安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私の海外出張に関して報告申し上げます。
 昨年九月から十二月にかけて、国連総会、中央アジア、日中韓サミット、G20首脳会議、APEC首脳会議、東アジア首脳会議、COP21、インド等に出張し、地球儀を俯瞰する外交を積極的に展開してまいりました。
 この一連の出張を通じ、世界の平和と繁栄のために国際社会は何をなすべきか、そのために我が国はどのような貢献を行うことができるのかについて、国益を踏まえて我が国の主張を明確に訴え、それが結果にも十分反映され、大きな成果を上げたと考えます。
 以下、順を追って御報告いたします。
 九月下旬には、国連総会に出席しました。
 国連総会では、ミレニアム開発目標の次なる開発目標について活発な議論が行われました。
 我が国は、従来より、人間の安全保障の考え方に基づき、保健、防災、女性、教育を重視すべき旨主張してまいりましたが、新しい開発目標となる二〇三〇アジェンダにこのような日本の考え方が明確に盛り込まれたことは大きな成果であったと考えます。
 また、国連創設七十周年となる節目に、私は、メルケル・ドイツ首相、モディ・インド首相、ルセーフ・ブラジル大統領とともに、安保理改革に関するG4首脳会合に出席し、安保理改革を力強く推進していく決意を確認しました。
 十月中旬には、中央アジア諸国を訪問しました。
 中央アジアは、アジアの中心にあり、東西の結節点となる地政学的に重要な地域です。各国とも、これまでは天然資源の輸出に依存してきましたが、今はより付加価値の高い経済を目指し、質の高いインフラを求めており、そこに日本が果たせる役割があります。この訪問には経済界に同行していただき、今後三兆円を超えるビジネスチャンスを生み出すとともに、各国との友好協力関係をさらに発展させることができました。
 十一月には、ソウルで行われた日中韓サミットに出席しました。
 私は、かねてから、中国や韓国との間では、隣国ゆえに、難しい課題があるが、だからこそ、首脳レベルでも、前提条件をつけずに率直に話し合うことが重要と繰り返し述べてきました。そして、それが実現いたしました。
 日中韓サミットでは、日中韓三カ国の協力の枠組みが完全に回復したこと、日中韓サミットを定期的に開催すること、日本が本年議長を引き継ぐことに合意いたしました。
 日中韓三カ国は、地域の平和と繁栄に対する大きな責任を共有しています。
 今回のサミットでは、朴槿恵大統領、李克強首相と、経済、環境、防災、文化・人的交流など、幅広い分野における三カ国の協力を推進していくことや、北朝鮮を初めとする、地域や国際社会が直面する重要な諸課題について、率直に意見交換を行うことができたことも非常に有意義でした。
 李克強首相との日中首脳会談では、日中関係は戦略的互恵関係の考え方に基づき改善の方向にあり、この勢いをさらに強めていくことが必要との認識で一致しました。
 さらに、外相相互訪問の再開、日中ハイレベル経済対話の本年早期の開催で一致するという具体的成果も得ました。
 朴槿恵大統領との日韓首脳会談では、日韓間の諸懸案、北朝鮮問題について議論しました。
 日韓間の意思疎通を図る努力により、両国関係が少しずつ前進していることを評価するとともに、今後とも、安全保障、人的交流、経済を初めとしたさまざまな分野における日韓間の協力を強化していくことで一致しました。
 また、慰安婦問題については、将来の世代の障害にならないようにすることが重要であるとの観点から、両国間での協議を加速化することで合意し、これを踏まえ、十二月二十八日に行われた日韓外相会談における合意及び私の朴槿恵大統領との首脳電話会談を通じ、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることになりました。
 これをもって、日韓関係が未来志向の新時代に入ることを確信しています。
 十一月中旬には、G20首脳会議、APEC首脳会議、ASEAN関連首脳会議に出席しました。
 一連の会議においては、主要な国々のリーダーたちが集まり、世界経済の持続的な成長をいかにして確保していくか、テロを初め、国際社会が直面するさまざまな課題にどのように対応していくかについて真剣な議論を行いました。
 世界経済の減速が懸念される昨今、最大のテーマは、経済の成長であります。
 私からは、アベノミクス第二ステージ、とりわけ、戦後最大のGDP六百兆円、希望出生率一・八、介護離職ゼロという三つの明確な的に向かって新しい三本の矢を放ち、一億総活躍社会の実現を目指すという新たな考え方について詳しく説明し、各国首脳の理解と支持を得ました。
 マニラで行われたTPP首脳会合では、早期発効に向け、各国の国内手続を速やかに完了させることで一致しました。
 基本的価値を共有する国々とつくる新たなルールのもと、世界の四割の経済圏が生まれます。その求心力により、他の国・地域から参加への関心表明を受けました。
 G20首脳会議の直前にパリで同時多発テロ事件が発生したことを受け、一連の首脳会議を通じて、人類共通の価値に対する挑戦に対して、世界は結束しなければならないと呼びかけ、日本も、アメリカも、ロシアも、中国も、中東の諸国も、テロとの闘いに国際社会全体がしっかりと手を携えていくという明確なメッセージを一致して発信していくことができました。
 十一月下旬に出席した東アジア首脳会議では、南シナ海の情勢を中心に、航行の自由や、紛争の平和的解決など、法の支配の遵守が主要なテーマとなりました。
 会議では、多くの首脳が南シナ海の一方的な現状変更に懸念を示し、威嚇または武力の行使に訴えないこと、国際法にのっとった紛争の平和的手段による解決の重要性を指摘し、議長声明にもそうした要素が盛り込まれました。
 私は、国際社会における法の支配を重視する立場から、主張するときは国際法にのっとって主張すべき、武力の威嚇や力による現状変更は行ってはならない、問題を解決する際は平和的に国際法にのっとって解決すべきという三原則をシャングリラ会議で提唱しましたが、この三原則が着実に国際社会に浸透しつつあると考えています。
 十一月下旬には、気候変動問題に関し、京都議定書にかわる新しい枠組みを決めるCOP21首脳会合に出席しました。
 首脳会合では、私より、経済成長と気候変動への対応を両立させる鍵を握るイノベーションの強化、二〇二〇年における一・三兆円の気候変動対策実施等を内容とする途上国支援の二本柱から成る我が国の貢献策「美しい星への行動二・〇」を説明し、今こそ先進国、途上国がともに参画する、温室効果ガス削減のための新しい枠組みを築くべきときである旨を主張しました。
 この我が国の一貫した主張が実り、その後の閣僚級の交渉において、史上初めて気候変動枠組み条約に加盟する百九十五の国々とEU全てが参加する公平な枠組みとしてのパリ協定が採択されました。
 この合意を高く評価するとともに、今後とも、日本は、イノベーションで世界を牽引し、国際社会における主導的な役割を果たしていきます。
 十二月中旬には、インドを訪問し、モディ首相との首脳会議で、日印関係が新しい時代に入ったことを確認し、日印新時代の道しるべとなる共同声明として、「日印ヴィジョン二〇二五」を発出しました。
 日印新時代の幕あけにふさわしいプロジェクトとして、ムンバイとアーメダバードを結ぶ高速鉄道に日本の新幹線システムの採用が決まりました。
 安全性、正確性を誇る日本の新幹線システムを活用した、インドにおける高速鉄道の第一号路線の実現に向けて、今後、具体的協力を進めていきます。
 また、日印間の平和的目的の原子力協力全般に基礎を与える協定につき原則合意に至りました。この協定は、原子力の平和的利用について、インドが責任ある行動をとることを確保するものです。
 したがって、万が一、インドが核実験を行うようなことがある場合には、日本からの協力は停止します。これはインドを国際的な不拡散体制に実質的に参加させることにつながり、核兵器のない世界を目指し、不拡散を推進する日本の立場に合致するものです。
 今後とも、モディ首相とともに、日印新時代を力強く切り開いていくとともに、普遍的価値を共有するアジアの二大民主主義国である日印両国が緊密に協力し、アジアや世界の平和と繁栄をともに牽引していく所存です。
 本年は、G7伊勢志摩サミットの議長国、国連安全保障理事会の非常任理事国入り、TICADの初めてのアフリカでの開催、日中韓サミットの議長国などが予定されており、日本外交が世界を引っ張る年となります。
 本年も、経済や安全保障の観点から、国益を増進し、国際社会が直面するさまざまな課題について世界と緊密に協力し、リーダーシップを発揮して取り組んでまいります。(拍手)
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発言情報

speech_id: 119005254X00120160104_021

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2016-01-04

院: 衆議院

会議名: 本会議