吉良州司の発言 (地方創生に関する特別委員会)
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○吉良委員 ありがとうございます。
本当に、考え方、問題意識を共有していただいたというふうに思っております。労働生産性を上げながら幸せ感を増していく、これは、これにこしたことはないというふうに思っています。
今、石破大臣が答弁というか話された中で、揚げ足をとるわけではないんですけれども、GDP六百兆円の話が出ました。これ自体は達成しなければならないというお話もございました。
あえて、私が先ほど前置きした話の延長で、ちょっとそのことに触れさせていただきますと、私は、一億みんなであっちに向かっていくんだぞとか、日本人全体で何百兆円を達成するんだぞとか、こういう発想自体が、先ほど言いました発展途上国的なんだというふうに思っているんですね。
もう大臣には釈迦に説法になりますけれども、アブラハム・マズローという心理学者が、よく人間の欲求五段階説ということを説いておりまして、もちろん、生理的欲求があって、次に安全の欲求があって、人間ですから人と交わりたいという親和の欲求がある。ある意味では、ここまでの段階は途上国的だというふうに思っているんですね。だから、みんながひもじい思いをしているときに、みんな食えるようにしようということに誰も反対しないし、一億みんなでそっちの方向に向かっていく。誰も異論は唱えない。
だけれども、衣食住が足り、安全も足り、人とのかかわりも十分できるようになった、それ以降人間が求めるもの、人間のつくった社会が求めるものというのは、次には、自分を認めてもらいたいという欲求であって、そしてその先には、自己実現という欲求があってくる。これは、豊かになればなるほど、もう一つの方向を向かない、それが人間の心理でもあり、そして人間がつくる社会だというふうに思っているんですね。
そういう意味でも、一億みんなでこっちに向かっていくぞとか、みんなで六百兆を達成するだとか、もうそういう時代ではないということはちょっと指摘をさせていただきたいというふうに思っています。
そのことの延長線上で、私は、若者の意識がここに来て大きく変わっているということを実感しています。
本来なら若者にとって非常につらいことなんでしょうけれども、自分たちが生まれて以来、一度も成長とか元気のいい社会を経験したことがない。自分の給料を見ても、正直、一部の人を除いては、本当にこれで生活できるのかという給料。将来的な展望もなかなか描きづらい。けれども、若者は、そういう中でもその現実を受け入れて、その中で、何とか幸せ感を、幸せを見つけ出そうとしている。
その典型的な動きとして、私が見るのに二つあると思っています。
一つは、例えば、東京のワーキングプアと言われるような若者が、自腹で東北の被災地に行ってボランティア活動をしている。十万か十数万の給料の中で、自腹で交通費を払って被災地に行くのは大変なことです。けれども、そこで被災者から一言ありがとうと言われる、その幸せを求めて被災地に行っている。もう一つは、この委員会のテーマである、都会を離れて地方に定住しようという若者たちがだんだん出てきている。これらは、今申し上げたように、成長ではない、自分たち独自の幸せ感を探し始めている、そのあらわれだというふうに思っています。
それは、私自身の言葉で言いかえると、先進国自体が今成長というものの限界に、壁に当たっていて、いろいろ政治的に経済的に模索はしていますけれども、明らかに成長というものの限界を先進国の多くの人たち、特に若者が感じていて、そして、ポスト成長の中で幸せをどうやって見出していこうかということが問題意識として共有され始めているんだろうというふうに思っています。そういう中で、繰り返しになりますが、若者が都会ではない地方での豊かな暮らしというのを求め始めているんだというふうに思っています。
大臣にお聞きしたいことの一つは、若者がそうやって地方に目を向け、定住を考えるようになってきている。山梨県の北杜市だとか、そういう傾向が顕著にあらわれている町々も出てきている。私は今、自分の考えを述べましたけれども、若者を中心に都会から地方へと目を向け始めている背景にはどういうことがあると考えておられるか、石破大臣のお考えをお聞きできればと思います。