熊谷大の発言 (本会議)

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○熊谷大君 自由民主党の熊谷大です。
 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました刑事訴訟法等の一部を改正する法律案について、上川法務大臣に質問いたします。
 本法案は、時代に即した新たな刑事司法制度の構築を目指して、取調べの録音・録画制度の導入を始め合意制度の導入など、我が国の刑事司法の大きな転換点となる内容も含まれております。
 本日は、国民に対して丁寧な説明が求められる点、そして、今後更に検討すべき点を中心に質問させていただきます。
 本法案は、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会で三年以上にわたる議論が行われた後、与党審査等を経て法案化されたものであります。衆議院では、約六十八時間という長時間の審議が行われ、法案の修正も行われました。このように、大変な熟議を経て参議院に送られてきた法案ですので、まずは上川法務大臣に、これまでの衆議院における審議と法案の修正について御所見を伺います。
 さて、先ほどの趣旨説明でも、大臣から、取調べ及び供述調書への過度の依存を改めるというお話がありました。しかし、そもそも諸外国では、取調べの位置付けが我が国とは異なっています。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの例を見ても、取調べは大体一時間から二時間、多くても数時間。イタリアでは、被疑者が自白することはほとんどないので、取調べはほとんど行わないということです。いずれも、取調べ段階ではなく公判廷で事実を明らかにするという姿勢なのでしょう。こうした国々と比べれば、確かに我が国は取調べに依存しています。しかし、それを是正するには刑事司法制度の大転換が必要となります。
 そこで、取調べ及び供述調書への過度の依存の問題点とは何か、そしてこれはどのように改めていかれるのか、大臣に伺います。
 今回の改正の中で、これまでにない制度として目を引くのは合意制度です。
 振り込め詐欺などの特殊詐欺、組織的な薬物・銃器犯罪、会社ぐるみの不正行為など、組織の末端を検挙するだけでなく、組織犯罪の全貌を解明するために有効な手段だと考えます。こうした司法取引的な仕組みは、海外では広く行われていますが、我が国ではまだなじみがありません。したがって、国民への丁寧な説明が不可欠です。
 そこで、本制度の意義や目的について、一般の国民にも分かるように大臣から御説明を願います。
 また、アメリカなどでは、自分の犯罪も司法取引の材料になっていますが、本法案では他人の犯罪に限定しております。その理由についても併せて伺います。
 次に、合意制度と併せて導入される刑事免責制度について伺います。
 「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」という憲法三十八条一項の規定は、一見すると、刑事責任に限らず、あらゆる不利益を含むようにも読めます。しかし、今回の刑事免責制度は、証言を証人の刑事事件で不利益に用いないという免責を与える代わりに、証人にとって不利益な事項についても証言を義務付ける仕組みです。この制度で、刑事上の免責が得られたとしても、その証言を行ったことで、後に損害賠償など民事上の責任を問われたり、海外の捜査当局から刑事責任を問われたりする可能性は否定できません。
 そうしたリスクは、憲法三十八条一項の不利益に当たらないと考えてよいでしょうか、また、当たらないとしても、そうしたリスクに留意しながら制度の運用を行っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御見解を伺います。
 今回の改正で、通信傍受の対象拡大や実施方法の合理化が図られたことは、ますます巧妙化する組織犯罪の解明のために大きな役割を果たすと考えます。
 これに加えて、電話などの通信ではなく、室内での会話を傍受する会話傍受も、捜査のためには大変有効な手段です。これは、法制審の特別部会では検討されましたが、今回の法案には盛り込まれませんでした。検討されたのは、振り込め詐欺、暴力団の対立抗争、薬物の密輸という三つの場合に限った会話傍受です。これらの場合には、室内での会話を傍受することで効果的な捜査が可能となる一方で、プライバシーを侵害するとの指摘もあります。
 私は、会話傍受も将来的に導入すべきだと考えますが、今回なぜ導入が見送られたのか、また、今後導入を検討する予定はあるのか、伺います。
 もう一つ、今回の法案に盛り込まれなかった重要事項に証人保護プログラムがあります。暴力団のような組織犯罪について重要な証言を行った証人は、組織から報復されるおそれがあります。そうした証人を保護するため、名前を変える、住所を隠す、生活を保障するといった制度です。
 海外では導入事例があり、法制審の特別部会でも検討されましたが、最終的には、民事、行政関係にわたる課題が多いこと、つまり刑事司法だけにとどまらない問題であるということで結論が出されなかったものです。しかし、制度の必要については一定の認識の共有がなされたとされています。
 衆議院での修正案にも盛り込まれましたが、民事や行政も含めた幅広い観点から検討を行い、早期に制度化を行うことが必要だと考えます。今後の方針について大臣に伺います。
 冒頭にも述べましたが、今回の法案は、関係者の英知を結集して取りまとめられた刑事司法制度改革の第一歩であります。国民の理解を得ながら着実に運用を重ね、今後も第二歩、第三歩と歩んでいかなければなりません。三年後の見直し規定もありますが、ただいま述べたような検討課題も含め、常により良い制度となるよう改善を続けていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 118915254X03620150821_005

発言者: 熊谷大

speaker_id: 22984

日付: 2015-08-21

院: 参議院

会議名: 本会議