の命と平和な暮らしを守り抜く安全保障政策については、本来、与党も野党もないと考えます。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているという現実を踏まえれば、この法制が必要であることは多くの皆様に御理解いただけるものと確信しています。参議院における審議を通じて、この法制の必要性をしっかりと説明し、広範な理解を得られるよう努力していく考えであります。
 法案の憲法適合性、政府における検討及び法的安定性についてお尋ねがありました。
 まず、新三要件については、砂川判決と軌を一にするこれまでの政府の憲法解釈の基本的な論理の範囲内のものであるため、法的安定性は確保されており、将来にわたっても憲法第九条の法的安定性は確保できると考えています。
 また、自衛隊の活動が武力の行使との一体化を防ぐ仕組みなどにより、武力による威嚇又は武力の行使に当たらないことを確保しています。その例外は、新三要件を満たす場合の自衛の措置に限られており、法案は憲法に適合するものであります。
 法案は、これら憲法を含めた様々な論点について、有識者懇談会での議論や政府内での時間を掛けた検討、そして自民党と公明党の与党協議会における二十五回に及ぶ徹底的な議論を経てお示ししているものであります。
 自国防衛のための集団的自衛権についてお尋ねがありました。
 国際法上、個別的自衛権と集団的自衛権は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるか、他国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかという点において明確に区別されるものとして確立しています。
 新三要件の下で、存立危機事態において許容される武力の行使は、他国に対して発生した武力攻撃に対処するものであり、国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合があります。しかしながら、これは、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るための必要最小限の自衛の措置に限られており、他国を防衛することそれ自体を目的とするものではありません。
 新三要件は、国際的に見ても極めて厳格な要件であり、他国防衛への濫用のおそれが排除できないといった御指摘は全く当たりません。また、国際社会に対しても、平和安全法制について丁寧に説明し、非常に多くの諸国から理解と支持を得てきており、国際的に全く通用しないとの御指摘も当たりません。
 武力攻撃を受けた国の要請と自衛権の行使についてお尋ねがありました。
 国際法上、集団的自衛権の行使に当たっては、武力攻撃を受けた国の要請又は同意があることが当然の前提です。また、我が国が国際法を遵守することは当然のことであります。このため、存立危機事態の要件としてあえて法律上重ねて規定する必要はないと考えています。
 存立危機事態に対応するために我が国が行う武力の行使は、国際法上、集団的自衛権又は武力行使を容認する安保理決議によって正当化する必要があり、個別的自衛権とみなすことはできません。
 また、存立危機事態において、我が国は武力攻撃を受けた我が国と密接な関係にある他国を含む関係国と緊密に協力しつつ対処することになると考えられます。そのような際に、武力攻撃を受けた我が国と密接な関係にある他国からの要請又は同意がないことはおよそ想定されません。
 我が国による武力の行使については、新三要件の下、あくまでも我が国が主体的に判断することは言うまでもなく、自らの意思で国を守ることもできないとの指摘は全く当たりません。
 我が国と密接な関係にある他国の説明とホルムズ海峡での機雷掃海についてお尋ねがありました。
 新三要件の第一要件に言う我が国と密接な関係にある他国とは、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものと考えています。
 従来から申し上げているとおり、具体的にどのような国が我が国と密接な関係にある他国に当たるかについては、あらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において個別具体的な状況に即して判断されるものであります。
 もちろん、日米同盟の存在及びこれに基づく米軍の活動は我が国の平和と安全を維持する上で死活的に重要であり、同盟国である米国は基本的にこれに当たるであろうと考えています。そのため、実際にこれまで政府が示してきたいずれの事例でも、米国をその具体例として示しているところであります。
 一方、ホルムズ海峡のケースについては、そもそも特定の国が同海峡に機雷を敷設することを想定しているわけではありません。また、特定の二国間関係や国際情勢のみを念頭に存立危機事態を設けるものでもありません。
 いずれにせよ、我が国がエネルギー源の多くを依存するホルムズ海峡を擁する中東地域においても安全保障環境がますます厳しさと不透明性を増す中で、我が国の存立を脅かすような事態も起こり得るところ、あらゆる事態に万全の備えを整備しておくことが重要であると考えております。
 防衛出動に関する国会承認とシビリアンコントロールについてお尋ねがありました。
 自衛隊に防衛出動を命ずることは、国家の存亡と国民の生死を左右する極めて重い判断であり、シビリアンコントロールが極めて重要であることは言うまでもありません。
 このため、政府案においても、自衛隊の防衛出動については、これまでどおり原則として事前の国会承認を義務付けることとしており、また、御承認をいただくために必要な情報を政府として可能な限り開示することによって、民主主義国家として国会に適切な御判断をいただく仕組みを設けているところであります。
 このように、政府案においてはシビリアンコントロールは十分に確保されているところですが、こうした点についての重要性については、政府案と維新の党の独自案共に基本的な問題意識は共通しているのではないかと考えております。今後、国会において、こうした点を含めて活発な議論が行われることは望ましいことだと考えております。
 今後の与野党協議についてお尋ねがありました。
 衆議院では、合意には至りませんでしたが、採決直前まで与党と維新の党との間で誠実に修正協議が行われ、共通の理解も得られたものと認識しています。協議は今後も継続されるものと承知していますが、法案は国民の命と平和な暮らしを守り抜くために重要なものであるため、良い結果を出すために、しっかりと議論をし、可能な限り一致点を見出すべくお互い努力を続けていただきたいと考えております。
 中国との関係改善についてお尋ねがありました。
 中国との間では、東シナ海において、中国公船による度重なる領海侵入や、排他的経済水域及び大陸棚の境界未画定の海域における中国による一方的な資源開発等、極めて遺憾な状況が存在しています。中国側のこうした一方的な現状変更の試みに対しては、引き続き、毅然かつ冷静に対処していきます。
 同時に、中国とは、習近平国家主席との二度にわたる首脳会談を通じ、戦略的互恵関係の考え方に基づいて関係を改善していくことで一致しています。中国と日本は地域の平和と繁栄に大きな責任を共有しており、今後も、様々なレベルで対話を積み重ねながら、安定的な友好関係を発展させ、国際社会の期待に応えていきたいと考えています。
 領海の警備に関する法整備についてお尋ねがありました。
 政府においては、五月十四日、武力攻撃に至らない侵害に際し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動、治安出動等の発令手続の迅速化のための閣議決定を行いました。
 また、警察や海上保安庁などの関係機関の対応能力の向上、相互の連携強化、各種訓練の充実などの取組を一層強化していくこととしており、現時点では新たな法整備が必要であるとは考えておりません。
 拉致問題についてお尋ねがありました。
 調査開始から一年たった今も拉致被害者の帰国が実現していないことは、誠に遺憾であります。北朝鮮からの具体的な動きを早急に引き出すべく働きかけを強化するよう、外務大臣と拉致問題担当大臣に指示したところであります。
 これまで固く閉ざされていた交渉の扉をやっとこじ開けて困難な交渉を進めているところであり、北朝鮮から前向きな行動を引き出す上で、あらゆる観点から何が最も効果的かを検討しつつ、今後も、対話と圧力、行動対行動の方針の下、拉致問題の解決に向けて全力で取り組み、全ての拉致被害者の帰国を強く求めてまいります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2015-07-27

院: 参議院

会議名: 本会議