神本美恵子の発言 (本会議)

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○神本美恵子君 安倍総理、私を誰だか知っていますか。私は民主党・新緑風会の神本美恵子です。
 ただいま議題となりました安倍総理に対する問責決議案について、賛成の立場から討論いたします。
 以下、問責決議案に賛成する理由を述べます。
 まず、第一の理由です。
 昨日、政府・与党は、たくさんの国民の声を無視して、日本の将来と世界の平和に大きく影響を与える安全保障関連法案の採決を強行しました。
 しかも、今回の強行採決は、自民、公明の議員が突然委員長を取り囲み、まさに丸裸の暴力により行われました。野党議員が取り囲む場合と異なり、野党議員は、委員長が何を話し、何をしようとしていたのか全く推量不能状態でありました。その結果、野党議員は表決権の行使ができなかったのが実情であります。鴻池委員長は、国会法四十八条で議事整理権を有しているものの、委員の表決権を奪うことはできず、野党議員が表決権行使ができなかった今回の採決は無効であると断ぜざるを得ません。
 さらに、突撃と言わんばかりの委員外議員の合図から始まり、委員長席周辺での信じられない光景、その騒動と同時並行で私は不思議な光景を見ました。質疑者席で、誰も聞いていないのに、二人の議員に見守られるようにしてひたすら原稿を読んでいる人がいたのです。何をしていたのでしょう。議事録に何も残っていないので分かりません。誰かが書いたシナリオどおりに暴力シーンを演じる与党と一部野党による茶番劇を見ているようでありました。こんな採決が無効であることは誰の目にも明らかであります。
 この間、多くの人たちが安倍政治を許さないというプラカードを掲げ国会を包囲しています。国民が許さない安倍政治とは何か。それは、第一に、国民に対し真実を語らず、うそを述べていること、第二は、米国への追従、第三には、安保法制の真実を報道しようとするメディアや自らの意見を声に出そうとする人々に恫喝を掛けることです。
 もう一つ、ここで加えなければなりません。討論時間を制限する言論封殺であります。安倍政治は真実を語らないので、国民はいつも政治を疑い、裏に真実が隠されているのではないかと疑心暗鬼でいるのです。それを百も承知で強行採決をする。国会での質問に答えず、意味のない答弁を長々と繰り返す。特に、この安保法制が成立したときに、国民や自衛隊員にリスクが高まるのかどうかについて何の検証もしない。リスクは高まらないと簡単に言えてしまう。
 つまり、先に約束してしまったアメリカとのその約束を守るために国民には真実を隠す。自民党の若手議員のメディアを弾圧する発言や、総理と親しい作家の、沖縄の二つの新聞は潰さなければならないという発言に何ら手を打たない。安倍政治を許さないとは、国民のそういう気持ちにほかなりません。
 総理、あなたも認めているように、多くの国民が納得し得るような審議が尽くされていない。そして、最初から極めて憲法違反の疑いの強い安保法案を衆議院に引き続き参議院においても強行採決をする理由が何なのか、国民はよく理解しています。それは、アメリカへの追従のためであるということです。
 総理、今年四月にアメリカの連邦議会上下両院合同会議で、日本の総理大臣として初めて演説する機会を得て、あなたはさぞかしうれしかったのでしょう。自らをエイブラハム・リンカーン大統領に例え、アメリカの民主主義をたたえました。国内では日本国憲法は占領軍の押し付け憲法だと忌み嫌う総理が、アメリカでは、あたかも日本の民主主義がアメリカのおかげで成熟したかのような発言をする。あなたの二枚舌には、驚きと同時に、国民を代表する政治家として赤面するしかありません。
 第二の理由を申し上げます。
 私たち女性の国会議員は、現在、国民の皆さんに選ばれて国会に身を置く者として、戦前は女性がいなかったこの国会に、今この平和憲法下に保障された参政権の上に、国民の負託に応えるべく仕事をしています。
 安倍総理、たくさんの人たちが今も、このときも国会を取り巻いています。ベビーカーを押したママたちを国会内外で毎日見かけます。子供たちが国会の食堂や廊下で楽しげに笑っている姿をこのママたちがどんな気持ちで見守っているか、総理は考えたことがありますか。徴兵制などあり得ない、そう幾度繰り返しても、なぜそうなのかを説明できない総理が信頼されることはありません。
 九月八日の参考人質疑で、伊藤真参考人は次のように述べられました。徴兵制は、憲法十八条で意に反する苦役に服させられないとありますが、しかし、これは公共の福祉で制限できると解釈されているものです、ということは、必要性、合理性が生じたならば徴兵制も可能ということを意味しますと伊藤真参考人は述べられました。
 そうなんです。憲法九条があり、歴代内閣が集団的自衛権は行使できないとの立場を貫いてきたにもかかわらず、いとも簡単に内閣法制局長官をすげ替え、十五日の中央公聴会で、濱田邦夫公述人に今はなき内閣法制局とまで言わしめたように、憲法を踏みにじるあなたが、徴兵制はあり得ない、野党があおっているだけだと幾ら言っても、誰も信用しません。
 安保関連法案には、女性の反対の割合が男性に比べて際立って大きいことを総理はよく御存じでしょう。そこには、決してだまされないぞという女性たちの声が集約されているのです。
 誰の子供も殺させない。自分の子供だけではない、誰の子供も殺させない。殺したり、殺されたりするために子供たちは生まれてきたのではありません。戦場に駆り出され、銃口を向け合う人たちの間に、そうしなければならない必然性はどこにあるのでしょうか。戦争を必要としているのは、私たちではありません。戦後七十年となる、この夏。私は、ほかの誰でもない自分の声を上げます。
 これがママたちの決意です。
 総理、気が付かれましたか。ママたちは、誰でもない私自身として声を上げているのです。戦後七十年談話を私という主語を明確にして語らなかった総理とは違うのです。
 私は、小学校の現場で長い間教師をしてきました。その中で、教え子を再び戦場に送らないという言葉に出会いました。誰の子供も戦場に送らない、そういう決意の下で活動してきました。先ほどのママたちと同じ思いであります。
 さて、安倍総理は、特別委員会の議論の際に再三にわたってやじを飛ばしました。審議の中で総理大臣席からやじを飛ばすこと自体が前代未聞であります。しかし、安倍総理、覚えていらっしゃいますか、あなたがやじを飛ばした相手、それは女性ばかりであります。衆議院の特別委員会では辻元清美議員、参議院では蓮舫議員。その前には私自身にも、私のいないところで名指しでありもしないやじと中傷を発言されました。自分と意見が違う女性の議員とは議論ができない、あるいは女性の意見は聞くに値しない、心のどこかで思っていらっしゃるのではないでしょうか。それとも、安全保障は男性の問題だと考えているのですか。
 私のクラスにもしもそのような子供がいたら、本人がいないところでありもしない悪口を言ったり、そのような態度を繰り返す子がいたとすれば、そんな品性のないことはやめなさい、気に入らないことがあるからといって状況を見失ってはいけません、そして何よりも女性蔑視はいけませんと諭したでしょう。
 日本国憲法第二十四条には、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚する立場を決して忘れてはならないと書かれています。安保法案が審議されているさなか、高校の保健教育の啓発教材として、「健康な生活を送るために」という副教材が全ての公立、私立高校に百三十万部も配布されました。そこには、妊娠、出産をできるだけ若年のうちにするよう誘導する意図的な内容が加えられています。

発言情報

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発言者: 神本美恵子

speaker_id: 20014

日付: 2015-09-18

院: 参議院

会議名: 本会議