藤田幸久の発言 (本会議)
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○藤田幸久君 民主党・新緑風会の藤田幸久です。
ただいま議題となりました中谷国務大臣問責決議案につきまして、会派を代表して、賛成の立場から討論いたします。
中谷大臣は、自分を鍛えてみたいとの思いから防衛大学に進学し、陸上自衛官となりました。陸上自衛隊ではレンジャー部隊の教官まで務めた、まさに現場のプロと言えます。人柄も誠実で、人望もあると聞いています。
一九九六年、私は、対人地雷全面禁止条約、いわゆるオタワ条約に取り組みました。オタワ条約加入を目指した超党派の対人地雷全面禁止推進議員連盟を立ち上げ、野党各党の議員は続々賛同してくれたものの、与党自民党の議員は政策の立場から誰も参加できませんでした。そんな中、自民党から最初に参加してくれたのが自民党国防部会長であった中谷元議員でした。陸上自衛隊で地雷担当であった中谷議員は、PKOで訪れたカンボジアで女性や子供など市民の被害の悲惨さを見て、対人地雷の残虐性に大きな刺激を受けたのです。
中谷議員に続いて多くの自民党議員も加わり、小坂憲次議員を会長とする議員連盟が三百八十八人まで広がりました。こうして一九九七年、小渕恵三外務大臣がオタワ条約に調印したのです。中谷議員とはクラスター条約にも一緒に取り組みました。
私は、制服組の出身でありながら、人道主義という安全保障にとって最も重要な視点から英断を下した中谷元議員を高く評価するものです。
しかし、こうした行動がすばらしくても、我が国の防衛政策のトップである防衛大臣、とりわけ我が国の防衛の在り方を根本から転換させる安全保障法制の担当大臣として、その重責にふさわしい仕事ぶりをしてきたとは言えません。大臣就任以来の国会の答弁を見ると余りにも明らかです。
衆議院特別委員会では百十六時間の審議を行いましたが、大臣答弁が曖昧で、委員長が速記を実に百十一回も止めざるを得ませんでした。参議院の審議でも約百時間審議をいたしましたが、審議が止まった回数は衆議院と並んでしまいました。衆参合わせて二百回以上審議が止まったわけですが、そのうちの圧倒的多数が中谷大臣による答弁ストップです。
中谷大臣の答弁書にはおびただしい数の附箋紙が貼られ、あれではどのページを見たらよいのか分からないという、気の毒になるくらいでした。答弁に窮する大臣に、後ろから役人がメモを渡したり耳打ちをしたりするのは日常茶飯事でした。この様子を見ていた国民や自衛官の皆さんの不安は大きく膨らんだわけであります。
中谷大臣は、六月五日の衆議院特別委員会の審議において、現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行ったと述べています。言うまでもなく憲法は、国家権力を抑制してその濫用を防ぎ、もって国民の権利の侵害を防ぐという、極めて重大な役割を持つ我が国の最高法規であります。その憲法を安保法制に適用させて変更してもよいと考えたのならば、本末転倒も甚だしく、安倍政権の魂胆が露呈したものです。
中谷大臣は、著書の中で、憲法の解釈変更はすべきでない、憲法改正は限界に来ている、憲法の信頼性が問われると書いています。また、雑誌の対談でも、政治家として解釈のテクニックでだましたくないと語っています。しかしながら、今、ごまかしの憲法解釈変更による安保法制の担当大臣としてあなたがやっていることは、解釈のテクニックでだますことであり、また憲法の信頼性をおとしめることにほかなりません。
さらに、中谷大臣は、自衛隊が米軍に対して後方支援を行う際における劣化ウラン弾の運搬の有無について、八月十一日の国会審議においては、劣化ウラン弾は運ばないということで相手先と協議していると答弁しておきながら、九月二日の審議では、劣化ウラン弾について個別に協議していないと、過去の答弁を撤回しました。答弁に苦しくなると虚偽の答弁をしてやり過ごす、国会の審議を冒涜するこのようなやり方は断じて許すわけにはいきません。
このように、曖昧で、虚偽に満ち、整合性が取れない答弁は枚挙にいとまがありません。過去の答弁が変われば審議は振出しに戻るので、何十時間掛けても審議の内容は深まりません。
また、中谷大臣は、私は、国会というのは最大のシビリアンコントロールである、原点であると思っていますと発言しています。また、文民統制の原点が憲法第九条であると発言していますが、安倍総理大臣も中谷大臣も、この国会という最大のシビリアンコントロールを無視した憲法解釈の変更や強行採決を今日も含め度々行い、自らの信念を自ら否定してしまったことは断じて許すわけにはまいりません。
五月二十七日には、野党議員から、武力行使と武器使用の違いは国民にとって分かりにくいものであるとの指摘を受けた際、中谷大臣は、武力の行使と武器の使用、この違い、本当に分かりませんか、それが分からないと、これ、議論できませんよと発言しています。まるでそれを知らない国民の方に非があるかのような答弁を行いました。武器使用とは自衛官が個人として行う行為であり、自衛隊という組織が行う武力行使とは本質的に異なるものです。そして、憲法上も大きな違いがあることをごまかし、一方的にそれを知らない方が悪いという趣旨の発言を行うなど、まさに上から目線で政府の考えを押し付けようとしている現政権の本性が現れました。
また、中谷大臣は、安保法制により生じることになる自衛官のリスクに関して、五月二十七日の特別委員会審議においては、最大限極小化すると言いながら、その翌日の委員会では、現行法と比べて安全性において相違はないと言い、さらに六月一日の審議では、任務に新しい内容が増えるのでリスクは新たに考えられると、答弁を二転三転させました。
日によって発言がころころ変わり、答弁に一貫性がありません。中谷大臣は、自衛隊の厳しい現場を身をもって経験していながら、自衛隊員を犯罪者にしてしまう可能性や、必要な配慮義務の欠如について説明をしていません。かつての同僚や後輩にとって生死に関わる安保法制に伴うリスクをひた隠しにしていると断ぜざるを得ません。
今回の安保法制によって、新たにアメリカ軍等の部隊の武器の防護のための武器使用が自衛隊法の改正によって可能となりますが、これについて、八月二十一日、自衛隊員の安全確保をどのように担保するのかと質問された大臣は、自衛隊法改正案には条文がなく、重要影響事態法の中に規定している旨を答弁しました。自衛隊法の改正である米軍等の武器等防護に係る安全確保策なのに、なぜ重要影響事態法の中で規定されるのか、中谷大臣の説明は全くめちゃくちゃなのであります。
先月、自衛隊協力会の幹部が私に電話をしてきました。今まで自分は多くの高校生など若者を自衛隊に勧誘してきた、それは自衛隊の基本が専守防衛だからだ、しかし今回の安保法制はその形を変えた、しかも外国の戦争ばかりでなく動乱や紛争などにも派遣される、こうした自衛隊に若者を勧誘することは今後一切行わない、何としても安保法制を止めてほしいと、この方が訴えてきました。
また、私は先週から、記録的な豪雨で鬼怒川の堤防が決壊し甚大な被害が広がっている茨城県常総市を訪れ、被災者の支援活動を行いました。孤立した多くの人々を警察、消防、自衛隊のヘリコプターが救ってくださいました。そのヘリコプターに救われた女性の一人が語りかけてきました。自宅の屋上から自衛隊のヘリコプターで助けてもらいました、自衛官の人たちは本当に優しかった、こんな優しい自衛官たちを戦争に行かせてはいけないと思った、安保法案は止めてくださいと強く訴えました。
八月二十七日の茨城県主催の戦没者追悼式で、遺族代表の豊島寛一さんは、憲法を都合よく解釈するのはこそくだ、国民の声に耳を傾け、謙虚に審議を行ってほしい、必要ならば手順を踏んで正々堂々と憲法を改正すべきだと述べました。遺族をこれ以上増やさないでほしいという御遺族の方々の訴えが高まっています。ここでいう御遺族とは、自衛隊の御家族を御遺族にしないでほしいという大きな声の広がりであります。
中谷大臣、あなたは、国民全体の命はもとより、自衛官の命を守るべき自衛隊の責任者でありながら……