佐々木紀の発言 (原子力問題調査特別委員会)
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○佐々木(紀)委員 ありがとうございました。
御説明いただいたとおり、効率的な審査を進めるには、人材の確保だけでなく、いつまでに審査を終えるなどといった目標を掲げることも有効だと思います。そうすれば、その期限を守るためにどの程度の人材が必要かも見えてきますし、既存の人員でやろうとすると、当然おくれてきます。
また、審査の仕方についても、今ほど御説明のように工夫をされているということでありますけれども、過去の知見や再稼働させた実績を次の審査に生かすなど、審査の重点化や合理化もしていただきたいと思います。
また、炉安審や燃安審も大いに活用して、迅速かつ効率的で確実な審査をお願いしたいというふうに思います。
次に、敷地内破砕帯の評価が行われているプラントの適合性審査についてお聞きいたします。なぜならば、原子力規制委員会が設置した有識者会合による敷地内破砕帯の評価が審査のおくれにつながっているのではないかなというふうに考えているからです。
敷地内破砕帯評価の対象となった発電所は、大飯、美浜、東通、敦賀、志賀、「もんじゅ」の六つあるわけでありますけれども、これら敷地内破砕帯評価を実施中の発電所については、有識者会合による評価書が取りまとまり、原子力規制委員会へ報告がなされない限り、適合性審査に移ることができないというふうに決めてあります。
そこで、これからは志賀原発における有識者会合についてお伺いします。
四月二十七日に最終の有識者会合の評価書というのが原子力規制委員会に提出されたわけです。実に、一昨年八月の二号機の適合性申請から、既に約一年九カ月が経過しております。つまり、有識者会合のこの報告が出るまでの間、二年近く審査が滞っていたということになります。
もう報告書が出ましたので、今後適合性審査が再開されることになろうと思いますけれども、その際、原子力規制委員会は、適合性審査に当たっては、この有識者会合による評価を重要な知見の一つとして参考にするとしています。
そもそも、有識者会合自体が法的根拠がなく、また評価書が参考という位置づけにすぎないのであれば、許認可の可否を決定する適合性審査を早期に再開し、そこで速やかに評価を確定させるべきであると考えます。有識者会合に時間をかけるべきではありません。
このように一昨年八月の適合性申請からかなりの時間が経過している志賀二号機については、早期に審査を再開すべきであると思います。規制委員会の見解をお伺いしたいところでありますけれども、ちょっと時間がありませんので、指摘することにとどめておきたいというふうに思います。ぜひ志賀二号機については、速やかに適合性審査を開始していただきたいというふうに思います。
この有識者会合の評価書の具体的な中身についてもお聞きします。
有識者会合では、現地調査も行った上で評価を行いました。その結果がお手元の資料にあります。
この図を見ていただきたいんですけれども、問題になっているのは、一号機の原子炉建屋をかすめるように走っているS—1、黄色というかダイダイ色のラインであります。これが活断層かどうかということが議論されているわけです。ちなみに、S—1のSはシームのことで、破砕帯とは違います。破砕帯とは、過去に繰り返し動くことで幅の厚い断面となったもののことをいいますけれども、シームとは薄い粘土層のことで、断層にはほど遠いイメージです。
報告書では、S—1の南東部、この青色の区間ですけれども、後期更新世、十二から十三万年前以降の活動はないという見解は一致しておりまして、四月二十七日の原子力規制委員会の場でもそれを認めています。その一方で、S—1の北西部、赤色の区間、ちょっとピンク色っぽく見えていますけれども、については、変位したと解釈するのが合理的という逆の評価がされました。
同じシームなのに、途中から動く方と動かない部分に分かれているということなんですね。この時点で私は既にちょっと疑問を持っているわけでありますけれども、なぜ同じシームなのに二つの評価が存在するかというと、根拠となる資料が違うからです。
S—1北西部の判断資料は、今から三十年前の志賀一号機の建設前に行われたトレンチ調査の壁面のスケッチを用いています。審査ガイドでは、設置面での確認が困難な場合には、当該断層の延長部で確認される断層等の性状等によって判断するとありますので、旧トレンチ部分というのは建屋が建って確認できないわけですから、旧トレンチからの延長部であるS—1で調査することとされており、有識者会合でも、この地点、つまり駐車場南東方トレンチと書いてある真ん中の方にある青色に囲まれた部分で調査をして、南東部については活動性はないと判断しております。これは大変合理的で科学的な判断と言えます。
本来、北西部についてもこの調査で十分判断してもいいわけなんです。しかし、このS—1の北西部は、変位したと解釈するのが合理的という異なった判断がされているんです。それはなぜかといいますと、建設時と比べて新しい知見がないにもかかわらず、当時のスケッチを持ち出してきて判断しているからなんですね。
これについては、最終評価書において、今回の評価は限られた資料やデータに基づいて行われたとしており、有識者会合も、これは科学的な判断とは言えないと認めています。四月二十七日の原子力規制委員会の場でも、有識者会合の事務局である原子力規制庁から、限られたデータで議論しても結論が出ないという説明がなされるとともに、有識者会合のメンバーの一人でもある石渡委員からは、これは解釈であるということが重要との念押しがあり、田中委員長も曖昧さがあるということを認めています。
このように、不十分なデータによる解釈であり、曖昧さが残る評価であることから、より正確、確実な評価のために、今後の課題というのを出されて事業者に宿題を出されたわけであります。そういった意味でも、原子力規制委員会の場で更田委員長代理が指摘したように、今回の評価報告は、中間報告的な位置づけの域を出ない中途半端なものではないかというふうに考えています。
そもそも、三十年前当時、審査官や専門家が、このスケッチだけでなく、現物も見て、活動性に関しては問題となるものではないと判断したので発電所が建設されたのであって、その後新たな知見がないのであるから、当時のトレンチが現存しない今にあっては、審査ガイドに沿った形での評価、つまり延長部での現地調査で判断すべきであり、その現地調査では問題ないと判断されたにもかかわらず、その後新しい知見が出たわけでもない当時のスケッチを持ち出してきて判断するというのは、科学的ではないというよりも、常軌を逸しているのではないかとすら言えると思います。事業者にすれば、そのような判断がなされるのであれば最初から建設しなかったと言いたいところだと思います。したがって、結論ありき、もう言いがかりに近い内容なのではないかな、私はそういうふうに思っています。
こんな曖昧で非科学的で一方的な内容を導くのに二年近く費やして、事業者に調査のためのトレンチやボーリングなどに多額の費用を負担させて、意見すら聞かないで行った評価というのは大変問題があると思います。
さらには、この程度の内容にもかかわらず、地元では、黒評価、志賀直下に活断層、北電の主張完全否定と報道されて、あたかも有識者会合の評価が審査そのものであるかのような誤った捉え方をされ、住民の不安をあおってしまったとも言えます。
原子力規制庁は、有識者会合の評価書だけで審査するわけにはいかない、限界があったということも事実と説明しており、田中知委員からは、事業者から出される拡充データ等をもとに、審査会合においては科学的、総合的に判断していくことが必要という注文までつけられています。
破砕帯の問題は、原子力発電所の存立や電力会社の経営、ひいては日本のエネルギー政策に大きな影響を与える問題でもあることから、有識者会合の評価書はさきに述べたように解釈と位置づけられたものでありますけれども、有識者会合の五人の解釈だけで決まることがあってはならないし、そのようなことがあれば厳密な規制行政とは言いがたいと思います。
そこで、お伺いします。
有識者会合が取りまとめた評価報告書は、適合性審査において重要な知見の一つとして参考にするとされておりますが、有識者会合自体、法的根拠がないものであり、北陸電力による調査結果を踏まえていない、スケッチ等の限られた情報のみによる評価と言えることから、こういったものを重要な知見として取り扱うことは問題があると考えます。
適合性審査においては、有識者会合の評価書をベースに審査を行うのではなく、ピアレビュー会合で出された意見を尊重するとともに、宿題とされた事業者の追加調査結果も踏まえて、事業者と十分な議論を行いながら科学的、総合的な審査を進め、白紙の状態から判断すべきと考えますが、規制委員会の見解をお伺いしたいと思います。