松村敏弘の発言 (経済産業委員会)
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○松村参考人 東京大学社会科学研究所の松村と申します。
本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。
きょうは、FIT法改正に関する私の意見を申し上げさせていただきます。資料の最初のページの「要旨」と書いたところで言いたいことを全て書いておりますので、ここだけ見ていただければ、言いたいことは全て伝わるかと思います。
まず第一に、再生可能エネルギー、再生可能電源を普及させていくためには、パネルだとか架台だとか、あるいは設置コストだとかブレードだとか、そういう直接コストや賦課金というだけではなく、系統コストも含めた全体のコストを下げていかないと、普及拡大を推進することができないということで、系統費用も含めた総コストをどう下げていくのかというのがこれからの重要な問題になると思います。
今回の法改正は、そのためのとても重要な一歩になっていて、前進になっていると思いますが、しかし、まだ今後も継続的な努力は必要なんだろうと思っています。
それから、二〇三〇年断面で再生可能電源二二から二四%というエネルギーミックスというのが既に打ち出されています。
このエネルギーミックスに関しては、この割合を高めるというためには、やはりコストをさらにドラスチックに下げていかないととても難しい。それから、現在でも、この二二から二四というのでも、相当なコスト削減を見込んだ上でリーズナブルな選択肢として出ているということをきちんと認識して、今後も、事業者、政府を含めて、大きな努力というのをしていかないといけないと思っています。
それから、FIT制度の改革というのと電力システム改革というのは車の両輪だと思っています。電力システム改革の成果というのを最大限生かして、系統対策コストも含めてこれを下げていくという努力を今後も継続していくべきだと思います。
それから、再生可能電源に関していつも注目が集まりますが、再生可能電源だけではなく、熱も含めた普及拡大というのがとても重要なんだろうと思います。その際には、エネルギーの地産地消というのがとても重要になってくると思いますが、この地産地消というのを普及させるためにも、公平に公正に競争できるシステムというのを構築していくことが今後の大きな課題だと思っています。
既に御案内のとおり、再生可能電源というのは、エネルギーミックスにおいて二二から二四という数字が挙げられているというわけですが、これは、再生可能エネルギーをさらに拡大すべきだという人の立場から見ると、ささやか過ぎないかというような意見というのも出ているかと思います。
これに関しては、いろいろな制約を考えてこの数字が出てきた。自給率だとか電力コストだとか、あるいは環境だとかというような制約を考えながらこの数字が出てきたわけですが、当然、再生可能電源というのは、環境という点から見ても、エネルギーの需給という観点から見ても望ましいというわけですから、数字が制約されるのは専らコストの要因だ。したがって、このコストの要因を何とか解消していくということがより高い目標を上げるというためには必要不可欠であり、あるいは、この数字を死守するという点でも相当なコスト削減というのが必要だと思っています。
コストを削減することが再生可能エネルギーを普及させることに直結するという局面になってきたということをきちんと認識し、今回の法改正でも、再生可能事業者にとって若干不利と思われるようなものも入っているじゃないかというのに関しては、それによってコストを下げて、全体として再生可能エネルギーを普及させていくということであって、決して再生可能エネルギーに関して逆風の改正ではないのだということをきちんと理解する必要があると思います。
それに関して、特に賦課金などでは、一家庭当たり幾らの負担になる、これが重いとかというようなこともありますが、これは産業用を使っているということはきちんと認識する必要はあるかと思います。
さらに、再生可能エネルギーを普及させるためのコストとしては、賦課金だけではなくて、系統安定コストというのがとても重要になってくる。送電線の建設費用というだけでなくバックアップのための電源のコストだとかというのも必要になってきて、そのためには、再生可能エネルギーも、不安定な電源だけではなく、小水力やバイオだとかという安定的な、あるいは出力調整も可能な電源というのをバランスよく入れていくことが非常に重要だと思います。
そのために、枠取りというようなことにより、ほかの開発期間がよりかかる電源が入れない、こういう状況を防ぐことというのはとても重要であり、今回の改革というのはこのためにも重要な一歩になっていると思います。
さらに、買い取り価格の決定時期というのを、太陽光に関しては発電時にするということをすれば、この枠取りというもののインセンティブはさらにドラスチックに減らすことができますが、ただ、この場合には、系統接続のための期間というのが不透明だ、こういう状況を考えると、今すぐやるというのは時期尚早というのは間違いないと思いますが、今後も継続的にこの点については検討していく必要があると思います。
さらに、入札制というようなものに関しては、早い者勝ちというのを抑制して、全体として、コストを下げ、適正なバランスというのをもたらすためにもとても重要な一歩になると思います。対象範囲に入っている事業者というのは、この範囲をできるだけ狭くしてほしいとかというような要望は当然出てくると思いますが、これは全体の観点から入れているのだということをぜひ御理解ください。
それから、再生可能エネルギーを入れるためには送電投資が膨大に必要だというのも、これも事実ではあるわけですが、例えば、北海道が再生可能エネルギーの適地であり、需要は本州にあるというような場合に、連系線を初めとして送電線を大規模に整備するということもとても重要なことですが、一方で、電気を消費地まで運んでくるのか、あるいは北海道に需要を誘致して適正に使ってくるということをするのか、需要を運ぶ方がいいのか、電気を運ぶ方がいいのかというのは、コストが低い方をやればいいということだと思います。
地域振興というのを考えるときに、再生可能エネルギーで地域振興というのも重要ですが、需要を誘致するということによって系統コストを下げるという地域振興も考えられるべきかと思います。
それから、さらに将来的には、フィード・イン・タリフという発想からフィード・イン・プレミアム、つまり、再生可能エネルギーの価値の部分というのを直接補填する、こういうシステムにして系統対策コストを下げるということも長期的には考えられるべきかと思います。
今までの発想というのは、需要に合わせて発電投資をする。したがって、ある種の変動というのがあれば、火力などを大増設して、それで調整しなければいけない。そうすると調整費用が膨大にかかるということはあるかもしれませんが、これはシステム改革の文脈で、需要の方をうまくコントロールしていって系統対策コストを下げるという視点もこれから重要になってくるし、システム改革によってこの道がどんどん広がってくると思います。
電力システム改革というのは順調に進んでいると認識しています。しかし、一方で、まだ積み残しの課題、将来に向けて積み残しの課題というのもあると思います。託送料金の体系だとかというのは、地産地消に関して今の段階では不利になり過ぎているのではないかと認識しています。これは、現行のシステムとしては合理的だったかもしれないけれども、今後の、将来を目指せば、数年のうちに改革していくべきなのではないかと私自身は考えています。
こういう地産地消に不利な託送料金の体系というのを長期的に変えることなくずっと維持したまま、それで補助金だとかというのによって地産地消を促進しようとすると、そのコストが膨大にかさんでしまって、また国民負担がふえるということになりかねないので、フェアな競争ができるという環境をまず整えるということが近い将来において重要なのではないかと思います。
最後に、再生可能エネルギーというのを普及させるために地産地消というのを推進することというのは、コストの低減という点でもとても重要な点だと思います。そのときには熱というのを有効に利用するということも考える必要があり、しかも、この熱というのをうまく利用して系統コストを下げるというような視点もあり得るかと思います。
このためにも、地産地消というのがフェアに競争できるような競争環境というのを地道に電力システム改革の文脈でも進めていくことが、遠回りのようですが、再生可能エネルギーというものの普及に資すると思います。
以上です。ありがとうございました。(拍手)