黒田東彦の発言 (財務金融委員会)
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○黒田参考人 御案内のとおり、このマイナス金利政策というものは我が国で初めての経験でありますだけに、さまざまな声が聞かれているということはよく認識しております。
もっとも、今回の政策は、これまで所期の効果を発揮してきました量的・質的金融緩和を一段と強化することによって、企業や家計の経済活動をサポートして、二%の物価安定の目標を早期に実現するということを目的にしたものでございます。
実際に、マイナス金利つき量的・質的金融緩和の導入以降、短期から長期にかけて国債の利回りは大幅に低下しておりまして、イールドカーブ全体が下がっております。御指摘のように、長期あるいは超長期の金利も含めてかなり低下をしているということでございます。
これを受けまして貸し出しの基準となる金利あるいは住宅ローンの金利もはっきりと低下しておりまして、金融面では政策効果は既にあらわれていると思います。今後、その効果は実体経済や物価面にも波及していくものというふうに考えております。
一方、預金金利も低下しているわけですが、預金金利は既にかなり低い水準にありましたために、その低下幅は貸出金利に比べますと小幅なものにとどまっております。また、中央銀行が既にマイナス金利を採用しております欧州の国の例を見ましても、金融機関の個人向け預金の金利がマイナスになるとは考えておりません。
なお、金融機関の収益に対する影響というものも、マイナス金利に限らず、一般的に金融緩和の場合に議論になるわけでございますが、企業や家計にとって金融環境を緩和させようということになりますと、どうしても、仲介者である金融機関の収益に一定の影響が及ぶことは避けられないという面がございます。
その上で、金融機関の収益を過度に圧迫することによってかえって金融仲介機能を弱めることがないように、御案内のような三段階の階層構造の採用をいたしまして、マイナス金利の適用は日銀当座預金の一部にとどめておりまして、金融機関収益に及ぼす直接的な影響は最小限にしているところでございます。
もちろん、先ほど申し上げたように、金融緩和ということから、特に金利が全般的に下がっておりますので、収益に一定の影響が出てくる可能性はございます。
ただ、足元の状況を見ますと、実は日本の金融機関は、景気の回復を背景にして、貸し倒れ等に伴う信用コストが大幅に低下しているということなどを背景に、実は、極めて高い収益水準を確保している状況にあります。
また、資本につきましては、御案内のとおり、リーマン・ショックや欧州債務危機による損失が小さかったものですから、資本基盤も充実しておりますし、高い財務の健全性も保っているということでございます。
したがいまして、マイナス金利つき量的・質的金融緩和は、金融市場に関する限り、所期の効果を発揮しておりまして、今後、実体経済あるいは物価面に好ましい影響を及ぼしていくものというふうに考えております。