徳永エリの発言 (本会議)

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○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリです。
 私は、会派を代表いたしまして、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案に反対の立場から討論させていただきます。
 安倍総理は、四月二十九日に行われた米国連邦議会上下両院合同会議において行った演説の中で、この二十年、日本の農業は衰えました、農民の平均年齢は十歳上がり、今や六十六歳を超えました、日本の農業は岐路にある、生き残るには今変わらなければなりません、私たちは長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています、六十年も変わらずに来た農業協同組合の仕組みを抜本的に改めますとおっしゃいました。まるで農業協同組合に問題があって農業が衰えたと言わんばかりであります。
 これまで、国、地方公共団体、農協は、規模拡大や流通の合理化など農政の推進を一体となって行ってきたわけで、その責任を農協だけに押し付けることは間違っています。しかも、政府から提出された改正法案は、在日米国商工会議所や規制改革会議が推し進めようとする、企業と投資家が岩盤規制によって参入できなかった農業に参入し、新たなビジネスチャンスとするための法案であり、農家や農村の活性化どころか、家族経営農家の切捨て、農村コミュニティーの崩壊につながりかねません。
 平成二十四年十二月の安倍政権の発足以降、突然の水田農政の転換、米の直接支払交付金の半減、廃止、史上最悪の米価の下落、衆参農林水産委員会の国会決議に反する交渉内容がメディアにより次々と明らかにされているTPP交渉、そして、今回の改正案は、農協と農業委員会の改革、企業の農地取得に係る農業生産法人の要件の緩和を一体的にセットで行うものであり、農業、農村の現場は先の見えない不安から大変に混乱をいたしております。
 参議院の農林水産委員会における富山県での地方公聴会、二度行われた参考人質疑においても、ほとんどの公述人、参考人がこの改正法案に反対又は慎重な立場で発言をされました。政府が法改正の目的としている農業所得の向上については具体的な方法が明らかにされず、連合会が地域農協の自由な経済活動を阻害しているということについても、そんな事実はないと日本農業新聞のアンケートでも地域農協の組合長さんの九五%が否定しています。政府からも具体的な例示は全くありませんでした。改正法案は、そもそも法改正に必要な立法事実や根拠に欠けます。
 改正法案の内容について、具体的な問題点を指摘いたします。
 第一に、農協の准組合員に対する利用規制につながりかねない規定を設けたことであります。
 改正法案には、准組合員の事業利用に関する規制の在り方について、准組合員へのサービスに主眼を置いて正組合員である農業者へのサービスがおろそかになってはならないとして、五年間の調査と検討を行うとの規定が附則に置かれています。しかも、在日米国商工会議所は、イコールフッティングの観点から、准組合員の利用規制を行うことを政府・規制改革会議に強く要請していた経緯があります。
 しかし、実際に准組合員の利用規制が行われれば、いずれ信用、共済事業が農協から切り離されてしまいかねません。本来、農協が一番やらなければならない営農指導事業の予算が確保できなくなるおそれがあります。また、人口の少ない地方の町では、信用、共済事業、厚生病院、高齢者福祉施設、ガソリンスタンドなど、採算が取れず民間企業がやろうとしない事業を農協が引き受け、地域の生活インフラを支えています。准組合員は、利用規制が掛かるとその事業が利用できなくなってしまいます。
 准組合員も正組合員も法律上は同じ組合員であり、改正案でもそれは何ら変わっておりません。五年間の調査、検討により決定するとされていますが、准組合員の利用規制につながる規定を設けた改正案を認めることはできません。
 第二に、准組合員の利用規制と関連して、農協を株式会社などに組織変更する道を開こうとしていることであります。
 協同組合は、共通する目的のために個人等が集まる営利を目的としない組織です。株主、投資家の利益の最大化を追求する株式会社とはその目的、理念が全く違います。誰も望んでいないのに、何のために組合の事業を株式会社等に変更する規定を置くのか、全くもって理解できません。
 政府は、農協が持つ地域の生活インフラとしてのサービス提供を継続できるようにと、准組合員以外でも利用できる選択肢を増やしたと説明します。しかし、農協が株式会社になれば、採算が取れない事業や支店はいずれ撤退、閉鎖となり、地域の生活インフラが失われてしまうことになります。
 特に、過疎地域などで、農協が運営する厚生病院が組織変更により社会医療法人になった場合、病院を維持していけるのか、医師を確保できるのか、大変に心配な状況です。地方の町村で厚生病院が維持できなくなってしまったら、これは命の問題であります。
 第三に、農業委員の公選制を首長の選任制に変更するとともに、農地利用最適化推進委員を新設しようとしていることです。
 政府は、選任制の下でも農業者等から推薦、公募により候補者を求めるとしていますが、定数を超える候補者がいる場合など、市町村長の裁量の下で恣意的な選任が行われる可能性を排除できません。恣意的な選任が行われれば、農地を守る農業委員会の使命を果たすことができなくなってしまいます。改正法案では、地域の代表性を担保することが明確にされていません。
 また、なぜ農業委員の数を減らし推進委員を新設するのか、その目的も明らかになっておらず、役割分担や両者の連携の在り方も必ずしも明確にはなっておりません。
 推進委員については、八月二十日の委員会で、どんな人が推進委員になるんですかと質問したところ、政府から、農地転用に積極的な不動産デベロッパーや地上げ屋のような方が委嘱される可能性は低いと考えている旨答弁があり、その点について更に質問をすると、実際の選任はそれぞれのところで行うので断言はできない旨答弁があり、推進委員に不動産デベロッパーのような人が委嘱される可能性が排除できていません。
 第四に、農業生産法人の要件を緩和しようとしていることです。
 政府は、構成員要件を緩和しても農業者が議決権の過半数を持つことで農外企業に支配されることはないとしています。しかし、安倍政権では、企業の農業参入を進めようとの姿勢が明確であり、緩和がもう一歩進めば、資本力のある企業が農地を大規模に買い占める事態となる可能性があります。しかも、外国資本による買収も否定できません。企業が農地を所有し、企業が給料を払って農業者を雇い、農業経営を行う。現代版の地主と小作の復活ではありませんか。
 そして、農業に参入しても、もうからなければやめてしまうのが企業であります。農地が荒廃し、我が国が誇る美しい田園風景を壊してしまうことになりかねません。
 以上、まだまだ問題はありますが、改正案への反対理由を述べさせていただきました。
 総理は、昨年一月二十二日のダボス会議で演説をされ、民間企業が障壁なく農業に参入し、作りたいものを需給の人為的コントロール抜きに作れる時代がやってくる、そうおっしゃいました。
 民間企業の参入障壁は、小規模家族経営農家を守ってきた農業協同組合、農業委員会、そして農地法であり、今回の法改正は、総理や政府がどんなに美辞麗句を並び立てても、これらを弱体化させ、企業参入を促進させることが本当の目的であることは、農業関係者、そして与野党の農林水産委員はみんな分かっています。本当に不安に思っています。
 この法案が成立すれば、農業、農村に企業による競争と効率の市場原理主義が持ち込まれ、家族経営農業や地域コミュニティーの崩壊につながりかねません。日本の農業の未来に大きな禍根を残すことになります。議員各位の心ある判断を願いながら、私の反対討論を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 徳永エリ

speaker_id: 20986

日付: 2015-08-28

院: 参議院

会議名: 本会議