井出庸生の発言 (法務委員会)

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○井出委員 移動の自由が認められている件数というものは、そんなに多くはないんですけれども、一定数ある、そういうことは前回伺いました。
 ただ、この技能実習制度というものは、一年ないし三年、これから五年になりますが、そういうことを見越して、外国の方が、必要な資金も含めて、借金される方もいると聞いておりますが、そういうかなりの覚悟を持って来ておりますので、転籍がかなう人というのは、もしかしたら大変環境に恵まれた人なのかもしれません。むしろ、いろいろな御苦労を受けながらも、何とかここで研修を全うして頑張らなければ母国に帰っても顔向けができぬ、そういう思いで我慢をされている方も相当数いるのではないか。そういうところから、いろいろな人権侵害の事例ですとか、そういうものが出てくるんじゃないかなと思うんです。
 人権侵害なんかを、そういうものを支援しているような団体に聞きますと、やはり三年の期間であれば、最後の方に、二年九カ月とか、終わりの方にその問題を取り上げるケースが多い、それは実習生の意向でもあって、そういうケースが多いんですという話を聞きますと、結構我慢をされているんじゃないかな、そんなような思いを持っているんです。
 少し話をかえますと、大変アンケートの結果がいいということは何度も言われてまいりました。ただ、アンケートの返事自体が大変少ない、そういうことも言われているんです。
 私、きょうは本を一冊読んでまいりまして、「外国人労働者受け入れと日本社会 技能実習制度の展開とジレンマ」、カミバヤシチエコさんとお読みするんでしょうか、東京大学出版会で出されている、二〇一五年三月に出ている本なのですが、この本の中で大変おもしろいアンケートがありまして、この方は、連合の関連する外国人労働者問題研究会に協力をいただいて、実際に中国人実習生五十人に聞き取りをやっている。そのことが本に書かれているんですが、それは、今までここで議論してきましたアンケートとは大変内容が異なる、そういう中身になっております。
 特に私が注目をしたのは、まず、その五十人の調査対象実習生の半数がもともとは無職だった、または近代的工場労働、技能実習でやるような作業と無縁の農村での就労者であった、そういう結果が一つありました。
 それから、もう一つ私が着目したのは、その五十人に聞き取りをして、帰国後の希望する働き方、その中で、もとの会社に戻りますとか自分で起業しますとか幾つかの回答があるんですが、二〇%の方は、しばらくの間は仕事をしたくないと回答している。もとの会社に戻ると言っているのは、六%、わずか三人にすぎない。
 もう一つ事例を紹介しますと、技能実習をやっている研修生が自覚をする、技能の向上をどの程度感じているのか、そういう設問に対しては、四二%の方が、母国の仕事と異なるのでわからない、技能向上の有無は母国の仕事と違う仕事なのでわからないと。一八%の人は、母国の仕事よりもレベルの低い仕事をしていると。
 こうした調査を見ますと、法務委員会でアンケートで議論されてきた、大変国際貢献になっているという半面と、それと、多くの人権侵害の事例が新聞報道とかでもありまして、それはもしかしたら大変極端な例なのかもしれません。
 ただ、私が今ちょっと概要を紹介しましたこのアンケートというものは、その中間といいますか、非常に実態に即したものではないかなと思っておりますし、これを見ておりますと、やはり、研修生は本当に技能を自分たちの国に伝えるために来ているのかと。
 もう一つ言えば、このアンケートでは、技能実習の職場で困ったことということで、七四%の方が、賃金が低いと回答されているんですが、これを見ますと、やはり技能実習生という方は、出稼ぎという言葉がふさわしいかどうかわかりませんが、ある程度決められた期間、しっかりこっちで仕事をして、予定していたお金を稼ぐかどうかが最大の満足度であると。
 私もこの質疑を始めてから現実的なことを考え始めておりまして、外国の皆さんのニーズをきちっと受けとめるのであれば、なおのこと、研修の完遂、途中で帰らない、きちっと三年間やっていく、そういうことに対する、これはどっちが国際貢献なのかいまだ私も整理がついていないのですが、日本が国際貢献を受けているのか、それとも、外国の貧しい労働者に対して一定の労働と給料を提供しているという国際貢献になるのかわかりませんが、現実的な側面を見ても、研修をきちっと達成させること、そしてそのためには移動を認めていくこと、これは、技術云々、何とか云々というよりも、このことは非常に重要じゃないかなと思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。

発言情報

speech_id: 119005206X01220160419_008

発言者: 井出庸生

speaker_id: 30597

日付: 2016-04-19

院: 衆議院

会議名: 法務委員会