崎田裕子の発言 (環境委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○崎田参考人 どうも、崎田裕子と申します。
 今回、このような場で発言をさせていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。
 こういう流れにふなれで、私、今回資料を準備させていただいておりません。大変申しわけございません。きょう、これからのお話をじっくりと聞いていただければありがたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 私自身、ジャーナリストとして、二十五年ほど前から、環境・エネルギー分野で仕事をさせていただいております。その中で、環境課題の解決には一人一人の実践が大変重要ではないかというふうに感じまして、環境学習や多様な主体の参加、協働による持続可能な地域づくりの応援、こういうことに取り組んでまいりました。
 具体的には、代表理事を務めておりますNPO法人新宿環境活動ネットというところでは、新宿区立環境学習情報センターの指定管理者として、ここ十二年ほど、地域の環境学習の推進に携わっております。そこでは、地域住民の方々や事業者を対象にした環境活動の交流拠点として、市民、事業者参加型で運営するという方法をとらせていただいております。
 また、もう一つ、理事長を務めるNPO法人持続可能な社会をつくる元気ネットという団体がございます。これは循環型地域づくりに取り組む全国の団体のネットワークですが、スリーRに関する人材育成や、市民、事業者、行政の連携による対話の場づくりなどに取り組んでおります。
 このような経験を踏まえて、これまでの地球温暖化に対する啓発活動や国民運動の課題を考えてみたいというふうに思っております。
 京都議定書の目標に向けた取り組みを進めていた時期にかなり環境意識は高まってきたというふうに考えておりますが、暮らしの中での実践行動の定着やライフスタイルの変換には、まだまだ危機感が足りないのではないかという実感を持っております。
 先ほどお話ししたNPO法人元気ネットで、二十六年の秋に全国約五百人を対象に、環境配慮商品と消費行動をテーマにアンケートを実施いたしました。この際、環境に関心がある、あるいは少しあるというふうに答えてくださった方は九四%という高い数字でした。ところが、買い物の際、環境配慮商品を選択しておられるか聞いたところ、グリーン購入を実施していると答えてくださったのは一七%という数字でした。
 環境への関心は高いものの、効果的な行動にはまだまだ結びついていないという傾向は、この私どもの非常に小規模のアンケートだけではなく、環境省が毎年実施しておられる大規模な調査でも同様な結果が出ているというふうに考えております。
 平成二十六年に全国二千六百人を対象に実施した、環境にやさしいライフスタイル実態調査というのがございます。ここで、関心ある環境問題として地球温暖化と答えた方は七〇%を超えて断トツでした。実際に行っている環境行動として省エネという項目を挙げた方は七三%もいらしたのですが、もっと具体的に、環境配慮商品を選択したことがあると答えた方の場合、省エネ家電では三八%、環境配慮型自動車は一四%、高効率給湯器は一三%と非常に少なくなっております。
 日々の省エネ行動はもちろん大事ですけれども、環境への関心を、身近な実践だけではなく消費選択する際の視点にきちんとつなげていく、そして長期的にはライフスタイルの転換につなげていく、そういうことを考えれば、まだまだ道半ばであるというふうに考えております。
 ただし、実践行動や消費選択、そしてライフスタイルの変革につながる普及啓発として、二〇〇五年に呼びかけが始まったクールビズ、これはかなり成功した例の一つではないかというふうに思っております。
 それまでは、暑い季節にスーツとネクタイをしっかりと締めて仕事をする男性の方に合わせて、オフィスの中では薄着の女性がぶるぶる震えながら仕事をしていた、そういうときもありました。そういう呼びかけに対して、手軽に実践できることもあり、多くの国民が夏のオフィスでの軽装に賛同し、冷房設定も高くするというようなことが定着してきたというふうに思っております。
 また、企業のトップの方にまず実践を働きかけるというような戦略も明確にありました。そして、ネクタイなしでもおしゃれなシャツを開発するような産業界、経済界にも大きな流れが生まれてきました。
 こういうような流れがかなり定着してきたと思いますが、ただ、クールビズも、今のように世に知られ、普及するのにかなり年月がかかったというふうに感じております。
 残念ながら、その後の普及啓発、もちろんしっかりといろいろなものに取り組んでいますが、ライフスタイルの転換ということを見据えたことを考えれば、まだまだ大きなうねりにはなっていないのではないかというふうに感じております。
 私たち国民は、これまでの報道などに接して、世界全体の温室効果ガスの削減が大変重要で、日本も削減目標を設けてそれを達成していくこと、そして途上国に日本の技術を広げて国際貢献をしっかりすることが重要だということ、こういうことは理解しているというふうに考えております。
 ただし、それが自分にとってどういうふうに関係があるのか、例えば、ここ十年の温室効果ガスの排出量が、家庭部門や身近な事業者部門が増加しており、私たちの暮らしや地域での大幅な削減こそが今回期待されているということまでイメージできていないのではないかというふうに考えております。
 また、もし省エネ性能のいい機器を選んだ場合、購入費用は高いけれども、使用する電気代が減って、しかも長もちするというような、負担する費用とメリットの関係が短期的にはどうなるのかということとか、子供世代の将来など長期的にはどうなるのか、そういうようなことを具体的にまだまだイメージできていないのではないかというふうに考えております。
 こういうふうな考えから、国民に対し、地球温暖化に対する危機意識、自分事として考える当事者意識の浸透を改めてここで強化すべきというふうに考えております。
 先ほども申し上げたように、温室効果ガス削減目標の達成という国のメリットの説明だけでは不十分です。国民としてどういうメリットがあるのか、一人の市民としてどういうメリットがあるのかということを入り口に、しっかりと伝えていただきながら、国民一人一人と地球温暖化防止の関係を具体的に伝え、構築していくということを考える時期ではないでしょうか。
 そのためには、物づくり、エネルギー、地域づくりもそうですが、いろいろなことに関係する、そういう各省庁と十分に連携、協働し、またエネルギーを使うような製品はもちろん、住宅、建築物にかかわる業界とも連携するということが重要だと思っております。
 また、伝える方法にしても、パンフレット、ポスターの作成とかホームページによる情報提供ではなく、最近は動画を初めとするインターネットの技術も活用するなど、世代に応じて随分取り組み方が違ってきておりますので、このような対象に応じた、国民にわかりやすく伝えるツール、コンテンツを積極的につくり出していくということが大事ではないかというふうに思っております。
 このような身近な取り組みがしっかりと効果を上げるのかというふうに疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。先ほど紹介した、私どものNPOが実施した消費行動アンケート調査の中に、環境のためならライフスタイルを変えてもいい、あるいは仕方がないと肯定的に答えてくださった方が合計八二%いらっしゃいました。これは大変うれしい材料だというふうに思っております。ライフスタイルを変える強いきっかけや明確な情報、実践できる仕組みや社会システムが暮らしの身近にあるという状況を整備することが重要だということを意味していると考えております。
 普及啓発の課題という視点で今お話をしてまいりましたけれども、地球温暖化対策に関する今後の取り組みのポイントを整理させていただきます。
 今まで申し上げた中で三つ挙げさせていただきますと、一つ目は、地球温暖化に関する危機意識、当事者意識を浸透させ、国民一人一人の自主的な行動を促すということ。その際、先ほどもお話ししましたが、国民にとってのメリット、光熱費のこと、暑さ寒さの影響が少なく快適な暮らしになるというようなこと、こういうことの積極的なアピールとか、国民をやる気にさせるような大きなムーブメントをつくっていく。国民運動というふうに今回いろいろ出ておりますが、こういうことが必要なのではないかと思っております。
 二番目は、それに関係する業界や各省庁など、広く関係者との十分な連携、協働体制をつくっていく、そして、国民だけではなく、地域社会そして経済、こういうような方々を巻き込んで大きなうねりにしていくということが大事なのではないかと思っております。
 三番目は、働きかける相手に合わせその内容などを考え、効果的な普及啓発手法の工夫、こういうようなのがやはり大事だというふうに思っております。
 こういう視点から、今回の地球温暖化推進法改正案について若干意見を申し上げたいというふうに考えております。
 二〇三〇年の削減目標達成に向けて、これまでなかなか削減できなかった家庭、業務部門の省エネ努力は非常に重要だというふうに思っております。
 地球温暖化対策計画の検討に私も参加しておりましたが、家庭、業務部門はそれぞれ四割程度の削減が期待されており、これはかなり本格的に取り組まないと達成できないという数字だと考えております。もちろん、この四割という中には電力の低炭素化で達成される部分もありますが、省エネ努力などによる削減分が、家庭では一四%相当、業務で一五%相当であり、暮らしや地域での対策行動の見える化、そして定量化というのが大変重要になってくると考えております。
 今回、啓発活動、国民運動にてこ入れをしてこれを強化していくというような内容になっておりますが、これは大変意義があるというふうに考えております。
 環境省が、クールチョイスという呼び方を旗印にして低炭素製品への買いかえをまず呼びかける、こういうようなことを考えておるようですが、市民にとって、関心はあるけれども何を実行したらいいのかわからないというようなときの具体的な情報として、まずは意義ある呼びかけだというふうに感じております。
 もちろん、省エネ家電だけでなく、二重窓で気密性を高めたり、自宅の改修をするときは断熱材を入れる、いろいろな分野を広げていくことで多様な分野で低炭素型の市場の拡大につながってくるというふうに考えております。
 さらに、今後の長期大幅削減に向けては、ライフスタイルの変革や転換に向けることが重要だというふうに思っております。
 低炭素市場の拡大、創出による技術の広範な定着と、一人一人の暮らしの知恵を合わせたハードとソフトの連携が進めば、公共交通や公共施設、自転車や車をシェアする、今クールシェアとも呼ばれていますが、こういうことを定着させたり、自然の恵みを大事にする暮らしなど、低炭素な暮らしと町づくりにつながる将来のライフスタイルの変換、転換にもつながっていくと期待しております。
 最後になってまいりますが、このような一人一人の行動の変化を支える情報とか知恵、人材をしっかり確保し、地域戦略を立てるためにも、自治体がしっかりとした地域計画を立てる、そして実行するということが重要になってくると考えております。
 今回の改正案の中には、地域における温暖化対策も明確に視野に入れ、地域によっては自治体が計画を共同して作成するなど、広域的な対応も視野に入れておられます。そういうことを強化している視点は大変重要だと考えております。
 今、地域では、地球温暖化対策への思いと、地方創生、地域活性化を願って、地域の未利用資源を活用した再生可能エネルギーづくりとか、地域らしい取り組み、持続可能な未来に向けて個性ある地域をつくっていこうというような町もふえてまいりました。消費地らしい取り組みや自然豊かな地域の取り組み、そして自治体やNGO、事業者などの連携でそういうことをつないでいく、そういうことが大変重要になってきていると思っております。
 こういう地域の広い面的な広がりを支える基本として、今回、温暖化推進法の改正案をきっかけにして、自治体や地域の事業者、国民、そして温暖化対策、適応する暮らしや町づくりに関係する企業の方々、そして多くの関係者が自主的な参加と連携による大きな場をつくっていく、こういうようなうねりをつくっていくことが重要なのではないかというふうに感じております。これをきっかけに、意識啓発から消費選択、実践行動、そしてライフスタイルの転換に続く道をつくっていく、それこそが本当に大事だというふうに心から期待しております。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 119004006X01020160422_006

発言者: 崎田裕子

speaker_id: 34190

日付: 2016-04-22

院: 衆議院

会議名: 環境委員会