長島昭久の発言 (外務委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○長島(昭)委員 今大臣がおっしゃっていただいたように、必ずしも片務的ではないんです。お互いに、性格は違うけれども、義務は果たしているわけですね。
 さっきドナルド・トランプ候補の発言を引用させていただきましたけれども、米側から見て、五条だけだったら、ほかの同盟条約に比べてアメリカ側の持ち出しが大きいじゃないか、こういう批判が当たると思うんですが、それをカバーしているのが第六条なんですね、第六条。
 この第六条で、アメリカ合衆国に対して、極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために、米側に対して基地と施設の提供を日本がする、こういう形になって、私流に言うと、有事のリスクをアメリカがより多くとるようになっているんですが、それを、平時のコストを日本がより多くとることによって何とか双務性のバランスをとっているというのが、私は日米同盟の基本構造だというふうに思うんです。
 これは、実を言うと、今私が最初に申し上げたように、日米同盟の土台はしっかりしているんだけれども、構造物に多少脆弱性があるのではないかというところのポイントがあるんです。それは何かというと、どうしても基地施設の提供の方に、有事のリスクは日本は憲法上の制約もあってなかなか負い切れないということで、平時のコストにかなりウエートがかかってくるんですよ。これが基地施設の提供であり、地位協定上のさまざまな問題であり、それが一番先鋭的に出ているのが沖縄の基地問題だと言うことができるんだろうと私は思うんです。
 この平時のコストと有事のリスクの微妙なバランスの中で何とか構造物を維持してきたというのがこれまでの日米同盟の歴史であって、先ほどちょっと大臣説明されていましたけれども、そこにガイドラインを三回にわたってつけたり、あるいは、中曽根政権時代には、それまでバードンシェアリングと言われていた、つまりお金を出して何とか済ませてきた、バランスをとってきたやり方から、もう少し日本が、一千海里のシーレーンも防衛するとか、あるいは三海峡を場合によっては封鎖するという、そういう日本の軍事的な能力も付加しながら、有事のリスクもだんだんとりながら、平時のコストをアメリカと交渉してなるべく下げていくような、そういう深化の過程が日米同盟にはあったというふうに思うんです。
 この基本構造を早くから見抜いて、これをもっと直接的に是正しようというアプローチをとったのが、実を言うと、これは岸総理の前です。一九六〇年の安保を改定する前、まだ日本民主党、鳩山一郎さんが総理大臣、重光葵さんが外務大臣。私はこの重光葵という人を物すごく政治家として尊敬しておりますけれども、一九五五年の八月ですよ、まだ保守合同をする前の話、この重光葵が、当時のダレス国務長官に対して、日本も西太平洋地域において、さっきの他の同盟条約のように、他の同盟条約は太平洋地域ということになっていますけれども、西太平洋地域においてアメリカと相互防衛するような役割を負うから旧安保を改定しようということをダレスに直接提案するんです。それに対してダレスは、君、何言ってるんだ、そんなことを君たちの憲法の解釈でやれるのか、こうやって切り返されて、結局は断念せざるを得なくなってしまったんです。
 ちょうどその重光とダレスの会談に陪席していたのが、当時日本民主党幹事長だった岸信介さんだったわけです。その後、彼は、そのとき重光と一緒に非常に悔しい思いをしたというのが原点にあって、安保改定に踏み切っていくわけなんですね。
 そのときも、しかし、岸さんは、西太平洋、あるいは太平洋地域というエリアにまで射程を広げる努力をかなりしたということを、研究者の研究などで私読んだことがあるんですけれども。結局、当時一九六〇年の、まだ戦後十五年しかたっていない、自衛隊もまだまだ、当時は二千億にも満たないような、そんな予算規模だったと思います。今や五兆円ですよ。三十倍以上になっているわけであります。
 当時、重光外相あるいは後の岸首相が果たせなかった、有事のリスクと平時のコストをバランスよく、お互いに日本とアメリカが適正に分担し合うような、あるエリアですよ、太平洋地域なら太平洋地域、西太平洋地域なら西太平洋地域で、まさに相互防衛努力を行えるようなそういう環境を、これから安保法制も整備され、限定的とはいえ集団的自衛権の行使に踏み切る、こういう決断を、それは野党の中にも相当批判はありますよ、国民の間にも不安はあると思います、しかし、それは何のためにやるかといえば、一つは地域の安定のため。地域の安定の一番の基盤は何かといったら、日米同盟の安定でしょう。それは外務大臣も異論はないと思うんですね。
 そういう日米同盟の安定のために、今ある基本構造の脆弱性というものを、日本側が有事のリスクをとり、そしてアメリカ側に平時のコストをさらに削減してもらう形で、両国民が納得できるような、あるいは信頼できるような、支持できるような、そういう形につくりかえていくというような将来構想のようなものを外務大臣はお持ちでしょうか。

発言情報

speech_id: 119003968X00420160316_012

発言者: 長島昭久

speaker_id: 29241

日付: 2016-03-16

院: 衆議院

会議名: 外務委員会