根本嘉昭の発言 (法務委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○根本参考人 委員長そして委員の皆様方、本日は、このような発言の機会を与えていただき、本当にありがとうございます。
私は、社会福祉、中でも公的扶助を専門としておりまして、外国人の受け入れ制度に関しては門外漢でありますけれども、たまたまこの十年ほど介護福祉士の国家試験にかかわってきた関係もありまして、平成二十六年十月に厚生労働省に設置されました外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会、少し長い名前なんですが、この検討会の座長を務めさせていただきました。
この検討会は、平成二十六年六月に閣議決定されました「日本再興戦略」改訂二〇一四において示されました、一つ、介護福祉士資格を取得した留学生が、卒業後に国内での就労を可能にするため、在留資格の拡充を含め、年内を目途に制度設計等を行うこと、一つ、外国人技能実習制度の対象職種に介護分野を追加することについて、日本語要件等の介護分野特有の観点を踏まえつつ、年内を目途に検討し、結論を得ることという、この「日本再興戦略」改訂二〇一四の要請に応えるために設置されたものでございます。
この検討会には、学識経験者や実際に介護分野において外国人の就労に関係している介護サービス関係者などに御参集いただきまして、検討を重ね、これまで二つの報告書を取りまとめております。
そのうち、平成二十七年二月、昨年の二月に取りまとめました報告書の内容が今回の二つの法案に関係しているところも多々ございまして、その報告書を取りまとめた立場から、本日、ここに招聘され、発言を求められていると理解しております。
まず、この報告書に盛られている外国人介護人材と我が国の介護との関係という最も基本的なスタンスにつきまして、考え方を述べさせていただきます。
それは、現在の我が国における少子高齢化の進行、とりわけ、二〇二五年問題と言われておりますように、今から九年後の二〇二五年、平成三十七年には最大で二百五十万人規模の介護人材が必要とされておりますけれども、この介護人材の確保につきましては、国内の人材確保対策を充実強化していくことで対応し、安易に外国人介護人材を活用するという考え方はとるべきではないということでございます。
すなわち、外国人介護人材の受け入れは、あくまでもそれぞれの制度の趣旨に従って対応するものでありまして、資格を取得した留学生への在留資格の付与に関しては、専門的、技術的分野への外国人労働者の受け入れ、そして技能実習制度に関しては、日本から相手国への技能移転という、それぞれの制度本来の趣旨に資するものであって、決して外国人を介護人材として安易に活用するものではないということでございます。
そして、そのような視点に立ちまして、さらに介護分野に外国人を受け入れるに当たりまして、いろいろと指摘されております懸念に対応するために、次の三つの点について適切な対応が図られるように検討いたしました。
その三つの点とは、第一に、介護職に対するイメージの低下を招かないようにすること、第二に、外国人について日本人と同様に適切な処遇をすることを確保し、日本人労働者の処遇や労働環境の努力が損なわれないようにすること、そして第三に、介護は対人サービスでありまして、また、公的財源に基づき提供されるものであることを踏まえまして、介護サービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること。
このような外国人介護人材と我が国の介護との関係という基本的なスタンスを踏まえまして、これから意見を述べさせていただきたいと思います。
現行制度におきまして、外国人の介護福祉士候補者及び介護福祉士の資格取得者の受け入れが行われておりますのは、経済連携協定、EPAに基づいて、日本と当該国との経済連携の強化の観点から、協定に基づいた公的な枠組みのもとに特例的に行われているものと承知しております。
そして、平成二十年度より、このEPAに基づく外国人介護福祉士候補者の受け入れを開始いたしまして、現在は、インドネシア、フィリピン及びベトナムの三カ国から受け入れておりまして、平成二十七年度までには、その数は累計で二千百六名になっているということでございます。
御承知のとおり、これらEPAの介護福祉士候補者は、日本に入国して、それぞれの受け入れ介護施設におきまして、就労しながら介護の経験を積み、三年間の就労で介護福祉士の国家試験の受験資格を得て、四年目に国家試験を受験することになります。
この国家試験の合格率は、EPAとして初回受験となる平成二十三年度には、受験生全体の合格率は六三・九%でありましたけれども、これに対してEPAの受験生の合格率は三七・九%でありました。その後の各方面の努力によりまして、平成二十七年度には、全体の合格率五七・九%に対しまして五〇・九%、三七・九%から五〇・九%へと上昇してきております。
また、平成二十六年度までに国家試験に合格して資格を取得された方のうち、約二百五十名の方が現在も引き続いて我が国で活躍されているものと伺っております。
これらEPA介護福祉士の方々の働きぶりはまことに目覚ましいものがありまして、受け入れ施設の細やかなフォローアップもありまして、利用者の方々からの評価は相当高いものがあるというふうに承知しております。
そして、このようなEPA介護福祉士の活躍ぶり等の経験は、外国人介護人材に関する制度を検討するに当たりまして大いに参考になると思います。
そのような総論的なお話を前提といたしまして、次に、今回の法案に関係すると思われることを二つのポイントに絞りましてお話ししたいと思います。
まず第一に、介護福祉士資格を取得した留学生への在留資格の付与、在留資格「介護」の創設についてでございます。
「日本再興戦略」改訂二〇一四におきまして、外国人留学生が日本の高等教育機関を卒業した場合と明記されておりますように、今回の在留資格の拡充の対象となる者は、介護福祉士の国家資格の取得を目的として養成施設に留学し、そこを卒業して介護福祉士資格を取得した者とすることが適当であると考えます。
さらに、今回の入管法の改正で受け入れることとしているのは、介護福祉士という国家資格を取得した専門的知識を持った人材であり、その在留資格は専門的、技術的分野の一つとして付与されるものであるということを踏まえますと、日本人と同様に就労場所を限定せずに認めるべきであること、さらに、介護福祉士養成施設で受け入れる留学生の人数につきましては、教育指導や実習受け入れの観点から、看護師等養成所の運営に関する枠組み等も参考にしながら、個々の教育機関の状況に応じまして介護を学ぶ学生の各学年別定員の上限を定めるべきであること等の結論に検討会では達した次第でございます。
いずれにいたしましても、この枠組みによる受け入れにつきましては、国家資格である介護福祉士の資格を有している者を想定しておりますので、先ほど申し上げました三つの懸念、すなわち、介護職に対するイメージダウン、日本人労働者の処遇の低下、さらに介護サービスの質の低下という三つの懸念につきましては、いずれも当たらないものと思っております。
次に、第二に、技能実習制度への対象職種の追加についてでございます。
冒頭述べましたように、私は、技能実習制度を初めとする外国人の受け入れ制度については専門外でありますけれども、言うまでもなく、技能実習という制度は、日本から途上国等に対しまして、技能移転を通じての人づくりに協力することがその目的であると理解しております。
日本は、他国と比較いたしまして高齢化が急速に進展し、認知症を初め医療的ニーズを持つ高齢者の増加等、その介護ニーズも、量的に増大しているだけではなく、質的にも多様化、高度化、複雑化してきております。このような状況に対応している我が国の介護に関する技術、技能につきまして、海外から取り入れようとする動きも出てきており、こうした介護技能を他国に移転することは、国際的にも意義のあるものであり、技能実習制度の趣旨にもかなうものと考えております。
他方、現行の技能実習制度に対しましては、さまざまな問題指摘がございまして、また、それに応えるための制度の抜本的な見直しが進められて今日に至っていると承知しております。
技能実習の対象職種に介護を追加するに当たりましては、技能実習制度本体の見直しを踏まえる必要があるとともに、人を相手とする対人サービスである介護分野ということで、より適切な対応が求められるということになります。
検討会におきましては、技能実習制度の見直しの検討状況について聴取いたしましたけれども、内容としては、制度の趣旨、目的に沿った技能等の修得、移転が確保され、かつ、技能実習生の人権確保が図られるよう制度の適正化を図るものであり、その見直しの内容は、検討会として評価させていただきました。
また、先ほど来申し上げている三つの懸念に対応するために検討を要する事項として、一つ、移転対象となる業務内容、範囲を明確化すること、二つ、必要なコミュニケーション能力を確保すること、三つ、適切な評価システムを構築すること、四つ、適切な実習実施機関の対象範囲を設定すること、五つ、実習体制を確保すること、そして第六に、日本人と同等処遇を担保すること、第七に、監理団体による監理の徹底などにつきまして検討し、介護固有の具体的方策をあわせ講じることによりまして、さまざまな懸念に対して適切に対応していくことが適当であるとされました。
したがいまして、検討会としては、技能実習制度本体の見直しの詳細が確定した段階で、今お話しいたしました介護固有の具体的方策をあわせ講じることによりまして、さまざまな懸念に対して適切に対応できることを確認した上で、新たな技能実習制度の施行と同時に介護の職種追加を行うことが適当であるという結論に到達した次第でございます。
もちろん、技能実習の職種追加に関しましても、現行の枠組みであるEPAに基づく受け入れを参考にした着眼点から検討を加えておりますので、先ほどの懸念につきましても払拭できるものであると考えておりまして、関係者を初め国民の皆様方にもきっと受け入れていただけるものと思っております。
以上、私が座長を務めました外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会の取りまとめに基づきまして意見を述べさせていただきました。
今後、関係省庁において検討される部分を含め、可能な限り早期に、また適切な形で制度が開始されることを御期待申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)