小西洋之の発言 (本会議)

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○小西洋之君 民主党・新緑風会の小西洋之でございます。
 冒頭、去る台風十八号による災害による被害者の皆様に心よりのお見舞いを申し上げますとともに、各行政機関の引き続きの救援、救護の取組をお願いを申し上げます。
 それでは、私は、会派を代表して、ただいま議題となりました我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会委員長鴻池祥肇君問責決議案について、提案の理由の説明を行います。
 まず、本決議の案文を朗読いたします。
  本院は、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員長鴻池祥肇君を問責する。
   右決議する。
 以下に、本決議案を提案する理由を申し上げますが、その前に、昨日十七日の特別委員会における平和安全法制こと安保法案その他事項の採決の重大なる瑕疵について弾劾をさせていただきます。
 昨日の強行採決は、あろうことか国会法の定める委員会制度の趣旨に違反し、委員外の与党議員が突然に委員長を取り囲んで採決を強行したものであります。野党議員がそうした取り囲み行為を行う場合とは異なり、昨日は、野党議員は、委員長が何を話し、何をしようとしていたのかさえも全く推量不能であり、その結果、事実として、野党議員は主権者である国民の皆様から託された表決権を何ら行使することができなかったものであります。
 また、当日の議場には、国会議員ではない与党の秘書の皆さんも入り込み、我ら野党議員の表決権の保持を妨害する行為を行っていたことが事実の検証により明らかになってきているものと承知をいたします。まさに信じ難い暴挙でございます。
 委員長は国会法四十八条で議事整理権を有しているものの、議会制度の本旨そのものであり、議事整理権の目的そのものである委員の表決権を奪うことはできないのであります。野党議員が表決権を行使できなかった今回の採決は、当然に無効であります。
 なお、議長は、委員長から委員会での議事について報告を受ける立場にあり、こうした一見明白かつ重大この上ない瑕疵ある表決が強行された以上、安保法案採決のためにセットされた本本会議も当然に無効であります。
 その上で、以下、本決議案の提案理由を申し上げます。
 鴻池委員長におかれては、違憲立法の審議という日本国憲法下、重大極まりない特別委員会の運営に当たり、ある一時の時期に至るまでは、私のような一期生議員においても十分に理解し、また尊敬させていただけるような公正公平な委員会運営に努めていただいておりました。
 特に、解釈変更の最終案文の事前の十分なる国会審議を義務付けた昨年六月十一日の参議院憲法審査会附帯決議などを完全に無視し、我々議会を全否定し、国民の憲法を奪い去る解釈改憲を強行した安倍内閣の七・一閣議決定における次の言葉、「政府の憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる。」、実は七・一閣議決定にこの言葉が書いてあるわけでございます。まさに盗人たけだけしいと言うほかない言葉ではないでしょうか。
 その国民の憲法を奪った一味の方であります、まさに本領を発揮したというべき礒崎総理補佐官の、法的安定性など関係ない、こうした空前絶後の暴言に際し、鴻池委員長は御英断をもって、議会初めての総理補佐官の参考人招致を実現いただきました。まさに良識の府のあるべき姿を示していただいたものと思います。
 また、そのときの鴻池委員長自らの礒崎補佐官に対する質疑、さきの大戦の反省から、貴族院が止められなかったあの軍部の戦争に至った道というものを十分反省をしながら、参議院の存在を一生懸命つくり上げた、この委員長のお言葉、さらには、参議院は衆議院の下部組織ではない、ましてや官邸の下請機関などではないとの議会人としての矜持のお言葉は、今や風前のともしびにある我が良識の府参議院に集う一議員として深い感銘と決意をいただいたものでございました。
 しかし、誠に残念かつ遺憾なことに、その後の鴻池委員長の委員会運営は、主権者である国民の憲法をじゅうりんする安倍政治の暴走の中で、地方公聴会の開催の決定など、委員長のお力、御尽力をいただいたものがあるものの、最後はその信念を体現していただくことがかなわないものとして、戦後議会の議事運営に前例のない重大な瑕疵を残す強行採決に至ったものであります。
 報道によれば、鴻池委員長におかれては、十会派のうちの五つの会派が賛成したのだから強行採決ではないとおっしゃっているとのことであります。しかし、主権者である国民から見れば、その代表である我々野党議員が表決に加わることすらできず、何よりも主権者国民の憲法が違憲立法によって奪われたという意味において、これを強行採決以外の言葉で表現することはできないのであります。
 あえて表現する言葉があるとすれば、もう一つの強行採決でございます。道徳的な観点から見た悪い行い、そうした凶行採決であれば、この事柄の本質を的確に表すことができるものであると考えるところでございます。
 では、この強行採決に至る経緯でございますが、九月十五日開催の中央公聴会の職権による開催及び十六日開催の地方公聴会の開催後の締めくくり的総括質疑の職権設定などがございました。特に、十六日の地方公聴会開催後の十八時、午後六時に職権で締めくくり的総括質疑の委員会立てが行われました。これは、議会の歴史において前例のないことでございます。
 そして、そこから、このおきて破りの違憲立法の強行採決を阻止するとともに、各公聴会で明らかになった違憲論点について十分な審議を求める我々野党側と、国民と憲法を無視し、しゃにむに採決を目指す与党側の徹夜の対峙の後に、途中、委員長の配慮による人道的見地からの休戦の時間もございましたが、十七日の朝、私の理解しているところによりますと、八時五十分に理事会がセットされることとなりました。しかし、その十七日の朝の理事会は、いつもの第一理事会室ではなく、何と第一委員会室の看板が替えられて、あの広々とした第一委員会室の中で強行をされたものであります。まさにだまし討ちとしか言いようのない暴挙であります。
 会期は二十七日まであります。なぜこのような手段を強行してくるのか。第一理事会室の運営も国民の皆様の税金から成り立っております。理事会室として使うべき部屋を使わず、何の目的を持って広々とした第一委員会室を理事会室に充てたのでございましょうか。こうした議会のルールを裏切ることは、すなわち国民に対する裏切りであり、全く国民の皆様の理解は得られないものであります。
 そして、鴻池委員長の不信任案が否決された後に、冒頭申し上げた国会法の趣旨に違反する外人部隊の応援による実力行使によって強行採決に至っているのであります。そして、地方公聴会の派遣報告を行うこともなく、十七日に採決を強行したのであります。私は特別委員会の委員として地方公聴会の会場に派遣されておりませんでしたので、地方公聴会でどのような公述人の方からの意見陳述があり、また、公述人の方と質疑者との意見の応答があったかについて全く何ら知ることができないままに安保法案を強行採決されているのであります。
 また、中央公聴会を含め、強行採決により、どちらの公聴会についても、公述人の方々からいただいた貴重な御意見を法案審議に生かす、また、法案審議に反映させていただくための委員会審議を開催することは一度もできませんでした。さらに、強行採決により、何と良識の府である我が参議院において参考人の質疑が衆議院よりも一回少ない、衆議院は二回やっておりますけれども、我が参議院は一度しか行えていない。良識の府は、また別名で熟議の府と言われておりますけれども、どこが熟議の府なんでございましょうか。
 そして、この切り捨てられ、軽んじられた各公聴会及び参考人質疑が本特別委員会ほど重要な意義を有するものはいまだかつてなかったと申し上げさせていただいても過言ではないのであります。なぜなら、本本会議に緊急上程されている安保法制は、元最高裁長官、元最高裁判事、元内閣法制局長官、憲法学者の方々等々、その専門的見識において、決して一私人ではなく、我が国の法の支配を支え、発展させてくださってきたかけがえのない有識者の方々の御指摘でございます、その御指摘が一致しているものは、この安保法案は違憲立法であるということでございます。
 衆参の議会が安倍内閣の解釈改憲を阻止できず、昨年七月一日、国民の皆様の憲法を守れず、そして、あろうことか衆議院においては違憲立法の強行採決を行い、そして、我が良識の府の参議院でもこの違憲立法の審議を受けている。まさに、我が参議院の公聴会などは、憲法の唯一の所有者であります主権者である国民の皆様の声をいただくその役割として、これまでになく、この上のない、かけがえのない重要な役割を持っていたものでございます。
 さらに、地方公聴会においては、前学術会議会長の広渡公述人において、専門的見識を平気でじゅうりんする安倍総理は、反平和主義、反民主主義、反立憲主義に加えて、反知性主義であると厳しく批判されていたということでございます。安倍内閣の解釈改憲と違憲立法の根底にあるこの安倍総理の政治家としての本質、こうしたこともしっかりとこの公聴会の御意見をいただいて我々の審議に反映させなければいけなかった、そのことが切り捨てられているわけでございます。
 このように、鴻池委員長の差配の下、強行されるに至った議事運営は、議会の歴史に前例のない、国民を無視し、国民の代表の野党議員を無視し、かつ良識の府の議会運営をもじゅうりんする強行採決であったのであります。以上の理由をもって、鴻池委員長は十二分に問責に値するのであります。
 特に忘れてはいけないことがございます。このような異常な手続の下に採決された法案をこの本会議で立法することは、その法律の下の武力行使を始めとする軍事力の行使で間違いなく戦死を余儀なくする自衛隊の皆さん、そして、集団的自衛権行使による相手国からの反撃等々により間違いなく死傷することになる、またテロも受けることになるでしょう、そうした生命や身体が傷つけられてしまう国民の皆さんに対して、どのようにも説明が付かないことであります。
 皆様既に御存じのとおり、昨日の強行採決の議事録、騒乱によって、騒動によって聴取不能ということしか書かれていないわけでございます。そのような特別委員会の採決で、自衛隊員を始めとする国民の皆さんを戦争のその脅威にさらす、あるいはその被害にさらす、そうしたことが許されるんでしょうか。この安保法案は廃案しかない、そのことを信念を持って申し上げをさせていただきます。
 しかし、今申し上げましたこれら、はるか全てを超えて、最も鴻池委員長に対し問責が追及されなければいけない問題があるのであります。鴻池委員長のこの特別委員会の委員長としての議事運営における最高にして最大の責任、それは、鴻池委員長の、憲法第九十九条、憲法尊重擁護義務違反であります。
 委員長は国会法により議事整理権を有しますが、それが委員長自身の憲法尊重擁護義務及び憲法九十七条の最高法規の規定によって、あくまでもその議事整理権は日本国憲法を尊重し擁護する範囲でしか行使できない、行使しなければならないことは明々白々であります。これを更に我々立法府全体、国会議員全体の問題として敷衍化してみたときに、立法府の役割とは、安倍内閣によって強行された違憲の解釈改憲に基づく違憲立法を阻止する、この一点にあるのであります。
 鴻池委員長は、こうした憲法上の義務に基づき、今日まさにこの瞬間にこの国会の周辺で、そして全国で行われている市民の皆様の抗議の声、そして抗議のそのデモ等の取組、徹底審議をしなければならない、この安保法制は廃案にしなければならない、鴻池委員長は、まさにこの国民の声を受け止め、胸に刻み、それを自らの憲法上の義務の下、違憲立法については即刻廃案とする議事整理を行う責務を負っていたのであります。
 しかも、本日のつい三日前の中央公聴会、そして僅か二日前の地方公聴会で、一見明白にして深刻、かつ多数の違憲論点が示されていたばかりでございます。こうした違憲論点を論理的に完璧に我々立法府が白黒を付けなければ、国会議員として、そして委員会として、我々は憲法尊重擁護義務を全うしたことにはならないのであります。
 そして、鴻池委員長の第一のその職務というものは、この議会そして我々国会議員が有する憲法尊重擁護義務を全うさせる、そうした議事運営、議事整理権を行使することにあったのであります。
 しかし、こうした見解について、憲法の最終解釈権を有するのは最高裁である、だからそこに白黒を任せればいいという暴論がございます。安倍総理も再三国会でおっしゃっておりました。法案審議はいいじゃないか、最高裁に任せればいいじゃないかという趣旨というふうに私は理解をしております。
 なぜこれが暴論なのでしょうか。それは、安倍総理は、憲法が定める三権分立の真の趣旨を何ら理解していないからであります。我々立法府の役割は、国民を代表する唯一の代表機関として、違憲の法律によって国民が不条理に傷つくのを阻止する、国民を守ることにあります。
 我が国の憲法の下で、司法権、最高裁がその役割を行使できる、それはただ一点でございます。国民の具体的な権利が違憲の法律によって侵害されたときだけでございます。つまり、最高裁に任せればいいというのは、国民が違憲の立法で先に傷ついても構わない、国民が違憲の戦争で先に戦死しても構わない、国民がテロに見舞われても構わないと言っていることと全く同じなのでございます。
 こう言ってはなんですけれども、SEALDsの奥田愛基さん、彼と同い年くらいの法学部にいる学生でも容易に理解できる三権分立の本質が、残念ながら我が良識の府の参議院を含め、そして、こう言ってはなんですけれども、衆議院も含め、一度も安倍総理から見解として述べられたことがなかったことは、まさに安倍総理が立憲主義、法の支配、そして憲法の何たるかが全く分かっていないことの証明以外の何物でもございません。
 安倍総理はかつて、今から三年前だったでしょうか、三月二十九日の参議院予算委員会で私の質問に対し、日本国憲法で一番大切な条文、憲法の目的そのものを定めた憲法十三条について全く知らない、全く理解すらしていないということが白日の下に明らかになりました。
 私の質疑に先立つ約一か月前、同僚議員でございます、先輩議員でございます藤末議員の質問、鋭い切り込みでございました。二月の二十六日でございます。自民党の憲法草案にある、憲法十三条の公共の福祉の言葉を公益及び公の秩序に塗り替える、取り替える、その趣旨を藤末議員は追及をされたのでございます。
 実は、この公共の福祉の意味、自民党の皆さんが理解しているように、国民の権利を超えた社会全体の大きな価値を意味するものではございません。過去の歴代の政府の憲法解釈、そして累次の最高裁判決によってまさに積み上がった、確立した解釈がございます。それは、憲法十三条に定める個々の国民のかけがえのない幸福追求権を、共に生きる社会の下に、公共の原理の下に調整をする、その原理の意味が公共の福祉という言葉の意味でございます。その公共の福祉の言葉を、誰が作ったか定義したかも分からない、社会全体の価値に置き換えた瞬間、まさに憲法的に戦前の明治憲法と全く同じ憲法になってしまうのであります。
 その三月二十九日における私の国会の質問、こういう質問でございました。事前に質問通告はしっかりさせていただいておりました。質問通告は、まさに二月の二十六日、藤末議員が追及をされておりますので、この通常国会で質問された憲法の条文について安倍総理に質問するので、どうか答えてください、準備をお願いしますという質問通告をさせていただいておりました。
 質問その一、憲法で包括的な人権規定と呼ばれる条文は第何条でしょうか。安倍総理の当時の答弁がございますので、ちょっと読み上げをさせていただきます。小西洋之君、憲法において包括的な人権規定と言われる条文は何条ですか。安倍総理、今そういうクイズのような質問をされても、余り生産性はないんじゃないですか。
 小西洋之君、憲法において個人の尊厳の尊重を包括的に定めた条文は何条ですか。内閣総理大臣安倍晋三君、それをいきなり聞かれても、今お答えできません。さっき申し上げました、通告はちゃんとしておりました。小西洋之君、幸福追求権を定めた条文は憲法第何条ですか。内閣総理大臣安倍晋三君、それ、こういうやり取りは、私、何の意味があるか分かりませんよ、これ、やるんだったら大学の憲法学の講義でやってくださいよ。
 小西洋之君、芦部信喜さんという憲法学者、御存じですか。内閣総理大臣安倍晋三君、少し解説を加えさせていただきます、にやにや笑いながらこうお答えになりました、私は存じ上げておりません。
 先輩、同僚の議員の皆様にはもう御説明するまでもなく、憲法十三条は、日本国憲法の目的そのもの、個人の尊厳の尊重を定めた究極の条文でございます。内閣総理大臣が何のために存在するのか、我々国会議員が何のために存在するのか、全てその根拠、その意味はこの憲法十三条に行き着くわけでございます。
 ところが、国会議員を二十年余りお務めになっていた安倍総理は、しかも憲法改正が我が国会議員としての使命である、存念である、そうした趣旨を再三にわたりおっしゃっていた安倍総理が、憲法で一番大切な条文についてまるっきり何にも理解もせず、知りもしなかったわけでございます。
 ちなみに、芦部信喜先生、良識の府の先輩、同僚の議員の皆様は十分御承知いただいておると思いますけれども、この違憲立法の重要な違憲論点でございます立法事実論、我が国の憲法学において、戦後、立法事実論を体系立てた、戦後憲法学の泰斗でございます。
 安倍総理が芦部信喜先生のお名前すら知らなかったということは、日銀総裁がケインズを知らずに金融政策をやってしまうようなもの、あるいはお医者様が医学を勉強せずに手術をやってしまうようなものというような、多くの国民の皆様の驚きと批判があふれておりました。
 まさに憲法の何たるかが全く分かっていない安倍総理が、我々国会を切り捨て、国民の皆様を切り捨てて強行したのが昨年七月一日の解釈改憲であります。そして、この違憲立法はその違憲の解釈改憲の上に成り立っているわけでございます。
 しかし、実は、今申し上げましたその参議院予算委員会の質疑の当時、私も、そして恐らく日本社会も、先ほどの安倍総理の答弁には、もっと恐ろしい、思わず身の毛のよだつような大切なことが隠されていたことに気付いていなかったのでございます。
 安倍総理と違って、憲法の何たるかを十分体得の上、日々国民のための立法に励んでいらっしゃいます先輩、同僚の議員の皆様には申し上げるまでもありません。十三条はどういう条文でしょうか。

発言情報

speech_id: 118915254X04320150918_112

発言者: 小西洋之

speaker_id: 27444

日付: 2015-09-18

院: 参議院

会議名: 本会議